意思決定エージェントとしての市民を育成する変革的リスクリテラシーの指導法と評価法
Project/Area Number |
22K18625
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 9:Education and related fields
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂本 美紀 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (90293729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 留美子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20280761)
山口 悦司 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (00324898)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | リスクリテラシー / 科学教育 / 変革的リスクリテラシー / 意思決定 / 指導法 / 評価法 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,社会的視点からの問題解決,すなわち,利害関係者の合意形成につながる意思決定を行うための思考・判断・表現の能力を「変革的リスクリテラシー」と定義し,その育成に資する指導法と評価法の開発を目的とする。学際的な共同研究体制を組織し,2022年度は,市民がエージェントとして,社会問題に対する提案型意思決定を遂行する際に求められるリスクリテラシーについて,その理論化を中心に研究を進める。2023年度以降は,意思決定エージェントとしての市民に求められる変革的リスクリテラシーを涵養する教育プログラムの開発と,研究実践フィールドにおける実証実験を推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
市民が主体的で能動的なエージェント(共同体における行為主体者)として社会問題の解決に参与するためには,多様な人々のリスクに対する考え方や価値観の対立を乗り越えて合意形成をはかる意思決定と,そのための新しいリテラシーが求められる。本研究は,社会的視点からの問題解決,すなわち,利害関係者の合意形成につながる意思決定を行うための思考・判断・表現の能力を「変革的リスクリテラシー」と定義し,その育成に資する指導法と評価法の開発を目的とする。2022年度は,市民がエージェントとして社会問題に対する提案型意思決定を遂行する際に求められるリスクリテラシー,具体的には,ゼロリスク志向,リスク対ベネフィットのトレードオフ,リスク対リスクのトレードオフ,リスク認知のバイアス等について,その理論化を中心に研究を進めるとともに,リスクリテラシーを涵養する教育プログラムを開発した。学際的な共同研究体制により開発した教育プログラムでは,ゲノム編集技術を応用した食品の開発や利用をめぐる問題等を題材に,ゲノムや遺伝の仕組み,遺伝子組換えとゲノム編集の違いといった科学的知識の学習と,当該の科学技術問題におけるリスクとベネフィットの理解,多様な人々のリスクに対する考え方や価値観を踏まえて合意形成をはかるプロセスの体験を,主要な活動として設定した。併せて,学習を支援する資料や,当該の科学技術問題に対する学習者の意見やリスク重視傾向を外化させるワークシート,理解度確認の課題などを,専門家ならびに理科を専門とする教員の監修のもとに作成した。開発した教育プログラムの詳細について,日本科学教育学会研究会研究報告の論文として公表した。教育効果については,実験授業の際に収集した質的・量的データにもとづき,現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた研究内容がほぼ達成できたことが理由である。 市民がエージェントとして社会問題に対する提案型意思決定を遂行する際に求められるリスクリテラシーについて,その理論化を進めるとともに,リスクリテラシーを涵養する教育プログラムを開発することができた。このように,初年度において,リスクリテラシーの理論化と教育プログラムの開発が実施できたことは,当初の研究が順調に進展していると判断する根拠である。さらに,これらの成果を日本科学教育学会の研究報告の論文として公表できたことも,研究の進捗状況がおおむね順調であることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実践フィールドにおける実証実験で収集した効果測定用のデータを集計・分析し,開発した教育プログラムの成果評価を進める.評価により明らかになった問題点等から,教育プログラムでの指導内容や教材を改良して,さらなる実証を行う。教育プログラムの成果評価を通して,指導のデザイン指針および評価枠組みの精緻化を繰り返し,変革的リスクリテラシーの指導法と評価法を提案する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)