Project/Area Number |
22K18481
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 2:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
伊藤 信博 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90345843)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 染色型紙 / ジャポニスム / 西欧の応用美術の発展 / 染織型紙 / 絵写本・版本の表装文様 / ジャポニスム発展史 / 道具 / 美術品 |
Outline of Research at the Start |
日本文化と西欧文化の繋がりを染織型紙文様をキーワードに、西欧におけるジャポニスム発展史を総合的に明らかにし、書誌学的な研究の発展にもつながる研究を行う。また、この研究から、海外における染織型紙収蔵の経緯やいつ頃所蔵されたのかなどを調査し、忘れられた日本文化である型紙に焦点を当て、型紙と版本や絵写本の文様の相互関係を立証、日本と西欧相互に渡る広がりのある世界的な文化遺産継承のための方法論を確立する。このような研究からは、明治期に西欧の影響を受けた近代の染織型紙製作の実態や西欧のジャポニスムが日本の型紙制作に与えた影響なども研究の視野に入るであろう。研究成果はHPでも公開し、書籍として刊行する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はコロナの影響で、西欧への調査ができなかったが、たまたま2022年5月にフランスのツール大学に招聘され、発表の機会があった。その際に、パリ・ギメ美術館の型紙を調査し、この年7月に採択されたため、この調査資料100枚程度を基礎資料として分析した。以前に調査した西欧における染色型紙資料400枚(パリ装飾美術館、アルザス版画館など)と比較分析した結果、四季を描く草花がその大部分であることが判明し、西欧における型紙受容の大部分が、草花であろうと現在は推測している。 そこで、日本における草花を描く染色型紙(名古屋造形大学所蔵)と比較の結果、春と秋の草花が非常に多く、夏は一部にとどまる結果と現在まではなっている。 なお、フランス・ストラスブールの美術館から、所蔵する作品の分析依頼が来ているが、コロナの蔓延により、次年度に延期をしている。その依頼は、2022年、3月に行われた、遠隔の国際研究集会『日本における知識伝承』の中で発表した「東西の美と日本文化 ー 日本の文化が西洋に与えた影響について」で言及した染色型紙のアルザス受容と応用美術の発展への寄与がその理由であり、現在、画像資料を基に比較研究を行っている。この美術館が所蔵する刀の鍔や染色型紙も草花を描く作品が多く、磁器も同様である。受け入れ時期は1800年代の後半から1917年頃までであり、歴史的な経緯の研究も進展させる必要性を深く感じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度はコロナの影響で、西欧への調査ができなかった。そこで、2022年5月にフランスのツール大学に招聘された際に、パリ・ギメ美術館の型紙を調査し、この年7月に採択されたため、この調査資料100枚程度を基礎資料として分析した。また、すでに所蔵する染色型紙(西欧美術館蔵)を基に比較分析を行った。どの所蔵館でも染色型紙の技法の一つである「突き彫り」が多く、自然の風景と草花の作品が多いことが判明している。そこで「突き彫り」の技術が自然風景を描くのに適しているかどうか名古屋造形大学所蔵染色型紙との比較研究が重要となってきている。テーマとして、現在「東西の美と日本文化 ー 日本の文化が西洋に与えた影響について」から、フランス・アルザスが所蔵する染色型紙との比較研究を通じ、どの技法が一番多く、どのような自然を描く作品を西欧が受容したのかを再確認しているが、パリ装飾美術館を含め、どの美術館の所蔵作品も「突き彫り」の型紙が多い事実、自然風景も草花作品が多いことから、西欧の受容は日本の草花を描く作品が多いことが明らかとなっており、その理由を研究することが必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
このような染色型紙の西欧受容、特にアルザスの受け入れが、19世紀後半から20世紀初頭である理由を歴史的過程で考察する必要性があること。また、草花モチーフの受け入れが多い理由や染色型紙には「突彫り」・「錐彫り」・「道具彫り」・「縞彫り」の四技法が中心であるが、その中で、「突彫り」が一番多い理由なども考察しながら、西欧のジャポニスムの発展と染色型紙の受け入れについて、再考していきたい。
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