Project/Area Number |
22K18454
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 1:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
香田 啓貴 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70418763)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
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Keywords | 文化進化 / 絵画 / 表象 / 生物進化 / 比較認知 / 芸術 / 文化伝達実験 |
Outline of Research at the Start |
芸術と認知科学の学際交流は近年盛んである一方,生物進化の産物と捉え,動物に萌芽を見る取り組みは,これまでにあまりない.本研究では,社会心理学や比較認知科学の手法を利用して,動物に伝言ゲームをさせるような実験を実装し,それを利用した行動の変容過程を探り,その変容過程に芸術的な法則性が潜んでいるかどうかを観察する挑戦的な研究である.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の骨子・中心的な概念である文化進化伝達の動物研究の応用可能性についての調査にあたった。また、並行して、事前に得られていた実験データについての分析手法の探索にあたった。そこで、主に、文献の調査と実験方法の精査、さらに、最新の統計手法の適用方法についての文献調査、並びに統計モデル構築を予備的に進めた。 まず、文献調査をヒト・サルを中心として、類似研究の状況を改めて精査した。絵画を利用して、そのヒトとサルとの比較研究を近年実施したものは未だ少なく、計画段階と同じ状況であった。本計画を企画するきっかけとなったニホンザルでの調査データについて分析を進めた。サルに視覚刺激を提示し、それを運動によって再現し、その運動再現を、次の実験での視覚刺激として再利用するという文化伝達実験に基づいた実験データであり、ヒトが言語的に表現するような図形的な表象についての再現が悪い点が予備的に確認できていたが、それらを統計的に示すための方法について、研究を進めた。実験では、課題で図形の再現を繰り返すたびに、刺激形状が変化し、最終的に収束する刺激の形状・状態を考察する。こうした再帰的な図形生成の特徴変化を調べるためには、従来的な頻度主義的な統計解析より(例えば、図形位置Aが、図形位置Bと比較して統計的に有意に再現成績が良い、といったことを示す)、文化進化・伝達実験で主流的に利用されている階層ベイズの統計モデルを利用した、パラメタ推定手法(図形再現をする上で、どのような位置について再現効率が良いかを示す確率分布を推定するようなモデル)が適切であると考え、先行研究を参考にしながら、その手法の確立に当たった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
採択直後に早速雇用を計画していたポスドクの雇用が思うように進まなかったため、文献調査と計画の精査に専念したため。予備的なデータは取り揃えており、最初の研究論文は早々に発表できる可能性も高い。
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Strategy for Future Research Activity |
改めて実施した文献調査の結果、本研究の着目点として独創的な点としての、文化伝達実験については、サルでの実験状況は相変わらずほぼない状況だったが、図形に対するアプローチとしてヒトで実験された研究を発見したが、その論文では計画段階で予定している、中点や特異的な図形点に対する記憶・再現はむしろ弱いといった報告となっており(Langlois, T. A., Jacoby, N., Suchow, J. W., & Griffiths, T. L. (2021). Serial reproduction reveals the geometry of visuospatial representations. Proceedings of the National Academy of Sciences, 118(13))、本計画の予測と逆である点が確認でき、検証するべき点が明瞭となったと言える。それを踏まえて、なぜ、Langlois 他2021では、図形頂点や重心といった「ランドマーク」位置に対する再現性が悪いのか、また、どの条件が付与されると、再現性が高くなるのかなどについてのヒトを対象にした実験を計画する。それらの結果と、ニホンザルでのデータとの付き合わせを行い、論文として出版できるようしたい。また、ポスドクを引き続き募集して、迅速な成果発表につながるように計画を進めていく。
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