Nb3Sn薄膜超伝導加速空洞のための革新的Nb3Sn成膜技術の確立
Project/Area Number |
22K18130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
井藤 隼人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (30881552)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 超伝導加速空洞 / ニオブスズ / 成膜 / 核生成 / 結晶成長 / Nb3Sn |
Outline of Research at the Start |
従来のNb超伝導加速空洞の性能は理論的限界に近づいており、Nbに代わる次世代超伝導加速空洞の開発が急がれる。そこで、空洞のさらなる高性能化に加え、液体ヘリウムを用いず小型冷凍機のみでの運転も期待できるNb3Sn超伝導加速空洞が注目を浴びており、その研究開発は年々加速している。 本研究ではNb3Sn成膜の初期段階にある核生成過程に着目する。従来行われているSn蒸着とは異なり、メッキやスパッタリング等を駆使し事前に空洞内面にSn層を成膜する。そして従来の手法よりも高密度にNb3Sn核生成を行い、平滑かつ緻密なNb3Sn膜を空洞内面に形成することでNb3Sn超伝導加速空洞の高性能化を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、Nb超伝導加速空洞に代わる空洞として注目を浴びているNb3Sn超伝導加速空洞は、Nb空洞内でSnとSnCl2を加熱蒸発させて空洞内面にNb3Sn膜を形成することで製作される。本研究では、Nb表面に予めSn膜を形成することで、従来SnCl2蒸気で行われていたNb3Sn核生成よりも高密度な核生成を行い、その後に形成されるNb3Sn膜をより平滑度良く、かつ超伝導特性の良い膜とすることを目的とする。本年度は①Nbサンプルに対するSn膜形成試験と、その後にサンプル表面にNb3Sn膜を形成するための②小型Nb3Sn成膜炉の構築を実施した。 ①Nb超伝導加速空洞に用いられるNb板材から15mm角のサンプルを切り出し、化学研磨、鏡面研磨、アニールを施すことで清浄表面のNbサンプルを準備した。準備したサンプルに対して、NIMSのスパッタリング装置を用いてSn膜を形成する試験を行った。スパッタの出力、時間を調整することで、サンプルに約100nmのSn膜を形成することに成功した。また、超伝導加速空洞のような複雑な形状の表面に対してSn膜を形成するために、KEK PFのNEGコーティング装置でのNb/Snスパッタリング試験も進めている。 ②サンプルを用いたNb3Sn成膜試験を行うために、小型管状炉の立ち上げを行った。炉心管は1100度以上の高温に耐えられるようにHBチューブを用いた。真空排気系はドライポンプとターボ分子ポンプで構築し、到達真空度は5E-4Pa程度である。加熱試験で1100度で安定して運転できることを確認した。現在は炉心管内でSnを積極的に蒸発させるための追加ヒーター導入の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、①サンプルを用いたSn膜形成試験、②小型Nb3Sn成膜炉の構築、③サンプルに対するNb3Sn核生成試験と表面分析を計画していた。①、②に関しては上述の通り、順調に進展している。サンプルに対するSn膜形成はSnのDCスパッタリングによって実施し、100nm程度の厚さのSn膜を形成することができた。また、その他の手法による成膜も検討中である。小型成膜炉は真空排気系の接続から真空引き試験、サンプルを入れない状態での加熱試験まで完了した。初年度は小型成膜炉の加熱試験までで終了したため、③のサンプルに対する加熱試験、表面分析は実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は構築した小型成膜炉を用いて、サンプルに対する①Nb3Sn核生成試験とその後の②Nb3Sn成膜試験を実施する。 ①まずは、従来行っていた核生成過程と同様の熱処理パラメータを用いて、予めSn膜が形成されているサンプルに対して核生成試験を行う。試験後のサンプルに対してFIB-TEMやFIB-SEM、EDSを用いてNb3Sn核の観察や組成分析を行い、従来のSnCl2を用いたNb3Sn核生成手法と比較する。これらの分析を通して、高密度にNb3Sn核生成を行えるSn成膜パラメータと熱処理パラメータを決定し、②Nb3Sn成膜試験へ展開する。 ②では、Nb3Sn成膜過程での熱処理パラメータやSn供給量の最適化を行う。Nb3Sn成膜後のサンプルに対して①の分析に加えEBSDやXRDを用いることで、Nb3Sn膜の結晶性の評価を行う。更にPPMSを用いてNb3Sn膜の超伝導特性を評価する。 ①、②で得られた知見を互いにフィードバックすることで、平滑度や超伝導特性の良いNb3Sn膜を得るための各パラメータの最適値を最終決定する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)