Project/Area Number |
22K18319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 28:Nano/micro science and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横川 隆司 京都大学, 工学研究科, 教授 (10411216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 努 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 客員研究員 (50402897)
朝野 仁裕 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (60527670)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥26,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000、Indirect Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | ナノマイクロ加工 / BioMEMS / ナノマイクロバイオシステム / 再生医工学 / 人工臓器学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ミニ臓器である大脳オルガノイドに対して、急激な血圧・血流変化を付与することにより、虚血性脳卒中の病態を模倣するStroke-on-a-Chip(脳卒中チップ)を作製する。さらに、チップを用いて得られた脳卒中誘導因子について、患者の遺伝子発現解析により検証する、新たなバイオマーカー探索研究領域を拓く。近年、チップ内においてオルガノイドを培養するOrganoid-on-a-Chip研究により血管化オルガノイドを実現し、さらに血圧・血流を制御する機構を付与し、チップ上において部位特異的な虚血状態を再現するSoC製作を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大脳オルガノイドを用いて虚血性脳卒中の病態を模倣するStroke-on-a-Chip(SoC、脳卒中チップ)を作製する。さらに、SoCを用いて得られた脳卒中誘導因子について、患者の遺伝子発現解析により検証する、新たなバイオマーカー探索研究領域を拓くことが研究目的である。2023年度は、それぞれ以下の項目に取り組んだ。 【研究計画1】血管新生促進・阻害因子の時空間的解析に基づく脳オルガノイドの血管化:血管床と大脳オルガノイドの共培養では、一時的に血管新生が進むものの、最終的に血管構造が縮退する。オルガノイドから部位特異的に細胞を取得する技術を2022年度に確立し、その最適化とマイクロアレイ解析を進めた。オルガノイド中心部の低酸素領域のみだけでなく、周辺部の血管貫入部位についても細胞を取得しGO解析を実施したところ、血管新生、アポトーシス関連遺伝子の発現が変化していた。血管新生関連因子についてオンチップでの評価を実施し、オルガノイドの共培養時に添加することで、血管新生頻度が上昇すること、オルガノイドの内部への血管侵入が見られることがわかった。 【研究計画2】血圧・血流制御によるSoC作製:培地導入用インレットとアウトレットの形状を工夫することで、灌流できる血管網構造を維持し計画1を実施した。この血管床については、機械学習を活用した成熟度の評価や数理モデルを活用した血管網形成の理解を進める予定である。 【研究計画3】ヒト死後脳虚血組織を用いたSoCモデルの検証:冨田Gと京都大学において中央一括審査を終了し、試料を京都大学に移動した。この前後で、冨田の異動に伴い、研究分担者を朝野に交代し試料に関する情報のやり取りを進めた。これまでに、ヒト倫理審査を経て13症例を選定しており、脳切片から数~数10細胞レベルで細胞を取得し、タンパク質・遺伝子発現解析を実施する環境までを整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれの研究項目について以下の成果が得られており、進捗は概ね順調である。 【研究計画1】血管新生促進・阻害因子の時空間的解析に基づく脳オルガノイドの血管化:遺伝子解析のための細胞回収技術を確立しており、共培養10日間の遺伝子解析を実施することで血管新生やアポトーシスに関する遺伝子発現低下を捉えた。血管新生関連因子については、オンチップでの検証を進めることができており、計画2で作製するStrokeとの対応を評価する技術基盤が確立した。 【研究計画2】血圧・血流制御によるStroke-on-a-Chip(脳卒中チップ)作製:リザーバに導入する培地量を変更することで、血管内腔を灌流できる基盤技術が整った。既に培地交換時などに灌流しながらオルガノイドの共培養を実施しており、遺伝子解析の結果が得られている。 【研究計画3】ヒト死後脳虚血組織を用いたStroke-on-a-Chipモデルの検証:本研究課題提案時より、国立循環器病センターの冨田Gと倫理審査の調整を続けてきた。倫理審査後、上記の通り担当を朝野に交代したがヒト脳卒中死後組織の閉塞コアとその周辺組織の輸送やそれに関わる情報を入手することはできており順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、ミニ臓器である大脳オルガノイドに対して、急激な血圧・血流変化を付与することにより、虚血性脳卒中の病態を模倣するStroke-on-a-Chipを作製する。さらに、チップを用いて得られた脳卒中誘導因子について、患者の遺伝子発現解析により検証する、新たなバイオマーカー探索研究領域を拓くことを目指している。2023年度は、マイクロ流体デバイスの設計・製作、オルガノイドと血管床の共培養により得られたオルガノイドや血管網の評価を進め、血管新生関連因子を用いることでオンチップでのオルガノイドの一部血管化を達成した。さらに、冨田(朝野)Gとの倫理審査後のヒト試料輸送を進めた。今後は、さらに遺伝子解析を進め、培養環境とオルガノイドの部位に応じた遺伝子解析を実施する。血管内腔を灌流できるアッセイ系を確立できたため、灌流や加圧条件を変更してオルガノイド培養をする予定であったが、担当していた博士研究員が2023年度途中で母国に帰国することとなったため、今後は主に課題3のヒト試料を用いた遺伝子解析を進める。朝野Gと共にヒト脳卒中死後組織の閉塞コアとその周辺組織を用いて遺伝子解析を実施し、オルガノイドのそれと相関を調べる。
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