Project/Area Number |
22K18529
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 7:Economics, business administration, and related fields
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岩壷 健太郎 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90372466)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
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Keywords | FX証拠金取引 / 行動バイアス / 投資戦略・取引行動 / 自信過剰 / 心の理論 / 時間割引 / 曖昧さ回避 / 取引データ / アンケート調査 / 非認知スキル / 行動ファイナンス |
Outline of Research at the Start |
伝統的なファイナンス理論では説明できない投資家行動に関するアノマリーに対して、行動ファイナンス学者からは多くの行動バイアスが提示されている。しかし、行動バイアスの多くが人々の選好や信念に基づいており、それらは観測データからは識別できないこと、さらに、あるアノマリーの原因として提示された行動バイアスの理論的帰結が似通っているため、どの行動バイアスがアノマリーの原因かを特定しにくい。そこで本研究ではアンケート調査と取引データを利用して、アノマリーや投資パフォーマンスの決定要因を解明する。アンケート調査と取引データを個人投資家ごとに紐づけることにより、経済主体の選好や信念と行動の関連性を検証できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2つの研究を行った。一つは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う円高時にFX証拠金取引を行う個人投資家がどのような投資行動をとったのか、その行動と投資パフォーマンスの関係を分析したものである。2020年3月、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う急激な相場変動によってFX投資家が大きな損失を被った。本研究では、ロスカットのタイミングや投資家の行動を調査した。ロスカットにあった投資家にはロスカット当日に市場に参入した短期投資家が長期投資家よりも多かったが、両者の損失差はあまり見られなかった。また、3月中の日々の取引では利益を出した投資家が損失を出した投資家よりも多かったものの、1人当たりの損失額が利益額よりもはるかに大きい。つまり、「損大利小」と呼ばれる行動バイアスが大きな損失の原因である。日本のFX投資家は逆張り傾向があるとの指摘が多いが、長期的には順張りの行動が多く、それが大勢の利益口座を生んでいる。 2つ目の研究は、過去に行った研究をジャーナルのレフェリーの注文に応えるべく、加筆修正したものである。大規模なアンケート調査を用いて、個人投資家の取引行動、行動バイアス、パフォーマンスを測定した。その結果、行動バイアスがパフォーマンスに最も大きな影響を与えることがわかった。行動要因のうち、自信過剰はパフォーマンスを著しく低下させるが、心の理論、時間割引、損失回避、曖昧さ回避も重要な役割を果たしている。また、高レバレッジ、他人のレートを参考にする、一貫したトレーディング・スタイルの欠如、トレンド・フォローなど、パフォーマンスに悪影響を及ぼす投資戦略やトレーディング行動もいくつか確認された。行動要因の影響は、投資戦略と取引行動をコントロールした後もなお強い。このことは、自らの行動バイアスを認識し修正することが、投資パフォーマンスを向上させる最も効果的な方法であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート調査と取引データの分析が十分に進展していないが、その理由は他の仕事が多いからであり、研究時間が十分にあれば、順調に進展していくと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、アンケート調査と取引データの分析に注力する。
建玉の保有期間やレバレッジと投資パフォーマンスの関係は、因果関係が双方向にあることが想定されるので、操作変数を用いて最小二乗法による推計を行うことが必要である。そこで、アンケート調査によって得られた行動バイアスや選好、投資家の属性を利用して、操作変数になることができる変数を探した上で、因果関係の推計を行う。
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