Project/Area Number |
22K18456
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 1:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 美亜 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20436695)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 認知症 / 芸術活動 / 文化セクター / 福祉セクター / ケア観 / アート / ケア / 障壁 |
Outline of Research at the Start |
文化と他分野との連携は、今日の文化政策において重要な課題となっている。しかし、認知症高齢者などが参加する芸術活動の現場では、文化セクター(アーティスト、文化団体、文化行政等)と福祉セクター(介護者、福祉職員、福祉行政等)の専門性の違いから、活動がうまく始められない、あるいは継続が困難というケースが数多く報告されている。本研究の目的は、両セクターの間にある障壁を構造的な問題と捉え、知識・理解、コミュニケーション、制度の3つの観点から分析することで課題を明らかにすること、また、国内外の成功事例を併せて調査することで、障壁を克服する具体的提言を行うことである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は文化セクターと福祉セクターの間にある障壁を解明すべく、各セクターから立場の異なる4人(計8人)を選定し、1時間半から2時間のオンライン・インタビューを実施した。もともと想定していた「知識・理解、コミュニケーション、制度」という3つの観点以外にも、それぞれの立場・経験に合わせ、関連する事項を適宜質問した。インタビュー後は文字起こしをし、分析を行なった(継続中)。 分析の途中ではあるが、すでに当初予想したのとは異なる結果が示されている。研究を計画する時点では、文化セクターと福祉セクターの間に障壁があるため、両セクターの協働が難しくなると考えていたが、インタビューを進めるに従い、両セクターにはさまざまな違いがあるものの、それらは障壁を生み出す本質的な要因ではないことがわかってきた。 むしろ重要なのは、「ケア観」(ケアをどう捉えるかという考え方や価値観)が共通しているかどうかということのようだ。福祉セクターの中にも、人間どうしのふれ合いを大切にするところもあれば、そうでないところもある(例えば、作業効率を優先するなど)。文化セクターの中にも同様に、人間どうしのふれ合いを大切にする人もいれば、そうでない人もいる(例えば、芸術ジャンル内の表現のスキルを優先するなど)。ケア観が共通している場合は、セクターが異なっても協働は難しくない。ところが、ケア観が一致していない場合は、協働が困難になる。もちろん、予算や勤務時間など現実的な障壁もあるが、ケア観の違いが何よりも重要であるということが見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費基盤(B)の関連した研究プロジェクトも採択されたことにより、国内外の情報収集や概念の整理など、相互に連携して研究を進められるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのインタビューで当初の予想と異なる結果が示されたため、アンケート調査の項目や実施方法など研究計画の軌道修正が必要である。インタビューの結果分析を急いでまとめ、専門家を招いて研究会を実施し、今後の方向性を見定めることが重要と考えている。
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