Project/Area Number |
22K18472
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 2:Literature, linguistics, and related fields
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
市島 佑起子 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 講師 (60714805)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
|
Keywords | 地域方言 / 外国人留学生 / 日本語教育 / インタビュー調査 / 地方大学 / 日本語 / 方言主流社会 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、留学生の日本語地域方言学習は何を目指せば良いのかという問いを持って、その基礎となる検討を行うものである。①日本の地方大学、いわゆる方言主流地域に在住する留学生の地域方言との関わりや認識、②留学生の主要排出地域である東アジアの高等教育機関日本語教育における日本語の地域方言の扱い、これら2つについての調査・検討を通して解を探り、教育現場で応用可能な提案を行うための方向性を見いだす。
|
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度の主な研究活動として、外国人留学生と地域方言に関わる先行研究の調査、留学生へのインタビュー調査、調査結果のデータ化・分析方法の再検討を行った。
【先行研究調査】本研究遂行のための基礎調査として、論文検索エンジンや関連学会資料の検索による先行研究調査、国立国会図書館での2回の文献調査・収集を行った。これにより、過去に行われた留学生を対象とする地域方言関連の調査研究、教育実践に関する資料を幅広く収集した。合わせて国外での日本語地域方言の教育実践や、技能実習生・永住者といった別の在留資格を持つ外国人を対象とした調査研究についても広く情報を得た。 【留学生への調査】地方大学に在籍経験のある元留学生への調査(予備/本調査:インタビュー形式)を実施した。調査で得られたデータを元に、成果発表に向けた結果の質的分析、令和5年度も継続する調査に向け、調査項目の精査・修正を行っている。 【調査結果のデータ化・分析方法の再検討】本研究では当初、インタビュー調査結果のデータ化・翻訳作業を謝金によるアルバイト雇用で実施する予定であった。しかし先行研究調査を通して、質的研究に有用な支援ソフトや文字起こしツールの知見を得ることができたため、利便性の高いこれらのツールを利用する方向で試用、検討を行った。 【その他】国内学会の研究大会に参加し、日本語学習者と日本語バリエーションを研究対象とする他機関研究者らと意見交換し、情報収集の機会を得た。
令和4年度は上記のような研究活動を通して、本研究課題の柱となる、留学生教育、日本語教育において地域方言をどのように示し扱うかについて検討するための基盤整備を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の令和4年度研究計画に照らして、各種調査の実施を中心にやや遅れが出ている。研究計画の3つの柱として、(1)地方大学に在籍する留学生/在籍した元留学生への調査、(2)東アジア高等教育機関の日本語教育担当者への調査、(3)学会発表やWeb情報発信を通した研究成果の公開がある。
まず、(1)(2)に関連した先行研究調査は順調に進んでいる。多数の先行研究資料を収集分析し、調査内容精査のための知見を得ただけでなく、質的調査研究に有益な分析ツールの情報を得て、調査結果のデータ化や分析をより効率的、実質的に行う方法を再検討することができた。 一方、(1)のインタビュー調査、(2)のオンライン質問紙調査は遅れが出ている。(1)の留学生/元留学生に対するインタビュー調査は数件にとどまった。複数名から調査協力の同意を得ていたものの、日程調整等の理由で令和4年度中に調査が完了できず、令和5年度に先送りしたためである。(2)の日本語教育担当者へのオンライン質問紙調査は、先行研究調査を元にした調査内容の確定が遅れている。このため令和4年度は、被調査者選定や調査依頼も未実施のままとなった。(1)(2)の遅延調査については、令和5年度以降に順次実施する。このような状況下ながら、(1)で実施した調査の結果をもとに、分析ツールを使用した質的分析を進めている。また、分析結果をもとに中間成果報告の準備を行っており、(3)情報発信として、令和5年度開催の研究大会への発表申請を開始した。2023年4月時点で、9月実施の国際研究大会での発表1件が確定している。
以上のように、調査を中心に遅れが見られるものの、研究課題終了までの調査、分析、成果公表に重大な影響が出ないよう計画全体を常に見直しながら研究を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の新たな研究推進方策として、被調査者数の見直し、Google siteの利用、質的研究分析ツールの活用を検討している。先に述べた通り、本研究課題計画の3つの柱として、(1) 留学生/元留学生への調査、(2)日本語教育担当者への調査、(3)学会発表やWeb情報発信を通した研究成果の公開がある。
まず、(1)留学生/元留学生への調査人数(予備調査10名、本調査30名)について、これを下方修正する。先行研究調査を通して、本研究課題の目指す質的研究は数量的測定に頼らず、むしろ数値化しにくい多様な現象やその背景に目を向けることに主眼が置かれていることが改めて確認できた。限られた研究エフォートを被調査者の大人数確保・調整に多く割くよりも、調査、データ分析、考察、成果発表に注力したいと考えた。(1)全体で十名程度を目標とし、(2)の被調査者数についても今後検討を加える。 また、(3)のWeb情報発信ツールとしてGoogle Siteの利用を検討する。Google siteは、Googleアカウント所持者がWebページを作成、管理できるサービスである。現在、別業務で使用しているGoogle Siteが最も負担なく管理でき、十分な機能を備えていることから、効率的な成果発信につながると考えている。 最後に、本研究課題のデータ分析をより実質化するためのツールとして、質的データ分析支援ソフトであるNvivo(ユサコ株式会社)を導入予定である。過去の質的研究では、Excel等多数のソフト、ファイルを駆使して分析を行うことが一般的であったようだが、近年、Nvivoのような支援ソフトを利用した研究成果を目にすることが増えた。今回の先行研究調査を通して近接分野での活用例を学んだことに加え、有料のNVivoワークショップにも参加し、実際に試用したことで、本研究課題での活用が期待できると判断した。
|