Project/Area Number |
22K18192
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 90110:Biomedical engineering-related
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
鈴鹿 淳 公益財団法人がん研究会, NEXT-Gankenプログラム がん細胞多様性解明プロジェクト, 特任研究員 (90823328)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 乳がん / がん幹細胞 / バイオマテリアル / ハイドロゲル / シグナル伝達 |
Outline of Research at the Start |
一部の乳がん患者で認められる薬物治療抵抗性の一因として「がん幹細胞」の存在が示唆されている。しかし、がん幹細胞は組織内に少数しか存在せずその性状を解析することは困難であるため、実際の乳がん患者の治療抵抗性にがん幹細胞がどの程度寄与し、どのような機構で治療に抵抗性を示すのかに関しては不明な点が多い。 本研究では申請者が開発したハイドロゲルによる迅速ながん幹細胞誘導システムを活用し、乳がん臨床検体から患者別あるいは固有のがん幹細胞の生存に必須な細胞内シグナルを見出し、乳がん治療抵抗性におけるがん幹細胞の病的意義や生存機構を明らかにすることで新たな治療戦略の開発に繋げることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
乳がんは内分泌療法や抗HER2療法等の標準治療が確立されているため治療成績は向上しているものの、一部患者においては再発・転移が生じ、予後不良である。再発や転移の原因として、「がん幹細胞」や治療の影響により脱分化して幹細胞様の性質を有した「がん幹細胞様細胞」の集団が関与することが報告されており、これらの細胞集団に着目した治療法の開発が望まれるが、臨床検体内に存在するがん幹細胞様細胞は極めて少数であるため、実際の患者検体内でのそれらの細胞の発生機序や悪性形質への影響は不明な点が多い。本研究では申請者らが開発した特殊なハイドロゲルでのがん幹細胞誘導技術を用いて、乳がん患者検体由来細胞からがん幹細胞様細胞を誘導し、それらの細胞集団の表現型や生存・維持に必要なシグナル経路を見出すことを目的としている。 令和5年度は、前年度に特定したCYP1A1およびALDH1A3等の遺伝子をハイドロゲル上で発現した細胞集団における(1)生体内腫瘍形成能力や転移能の有無の検討、(2)発現制御に関与する転写因子の同定を実施した。(1)ではDNAバーコード配列を導入した乳がん患者検体由来オルガノイド1例を用いて、ハイドロゲルおよびオルガノイド条件で培養した細胞を免疫不全マウスの乳腺に移植したところ、ハイドロゲル培養細胞移植群にて生着・増殖が亢進した。転移は肺で認められたものの、両条件で差は認められなかった。また、バーコード解析により、各移植条件で生着する細胞クローンが異なっていた。(2)では、CYP1A1陽性細胞に着目するために発現誘導に寄与するXRE配列に対するレポーターベクターの活用を試みたが、反応効率が低く、XRE配列を介さない発現制御機序の存在が示唆された。ハイドロゲル培養乳がん細胞株のRNA-seq解析データも活用して転写因子の特定作業を進めており、候補分子の絞り込みを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は(1)ハイドロゲル上でがん幹細胞性が誘導された細胞集団の悪性化について、細胞生着や増殖の亢進および腫瘍形成に関与する細胞クローンの変化を免疫不全マウスを用いた解析にて見出し、(2)ハイドロゲル上での遺伝子発現制御に関与する候補転写因子の絞り込みを実施した。 (1)についてはがん幹細胞様の性質が誘導された細胞の悪性形質の亢進を認めた結果であり、その中でも特に腫瘍化に関与する細胞集団の存在を示唆するものと考えられ、臨床検体に潜むがん幹細胞様細胞集団の性質を示す研究成果の1つである。 (2)については、当初目標としていたCYP1A1陽性細胞集団における特徴的なシグナル伝達経路の同定には至っていないものの、既報とは異なる転写因子を介した制御機構の存在を示唆する結果で、がん幹細胞様細胞の誘導に関わる新規経路の同定に繋がるものと考えられる。 以上より、当該年度の目的を概ね達成したと考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に解析したハイドロゲル上で特に腫瘍形成に関与した細胞集団および絞り込んだ転写因子の関与について解析する。 (1)マウス生体内で腫瘍形成への関与が示唆されたDNAバーコード配列を有する細胞が移植時細胞集団においてどのような遺伝子発現を有しているのかを検討するために、シングルセルRNA-seq解析を実施後、それらの結果および外来性に導入したDNAバーコード配列を各細胞で統合し、移植時細胞における幹細胞関連分子、薬剤代謝関連分子の発現レベルと腫瘍形成への関連性を見出す。 (2)細胞株レベルで絞り込んだ転写因子がハイドロゲル上での幹細胞性誘導を制御する機序を明らかにするために、siRNAを用いて遺伝子発現抑制後、RNA-seq解析を実施し、幹細胞性や薬剤代謝に関与するシグナル経路の変化を検討する。
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