Project/Area Number |
22K18194
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 90120:Biomaterials-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 理紗子 京都大学, 工学研究科, 助教 (40881694)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | セラノスティクス / 多糖 / ナノ粒子 / 光音響イメージング / 免疫療法 / ナノゲル |
Outline of Research at the Start |
がん免疫療法は第4のがん治療法として注目されており、多くのがん種に対する臨床応用が進んでいる。その過程で、免疫療法が奏効せず難治性で悪性度が高い“Cold Tumor”と呼ばれるがんの存在が明らかにされ、治療には早期検出と早期治療が重要である。そこで本研究では、生体適合性が高い多糖ナノゲルを基盤に用い、Cold Tumorを標的とした、造影剤と治療薬を一体化したセラノスティクス医薬品を開発する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
近年、がん免疫療法は第4のがん治療法として注目されており、多くのがん種に対する臨床応用が進んでいる。その過程で、免疫療法が奏功せず、難治性で悪性度が高い “Cold Tumor” と呼ばれるがんの存在が明らかにされ、治療には早期検出と早期治療が重要である。そこで本研究では、生体適合性が高い多糖ナノゲルを基盤とし、Cold Tumor に分布する M2 マクロファージを標的とした、造影剤と治療薬を一体化したセラノスティクス医薬品の開発を行った。 まず、親水性多糖であるプルランに、近赤外蛍光色素の IR-820 と抗がん剤前駆体の Aldoxorubicin を修飾した、PID を合成した。IR-820 は近赤外光を吸収して光音響イメージング造影剤として機能し、Aldoxorubicin は腫瘍微小環境や細胞内エンドソームのような酸性 pH 環境に応答してリンカーが分解して抗癌剤の Doxorubicin(DOX)を放出する分子である。これまでに、PID を HEPES Buffer で溶解し、凝集体除去を行うことで、PID は IR-820 と Aldoxorubicin のっ水性相互作用を駆動力に、粒径約 36 nm の自己組織化ナノゲルを形成することを明らかにしてきた。さらには、酸性 pH に応じて DOX の放出量が増大することから、酸性環境をトリガーとするプロドラッグとして機能することも示された。また、M2 マクロファージリガンドとして機能するマンノースの修飾量を修飾させ、マクロファージ細胞株への細胞毒性を評価したところ、マンノース修飾量の増加に伴い強く毒性が現れ、マンノースを介して能動的に M2 マクロファージと相互作用していること、さらに、免疫抑制性の腫瘍免疫微小環境を構築する M2 マクロファージを効率的に depletion 可能なことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、本研究の基盤となる PID ナノゲルの合成および物性評価が完了している。今年度は、PID の合成法の最適化と同時に M2 マクロファージリガンドとして機能するマンノース修飾体の合成も実施し、その合成法を確立した。マンノースの修飾量に応じて、M2 マクロファージへの標的性および細胞毒性を付与することが可能となり、① 腫瘍微小環境における酸性 pH 環境に応じたがん細胞の殺傷と同時に、② 抑制性の免疫環境を構築する M2 マクロファージの depletion を実現し、化学療法のみならず免疫療法的にも働きかけるような、光音響イメージング可能なセラノスティクスプローブとして機能し得ると期待される。以上の結果より、進捗状況は概ね順調であると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、担癌マウスを用い、PID ナノゲルおよびマンノース修飾ナノゲルの血中滞留性、組織分布を評価する。続いて、ナノゲルによる腫瘍の光音響イメージング、および、抗腫瘍効果の評価を行う。 マンノース修飾ナノゲルにおいては、M2 マクロファージの depletion 効果により、腫瘍免疫微小環境が hot に多少転換される可能性がある。そこで、ナノゲル投与後の腫瘍免疫微小環境の変化を免疫細胞の分布やサイトカイン濃度から比較評価し、さらに、抗 PD-1 抗体療法との併用により免疫療法の有効性の変化も評価する。
|