Project/Area Number |
22K18248
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 1:Philosophy, art, and related fields
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 敦郎 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (20436596)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 和俊 京都工芸繊維大学, 未来デザイン・工学機構, 准教授 (40545076)
中野 佳裕 立教大学, 21世紀社会デザイン研究科, 特任准教授 (60545218)
水内 智英 名古屋芸術大学, 芸術学部, 准教授 (70724839)
鈴木 和歌奈 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 講師 (70768936)
モハーチ ゲルゲイ 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (90587627)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥25,740,000 (Direct Cost: ¥19,800,000、Indirect Cost: ¥5,940,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
|
Keywords | モノづくり / 木材流通 / エスノグラフィ / デザイン / 科学技術論(STS) |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、「モノづくり」と人文社会科学を結びつける「クリティカル・メイキング」という方法を開発することである。現代の持続可能性の危機に応えるためには、人文社会科学(特に科学技 術論)の批判的な想像力と、人工物や仕組みを作り出すデザイン能力の双方が必要である。本研究では、デザイナーと人文社会科学者が一般の人々と共同でモノづくりを行い、その過程で現れる環境、政治経済、日常生活、テクノロジーの関係をともに探求していくことで、この二つを結びつける。これによって、従来「知ること」に焦点化してきた人文社会科学の方向性を「作ること」へと大き く転換することを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1)木材流通に関する調査を継続するとともに、2)モノづくりと社会調査を結びつけるためのデータ管理プラットフォームの構築、方法論の整理を行った。 1)の木材流通調査においては、京北における針葉樹の木材利用の調査を継続するとともに、より地域的な木材流通が見られる広葉樹流通の現状について飛騨と南九州の状況の調査を行なった。その結果、これらの地域においては多様な木材を多様な用途で活用する産業が歴史的に成立し、その後の高度経済成長の中で変容・衰退してきたことが明らかになった。また、現代にこうした流通の仕組みを再生しようとする動きがあることも明らかになった。これらの調査成果をもとに針葉樹流通の現状を検討し、以下の知見を得た。建材生産を中心にする針葉樹流通では製材工場の大規模化と活用される木材の均一化が進んでおり、活用される木材の幅が狭まりつつある。多様な木材を効率的に活用するためには、地域内の中小規模な需要に応えられる中小製材所が不可欠だが、中小規模の製材所は急激に姿を消しつつある。針葉樹の地域的な需要としては空き家や古民家の改装、コンクリートのビル等の木質内装などへの注目が集まっている。これを踏まえて、京北産木材の有効活用の可能性がある領域として既存建物の改修に焦点を当て、この領域でのクリティカル・メイキングの実験を行うための実験サイトの構築に取り掛かった。 2)モノづくりを調査に取り入れるに当たっては従来と異なるデータの取り扱いやデータを調査者、デザイナー、作り手、一般参加者で共有する新たな枠組みが必要になる。そこで本年度はデータ共有のためのデジタル・プラットフォームのプロトタイプの開発を行なった。次年度から、1)で開拓した実験サイトにおけるクリティカル・メイキングの実験の中でプラットフォームの運用と改良を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
木材流通の調査は順調以上に進捗し、クリティカル・メイキングの実験を開始するのに十分な調査を本年度の前半には終えることができた。また広葉樹流通に関する追加的な調査を行うことができ当初の想定以上に順調に進捗していると言える。クリティカル・メイキングの実験については温熱センサーのDIYの実験を一般の参加者を交えて継続した。一方、こうしたDIYの実験を社会調査のプロセスに統合するためにはデータ共有の方法をかなり工夫する必要があることがわかってきた。データ共有のプラットフォーム作りには当初の想定以上の労力を割くことになり、当初予定していたプロトタイピングの実験一件が次年度に持ち越しになった。ただし、プラットフォーム作りの課題は本年度概ね解決し、プロジェクト全体の進行への影響は軽微であった。また、当初は想定していなかった本年度は建築分野との共同研究が進捗し、デザインと人類学に建築を加えた学際的な体制づくりをすることができた。 上記を総合的に勘案して、概ね順調に進捗していると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度からは、完成したデータ共有プラットフォームのプロトタイプを運用しながら、京都市内の実験サイトと京北のファブヴィレッジ京北を連動させながら、クリティカル・メイキングの実験を行っていく。モノづくりや活動のプロセスについてのエスノグラフィックなデータを蓄積するとともに、このプラットフォームを通して一般の人々がクリティカル・メイキングのプロセスにいかに参加することができるのかを実践的に探っていく。また、映像をはじめとする多様なデータを活用して、モノをつくるプロセスを通して社会、テクノロジー、環境の関係がいかに立ち現れるのかを記述し、社会調査の方法としてのモノづくりが持つ意義を多角的に検討していく。 これらの実験を木材流通というコンテクストの中で行うため、新たに建築家とのコラボレーションを開始する。特に建築と人類学という二つの異なる知識がクリティカル・メイキングを通していかに影響を与え合うのかを批判的に検討する。
|