Project/Area Number |
22K18648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 10:Psychology and related fields
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西井 淳 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (00242040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪口 豊 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (40205737)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | リズム運動 / 楽器演奏 / 予備動作 / 運動計画 / 運動制御 / 演奏表現 / 運動技能 / タイミング / 感情表現 / 楽曲演奏 / 予備運動 |
Outline of Research at the Start |
プロ演奏家が楽曲演奏を行う際,規則的なタイミングから少しずらして発音することで様々な感情表現を行う。本研究では,楽曲演奏のリズム構造には感情表現のための要素が如何に内包されているかを解明する。さらに,演奏家が楽曲演奏において目的とするリズムを高い時間精度で実現するために,打鍵等の発音前の動作をどのように調整しているかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
楽譜に同じ音価(時間長)の音符が連続して記載されている場合にも,演奏家は各音の時間長に何らかの不均一性を持ち込むことで音楽的表現を生み出す.このような音楽的表現を,演奏家が楽譜上のどのような要素に基づいて生み出しているかを情報論的手法により検討した.具体的には,旋律が楽曲全体にわたって16分音符で与えられ,コードが各小節内では変化しないバッハの前奏曲(BWV846)を解析対象とし,各小節のコード,ベース音の出現確率や遷移確率が,プロのピアニストの演奏データにおける1小節あたりの長さや音量の変化に如何に影響を及ぼしているかを検討した。現時点では演奏家1名の解析のみであるが,各小節のコードの出現確率と,小節長(演奏時間)の平均値からの偏差に相関があることを示唆する結果を得た. また,音楽演奏において,演奏者がどのようにして指揮者の運動から演奏動作のタイミングを定める手がかりを読み取っているかを明らかにすることを目的として,指揮棒の動きを単純化した光点アニメーションを用いた実験を行った.この実験では,光点に合わせて打楽器(ウッドブロック)を打鍵する課題を設定し,光点の動きのパラメータの違いが打鍵時刻や打鍵に向けた準備運動に与える影響を観察した. その結果,前拍の打点の有無が準備運動の開始時刻や打鍵時刻に大きな影響を与えること,光点の動きの大きさ(振幅)は打鍵時刻に影響を与えないこと,振り上げ(光点の上昇)と振り下ろし(光点の下降)の時間的対称性が打鍵時刻に影響を与えることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
楽曲演奏において演奏家が各音の発音タイミングを如何に決定しているかという問題については解析結果が出始めたところで,今後の進展も期待できる.楽器から音を出すための予備動作の解析に関しても,初年度に行ったタッピング動作の解析によってある程度の成果を得ている。以上の理由により研究は概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き演奏家が楽譜上のどのような手がかりに基づいて実際の演奏における発音タイミングを決定しているかという問題を検討するため,様々な演奏家による演奏データに対する解析を行う.実際の演奏データの取得実験も行う予定である.この解析を通して,音楽的表現と演奏家の個性の関連性も探る。 また,楽器で音を出すために必要とされる予備動作の特徴を解明するための追加実験も行い,要求されるリズムの変化に応じて演奏家が予備動作をどのように時々刻々調節しているかについて検討する.それとともに,適切な時刻で発音を行うための予備動作の運動制御メカニズムに関する考察も行う予定である. さらに,指揮運動から演奏動作タイミングを定めるメカニズムについて実験を行う.すなわち,指揮運動に含まれる種々の視覚的手がかりを操作して打鍵時刻や準備動作に与える影響を明らかにする.これまでの実験結果は,種々の手がかりはそれぞれ演奏動作に対し一定の影響を与える一方で,特定の手がかりが決定的な役割を果たすわけではないことを示唆しており,このことから,演奏者の脳が複数の手がかりを統合して演奏動作のタイミングを定める内的機構の働きを調整していることが推測される.このような仮説を念頭において実験結果について考察を進めたい.
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