Developing Education Methods for Inclusive Debate
Project/Area Number |
22K18593
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 9:Education and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 奈良彦 九州大学, 言語文化研究院, 特任研究者 (90184762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上土井 宏太 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 助教 (90983198)
加藤 彰 九州大学, 言語文化研究院, 学術研究者 (80818360)
ハーン アーロン 九州大学, 言語文化研究院, 助教 (40712435)
李 相穆 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (60400298)
ODwyer Shaun 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (90786740)
久保 健治 九州大学, 言語文化研究院, 学術研究者 (90818361)
竹中 野歩 九州大学, 言語文化研究院, 学術研究者 (50818383)
張 小英 九州大学, 言語文化研究院, 共同研究者 (00914962)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | ディベート / インクルーシブ教育 / 議論教育 / 教育機会の平等 / 機械音声 / 音声認識 |
Outline of Research at the Start |
ディベートとは、本来は議論の内容で判定が下されるべきであるが、性別や発音が判定に影響するケースもある。また英語ディベートの授業で障害のある学生向けに音声認識ツールを導入したところ、英語が苦手な学生の積極的な参加にも繋がった。 そこで、ディベーター・審判・聴衆が発言者の母語や性別、外見、障害等といった属性に影響されにくい新しいディベート方法の開発を考えた。音声認識、音声合成、自動翻訳、アバター等の導入可能なツールをディベートに取り入れることで、①あらゆる属性の人のディベートへの参加障壁を低減する方法、②審判による判定の中立性及び公平性の向上に資するディベート方法、について検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、障害によりディベートへの参加が難しい人や、ディベートへの苦手意識を持つ人に向けて、アバターや音声変換等のツールを利用することで、ディベートへの参加障壁を低減する方法を探索している。一方で、ディベートにおいて重要な要素のひとつは審判が下す「判定」である。本来は議論の内容で判定が下されるべきであるが、性別・外見・話し方等が判定に影響する場合もあることが先行研究で指摘されてきた。前年度は、少人数のディベート経験者の学生を対象に、人間の音声のディベートと読み上げソフトを利用した機械音声ディベートの両方を判定・評価してもらうパイロット実験とインタビューを行い、機械音声への抵抗感は予想より少なく、判定に大きな影響は出ていない可能性が高いと分かった。 これを踏まえ、2023年度は同様の実験をディベート未経験者に対し実施した。具体的には、大学1年生の16名のクラスと20名のクラスをそれぞれ2グループに分け、各実験群に機械音声ディベートあるいは人間音声ディベートを視聴してもらい、判定とその理由、各スピーカーへの評価を出してもらった(判定の出し方については研究代表者が説明した)。その後、音声の聞き取りやすさや評価等に関するアンケート調査も実施した。人間音声ディベートについては、ディベート未経験者がジャッジを行う際には「話し方」や「早口」といったスピーチの内容以外の要素が判定に幾分影響を及ぼす可能性があることや機械音声への若干の抵抗感があることが分かった。 また、音声変換ツールとZOOMのアバターを用いて、ディベート経験者の学生に実験的にディベートの試合を実施してもらい、「インクルーシブディベート大会」が実現可能かどうか検討した。音声変換ソフトの音声調整等、技術的な課題が残されているが、今後もよりスムーズに「インクルーシブディベート」を実施できる環境の模索を続ける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は前年度末に設定した計画通り、2022年度にディベート経験者へ実施した小規模の実験を拡大実施した。ディベート経験者に機械音声ディベートと人間音声ディベートへの判定と評価を出してもらう実験とインタビューの実施は継続しつつ、ディベート(ほぼ)未経験者の大学新入生に対し同様の実験とアンケート調査を行った。未経験者の場合、議論の内容が難しいほど、機械音声ディベートへの抵抗感が増大する可能性が認められた。また、人間音声の場合は話す速度や話し方が判定に影響を与える可能性がある。これらを考慮に入れても、機械音声ディベートは内容を聞き取って議論を理解するには十分であると考え、機械音声やアバターを利用した「インクルーシブディベート」は実現の可能性が大いにあると考えるに至った。 そこで、ディベート経験者の学生数名を集め、実験的に即時音声変換ソフトとZOOMアバターを利用したディベートの試合を行い、使用感についてインタビューを実施した。経験者からは身振り手振りや聴衆に訴えかけるような要素が無いことを残念がる声もあったが、見た目や性別、話し方といった要素が判定へ与える影響は少なくなるだろうという意見もあった。また、この実験で撮影したディベート動画を経験豊富なジャッジ数名に見せて判定を出してもらったが、人間音声と機械音声では特に違いは無いようであった。 また、2023年度に実施された各種ディベート講座や大会においては、研究分担者の上土井・ハーン・オドワイヤー・李・加藤、研究協力者の竹中・久保・張等がジャッジや指導にあたり、ディベートの試合における議論や判定のデータ収集・分析を行った。研究代表者の井上と分担者の上土井を中心に先行研究の再検討も継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に試行した音声変換ソフトとZOOMアバターを利用した試合を基に、より完成された形の「インクルーシブディベート」を模索する。音声変換ソフトにより変換された機械音声は元の人間の声の高さが影響を与えるため、性別をマスキングするには調整が必要である。どこでも誰でも簡単に「インクルーシブディベート」を実施できるよう、引き続き様々な音声変換やアバター等のツールの試行を繰り返す。また、ディベートへの苦手意識が強い学生や障害により参加が難しい学生にもテストディベートに参加してもらい、使用感についての意見も取り入れる予定である。最終的には「インクルーシブディベート・ミニ大会」を実施するか、「授業ディベート」としての形を整え、教育現場へ導入しやすくする方法を検討する。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)