血液脳関門を介さない皮膚から脳への新規薬剤輸送機構の解明
Project/Area Number |
22K18392
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 53:Organ-based internal medicine and related fields
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金田 眞理 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座教授 (70397644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 秀樹 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90230044)
前田 真一郎 大阪大学, 大学院薬学研究科, 講師 (60452398)
小池・熊谷 牧子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座助教 (30391949)
中村 歩 大阪大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (40602686)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥26,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000、Indirect Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,400,000 (Direct Cost: ¥8,000,000、Indirect Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,400,000 (Direct Cost: ¥8,000,000、Indirect Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | シロリムス局所外用療法 / シロリムス / 新規薬剤輸送機構 / 血液脳関門 / 結節性硬化症 / てんかん / 中枢神経病変治療用外用薬 |
Outline of Research at the Start |
結節性硬化症(TSC)はmTORC1(エムトールC1)の恒常的活性化で、全身に腫瘍やてんかんを発症する遺伝性疾患である。TSCの皮膚病変治療薬である、mTORC1阻害薬シロリムスの塗り薬を使用していた患者の中に、皮膚への少量塗布で血中シロリムス濃度の上昇なく、てんかんが改善する患者が現れた。そこでてんかんを有するTSCのモデルマウスで検討したところ、マウスでも同様の結果が得られた。皮膚塗布により、シロリムスが血液を介さずに、脳へ輸送された可能性が考えられた。本研究ではその機構の解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
結節性硬化症の皮膚病変治療薬である、mTORC1阻害薬シロリムスの塗り薬を使用した患者の中に、皮膚への少量塗布で血中シロリムス濃度の上昇なく、てんかんが改善する患者が現れたので、皮膚塗布により、シロリムスが血液を介さない新規の機構で脳へ輸送され効果を発揮したと考え、その新規薬剤輸送機構の解明を目指すことにした。 昨年度は、まず、てんかんを発症し、シロリムスの全身投与で治癒する結節性硬化症のモデルマウス(TscMitf CKOマウス)を用いて、シロリムス外用薬のてんかん抑制効果を検討し、結果として結節性硬化症のモデルマウスにおいても人と同様に、シロリムスの外用でてんかん発作の軽快治癒が認められることを確認した。 今年度は、モデルマウスにおけるシロリムス外用薬の効果が血液を介さない(血液脳関門を通過しない)新規の薬剤輸送機構であることを確認するために、まずシロリムス外用薬のてんかん抑制効果は外用薬のシロリムス濃度に有意に相関するが、マウスの血中濃度とは相関しないことを示した。さらに血中濃度を同じにすると、てんかん抑制効果はシロリムス外用薬を皮膚に塗布した時の方がシロリムスを全身投与した時に比べて、有意に強いことも確認した。そのうえで、塗布部の皮膚にきている神経を切断して、シロリムス外用薬のてんかん抑制効果を検討した。その結果、神経を切断するとシロリムス外用薬のてんかん抑制効果は消失することが確認できた。また神経切断の有無で血中のシロリムス濃度はかわらなかった。以上よりシロリムス外用薬のてんかん抑制効果は、シロリムスの血中を介さない、経神経的な新規の薬剤輸送機構を介したものである可能性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロシアのウクライナ侵攻などの影響による試薬不足のために昨年までに生じていた研究の遅れはかなり解消されたが、当大学の動物実験施設の移転に伴い、モデルマウスの疾患感受性に変化を生じたため、さらに、昨年以来の円安の影響で解析費用や機器、試薬などの高騰のため、実験計画の一部の変更を余儀なくされた。ただし、研究全体の進捗状況は概ね予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で我々は、人のみならずマウスにおいても、シロリムスの皮膚への少量塗布で血液を介することなく、てんかん発作の抑制が可能であることを示した。しかしながらその機序に関しては不明である。今後は、シロリムスがダイレクトに脳に入ってその効果を発揮することを確認するために、まずは、前述のモデルマウスの皮膚にシロリムスゲルを塗布し、マウスの皮膚組織、脳組織、血液中のシロリムス濃度をLC/MS/MS法で測定する。シロリムスがダイレクトに血液を介さずに脳に移行することが確認できれば、本マウス以外の結節性硬化症のモデルマウス、コントロールマウス、およびアルツハイマー病やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの中枢神経系の炎症性疾患や変性疾患のモデルマウスを用いて、血液を介さない脳へのシロリムスの新規薬剤輸送機構が、正常時にも存在する機構であるのか、本マウスあるいは結節性硬化症に特異的な機構であるのか、中枢神経系に炎症や変性がおこった時に認められる特異的な機構であるのかどうかを検討する。ついで、シロリムス以外の薬剤でシロリムスと同様に血液を介さない中枢神経系への輸送が可能な薬物の有無を検討する。
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Report
(3 results)
Research Products
(24 results)
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[Journal Article] Clinical practice guidelines for pseudoxanthoma elasticum (2017)2022
Author(s)
Iwanaga Akira、Utani Atsushi、Koike Yuta、Okubo Yumi、Kuwatsuka Yutaka、Endo Yuichiro、Tanizaki Hideaki、Wataya‐Kaneda Mari、Hatamochi Atsushi、Minaga Kosuke、Ogi Tomoo、Yamamoto Yosuke、Ikeda Satoshi、Tsuiki Eiko、Tamura Hiroshi、Maemura Koji、Kitaoka Takashi、Murota Hiroyuki
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Journal Title
The Journal of Dermatology
Volume: 49
Issue: 3
Pages: 91-98
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Book] 結節性硬化症2023
Author(s)
金田 眞理
Total Pages
6
Publisher
(株)総合医学社
ISBN
9784883784691
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