Budget Amount *help |
¥25,740,000 (Direct Cost: ¥19,800,000、Indirect Cost: ¥5,940,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初のアイデアである高分子材料の超高屈折率化は,代表者らが独自に見いだしこれまで展開してきたビス(3,5-ジメチルフェニル)ジスルフィドの酸化重合により得られる誘導体が,3,5-位のメチル基により完全非晶質 (結晶化度0%),高耐熱性 (Tg = 約200 oC) を示したことによる,新たな光学材料への展開の可能性に基づくものである。これは,結晶質部位による散乱や可視部吸収帯がないことによる高い可視光透明性,高い硫黄含量に基づく高屈折率と高アッベ数などを光学特性の設計要素として含硫黄芳香族高分子で初めて着目したことによる。本年度は,この考え方を着実に進める一方で,光学特性と表裏の関係にある電気物性,具体的には誘電性について,極めて興味深い性質が発現することを着想し,これを具体的に確かめた。すなわち,ビス(3,5-ジメチルフェニル)ジスルフィドの酸化重合により得られる上記のポリマーが,超低誘電損失 (10 GHz にて0.001以下) を示すことを数十GHzの範囲の周波数帯で明らかにし,PPS鎖本来の特徴として期待されながら実証例の無かった斬新な物性を引き出すことができた。この電気特性も,光学特性と同様に,芳香環と硫黄原子の分極性高いソフトな性質が高分子主鎖に沿って無定形状態で多重集積した「場の効果」として一般化できると考えられる。このようなソフト分極場の概念を誘電特性制御に拡張することによって,超分子相互作用を含むネットワークを高周波下での分子振動抑制に利用することで,近く到来する6G通信を支える革新的な超低誘電損失材料を創出できることを明確にした。「ソフト分極」の概念拡張により,従前の光学特性から電気特性への新展開が可能となったことで,本研究が当初の研究計画以上に進展し,重要な成果が得られつつあるものと確信している。
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