Project/Area Number |
22K18198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 90120:Biomaterials-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
宮下 慎一郎 東京農業大学, 生物産業学部, 助教 (20883292)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | ボツリヌス神経毒素 / ボツリヌス中毒 / 細胞内薬物送達 / VHH抗体 / 細菌毒素 / 病原性タンパク質 / 凝集タンパク質 / ドラッグデリバリー / DDS / 運動神経変性疾患 |
Outline of Research at the Start |
神経細胞におけるα-synucleinやアミロイドタンパク質の凝集は神経変性を引き起こす。これら病原タンパク質に対する抗体が開発されているが、標的とする神経細胞内に抗体を送達することは困難である。本研究では、無毒化ボツリヌス神経毒素を基にした抗体送達システムを用いて、神経変性疾患に関与する病原タンパク質の凝集を抑制あるいは分解することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
ボツリヌス神経毒素 (BoNT) はボツリヌス菌が産生するタンパク質毒素である。体内に侵入した本毒素は神経細胞に結合し、毒素ドメインを細胞質に送達する機能を持つ。一方、抗体などの医薬性タンパク質を神経細胞内に送達することは一般的に困難である。本研究の目的は、神経細胞において恒常的に産生される内因性病原タンパク質を標的とした分解促進技術の開発である。本年度は特に、BoNTおよびBoNT様毒素 (BLT) を基にした新規薬物送達キャリアーの開発および抗体送達活性を評価した。2021年に我々はA型BoNTとBLTの一つであるX型BoNTのドメインから構成される無毒キメラ毒素ciBoNT/XAがマウスに毒性を示さないことを報告した。本年度はA型BoNTとBLTの一つであるEn型BoNTから構成される無毒化キメラ毒素キャリアーを開発した (ciBoNT/EnA)。キメラ毒素ciBoNT/EnAの活性中心に点変異を導入し酵素活性を消去した。A型BoNTに対するVHH (重鎖抗体の可変領域) をciBoNT/EnAに連結したVHH-ciBoNT/EnAを大腸菌組換え発現系により作製し、各種クロマトグラフィーで精製した。マイクログラム量のVHH-ciBoNT/EnAをマウス腹腔内に投与するとマウスが斃死した。ボツリヌス菌が産生するBoNTの多くはピコグラム量でマウスに神経麻痺を引き起こす。このことから、VHH-ciBoNT/EnAの毒性はBoNTに比べて低下しているが、依然として原因不明の毒性をもつことが示唆された。初年度の結果とあわせて、X型BoNTとBoNTの受容体結合ドメインから構成されるキメラ毒素のみがマウスに毒性を示さない無毒キメラ毒素であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度において新規キメラ毒素のタンパク質発現から精製までに時間を要した結果、本年度では二つの新規キメラ毒素(ciBoNT/EnAおよびciBoNT/XD)を作製することに成功した。すなわち、当初の計画通りに抗体送達キャリアーとして様々なキメラ毒素を精製し、それらのマウスに対する毒性を明らかにした。一方で、培養細胞におけるα-Synucleinの凝集形成に対する抗凝集ペプチドの送達評価系の確立には至らなかった。キメラ毒素による医薬性タンパク質の輸送による内因性病原タンパク質の分解については、未だ明らかになっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
抗BoNT抗体を連結したciBoNT/XA (VHH-ciBoNT/XA) がA型BoNTによる神経麻痺期間を劇的に短縮することを報告したが、その分子メカニズムは不明である。そこで次年度は、ciBoNT/XAにより送達された抗体と標的タンパク質の分解メカニズムについて検証する。細胞内のタンパク質分解システムであるユビキチン・プロテアソーム系、あるいはオートファジー・リソソーム系の阻害剤を用いて、VHH-ciBoNT/XAによるBoNT/Aの分解メカニズムを検証する。さらに、タンパク質分解シグナルであるデグロン (degron) をVHH-ciBoNT/XAに導入し、分解が促進されるか検証する。
近年、BoNT/Aに対する種々のVHHが報告された。BoNTの酵素活性中心あるいはその他の部位に結合するVHHを各々ciBoNT/XAに連結した新たなキメラ毒素を作製し、その神経麻痺短縮効果を調べる。これにより、送達されたVHH抗体がBoNTの活性中心に結合することが必須なのか否かを明らかにできると考えた。得られた知見を元に内因性病原タンパク質の新たな分解法を考案する。
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