免疫チェックポイント阻害剤搭載型ナノホウ素薬剤によるアブスコパル効果誘導法の確立
Project/Area Number |
22K18196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 90120:Biomaterials-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河崎 陸 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (40836194)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | BNCT / DDS / ハイブリッドナノ粒子 / 抗体 / ドラッグデリバリーシステム / ナノマテリアル / 刺激応答性ナノ材料 / ハイブリッド材料 |
Outline of Research at the Start |
近年、低侵襲ながん放射線療法であるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)により誘導されるアブスコパル効果の転移がん治療への適用が望まれている。アブスコパル効果とは、BNCTによって損傷したがん細胞の放出するがん抗原を介した細胞障害性T細胞(CTL)の活性化により、原発巣のみならず転移巣のがん細胞に対しても細胞死を誘導する免疫賦活作用のことである。ホウ素薬剤と免疫チェックポイント阻害剤両方の体内動態制御に基づく腫瘍集積性の向上を実現するICI搭載型ナノホウ素薬剤の開発によって、アブスコパル効果の誘導法の確立とその転移がん治療への応用を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
多糖へとホウ素薬剤をコンジュゲートした化合物が確かにナノ粒子を形成すること、その粒子が水中で安定に分散し得ることを明らかとした。また形成したナノ粒子はコロイド的に安定であることも動的光散乱測定の結果から明らかとした。種々の分光学的手法(紫外可視分光光度計・蛍光高度計・多角度散乱測定・小角X線散乱測定)や顕微鏡技術(走査型電子顕微鏡・透過型電子顕微鏡・原子間力顕微鏡)の利用により、ナノ粒子の会合挙動、その形成過程、形態など系統的な物性評価を行うことでキャラクタリゼーションは完了した。また本システムへの刺激応答性の感度についても把握することができた。 ここで本システムと抗体の相互作用について検討したところ、抗体とナノ粒子の物質量比が1:1のとき、ほぼ100%の抗体分子がナノ粒子内部に複合化されることが蛍光相関分光法による測定から明らかとした。また本システムへ外部刺激を導入することによって、即時的な放出が可能であることも実証した。 次に本システムは細胞に効率的に導入することができるだけでなく、中性子線照射によって、BNCTに基づく効率的な殺細胞効果を実現しえ、その活性は臨床薬であるL-BPA/fructose錯体を凌駕するものであった。また、その効果の違いが導入されたホウ素量の違いであることをICP発光分析により明らかとしている。ここでがん細胞と正常細胞の共培養系の利用によって、本システムのがん細胞への選択的な送達能を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的としていたホウ素薬剤修飾多糖の合成、さらにはナノ粒子の作製に成功している。それだけでなく、作製したナノ粒子の物性評価についても系統的な評価を完了しており、目的とする物性値を既に一定数達成している。また制御困難と当初考えていた抗体分子の複合化の手法も確立し、その制御放出の因子について、検討することができている。そのため、今後動物実験によって、その送達性を明らかとすることで、目的とするアブスコパル効果の誘導へと繋げることができる。 一方で、ナノ粒子ががん細胞へと効率的に送達しえ、そのBNCT活性が臨床薬であるL-BPA/fructose錯体を凌駕するものであったことを細胞実験で明らかとしている。これに加えて、がん細胞(マウス結腸がん細胞)と正常細胞(マウスマクロファージ細胞)からなる共培養系において、がん細胞選択的な集積を確認している。 上記の事柄から判断して、今後、担腫瘍マウスを用いた治療活性を評価することで本システムの有用性を実証していくのに十分な知見を得ているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本システムの腫瘍組織の浸透性を議論するため、がんスフェロイドを作製し、その三次元培養環境中における分布を観察する。さらには、腫瘍組織への浸透性についても明らかとする。ここへ中性子線を照射し、治療性能に加えて、関連タンパク質の放出性について、検討を行うことで、アブスコパル効果誘導における有用性を確認、最適化させる。 さらには、担腫瘍マウスを作製し、その血中滞留性、腫瘍集積性および選択性について明らかとする。さらには蛍光標識を行なった抗体分子を用いて、本システムの抗体の腫瘍集積性についても検討を行う。ここで腫瘍集積性に乏しい場合については、血中滞留性の向上を見込み、ステルス性を付与する高分子ポリエチレングリコールを表面修飾することで改善を図る。 最後に本システムの担腫瘍マウスおよび転移モデルにおけるBNCT活性、アブスコパル効果誘導性について、腫瘍の成長抑制、関連タンパク質の放出量、フローサイトメトリーを用いた免疫細胞の活性化度から明らかとする。さらには、多糖の骨格を変更したシステムを並行して作製することでタンパク質とナノキャリアの相互作用のより精密な制御について検討を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(40 results)
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[Presentation] Development of Organic-Inorganic Hybrid Nanoparticles for Boron Neutron Capture Therapy2022
Author(s)
Riku KAWASAKI, Hidetoshi HIRANO, Keita YAMANA, Yu SANADA, Kaori BANDO, Anri TABATA, Kouhei YOSHIKAWA, Hideki AZUMA, Minoru SUZUKI, Kouki TANAKA, Yoshinori SAKURAI, Naoki TARUTANI, Kiyofumi KATAGIRI, Takushi TAKATA, Shin-ichi SAWADA, Yoshihiro SASAKI, Kazunari AKIYOSHI, Takeshi NAGASAKI, Atsushi IKEDA
Organizer
IUMRS-ICYRAM2022
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[Presentation] The complex of pyrene-substituted carborane with hyaluronic acid as a potential novel boron agent for tumor targeting boron neutron capture therapy2022
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Keita Yamana, Riku Kawasaki, Yu Sanada, Anri Tabata, Kaori Bando, Kouhei Yoshikawa, Hideki Azuma, Yoshinori Sakurai, Shin-ichiro Masunaga, Minoru Suzuki, Takeshi Nagasaki and Atsushi Ikeda
Organizer
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[Presentation] カルボラン修飾多糖と疎水化ホウ素ナノ粒子からなるハイブリッドナノゲルの創製とBNCT薬剤の機能評価2022
Author(s)
平野英寿, 河﨑陸, 山名啓太, 真田悠生, 坂東香里, 田畑杏梨, 高田卓志,田中浩基, 櫻井良憲, 鈴木実, 樽谷直紀, 片桐清文, 澤田晋一, 佐々木善浩, 秋吉一成, 長﨑健, 池田篤志
Organizer
第73回コロイドおよび界面化学討論会
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平野英寿, 河﨑陸, 山名啓太, 真田悠生, 坂東香里, 田畑杏梨, 高田卓志,田中浩基, 櫻井良憲, 鈴木実, 樽谷直紀, 片桐清文, 澤田晋一, 佐々木善浩, 秋吉一成, 長﨑健, 池田篤志
Organizer
2022年日本化学会中国四国支部大会 広島大会
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[Book] 化学2023
Author(s)
河﨑陸
Total Pages
78
Publisher
化学同人
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