Project/Area Number |
22K18730
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
瀬川 高弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (90425835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲能 直樹 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, グループ長 (20250136)
西原 秀典 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (10450727)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 古代DNA / 環境DNA / 古代環境DNA / 更新世 / 絶滅動物 / 哺乳類 / ニホンオオカミ / ヒグマ / 堆積物 |
Outline of Research at the Start |
日本列島にはかつて多様な中・大型の哺乳類が生息していたが,大型種の多くは更新世末(1.2万年前)までに絶滅し,その存在は化石でしか知ることができない.そのため絶滅動物の全容解明には未だほど遠い.近年,新たなアプローチとして年代の古い堆積物からの環境DNAが注目されているが,技術的難度の高さから国内では成功例がない.そこで本研究では,系統マーカーとして広く用いられているミトコンドリアDNAを対象に,堆積物に含まれる絶滅動物の古代DNA解析をおこない,絶滅哺乳類の群集や分布域の推定に挑戦する.
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Outline of Annual Research Achievements |
日本列島にはかつて多様な中・大型の哺乳類が生息していたが,大型種の多くは更新世末(1.2万年前)までに絶滅し,その存在は化石でしか知ることができない.更新世の化石を用いた古代DNA研究は最近国内でもおこなわれるようになったが,それでも更新世化石の産出数は極めて少ないことから,絶滅動物の系統や渡来史などの全容解明には未だほど遠い.一方,近年では新たなアプローチとして年代の古い堆積物からの環境DNAが注目されている.しかし技術的難度の高さから国内では堆積物から更新世のDNAを解読した成功例がない. そこで本研究では更新世の大型哺乳類が産出している堆積物から古代環境DNA解析に挑戦した.堆積物試料の表面には現生の微生物群が多く付着しているため,それらのコンタミネーションを極力排除して古代DNA試料を採取し分析する必要がある.これまでクリーン環境下において試料内部のみを採取する手法を独自開発しており,これを用いて標本内部から試料を採取した.また更新世の堆積物中の大型動物のDNAの残存量は極めて少なく,断片化している.そのため代試料からの微量・短鎖DNAに特化した新たな抽出方法およびゲノムライブラリー構築を行うプロトコールの確立を図った. これまでに埼玉県の更新世の堆積物から環境DNAを抽出し,イルミナ社の次世代シークエンサーで塩基配列の取得をおこなった.現在,得られた塩基配列のデータから哺乳類DNA配列を抽出し,系統推定及び遺伝子の推定を行っている.また堆積物の採取時に大型動物の骨試料も採取され,現在その放射性炭素(14C)の量から年代を計測中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は更新世の大型哺乳類化石が産出している埼玉県の更新世の堆積物から古代環境DNA分析をおこなった.堆積物表面には付着したバクテリアや菌類などの微生物由来のコンタミネーションを極力排除するために,クリーン環境下において標本内部から試料を採取した.更新世の堆積物中には,オオカミおよびヒグマなどの絶滅大型由来のDNAは極めて少なく,またDNAは損傷し,非常に短く断片化している.そのため市販のDNA抽出試薬を用いることはできないことから,古代試料の微量・短鎖DNAに特化した収率の高いDNA抽出手法やゲノムライブラリー構築を行うプロトコールの確立を重点的におこなった. 更新世の堆積物から無菌的に抽出されたDNAを用いて新たに構築した手法でゲノムライブラリーを作成し,イルミナ社の次世代シークエンサーで塩基配列の取得をおこなった.現在,得られた塩基配列のデータから哺乳類DNA配列を抽出し,系統推定及び遺伝子の推定を行っている.また,堆積物の採取時に大型動物の骨試料も採取されたことから,現在その放射性炭素(14C)を指標として年代を計測中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に確立した堆積物からの微量・短鎖DNA分析の手法を用いて,更新世の大型哺乳類が産出している群馬県の更新世の堆積物からも古代DNA分析を試みる.シークエンスした古代メタゲノム配列データに対して高速な配列類似性検索をおこなうことで大型哺乳類由来の古代DNA配列を抽出し,それを現存個体データと比較することで近縁な系統を推定する.また現在進行中の埼玉県の更新世堆積物の環境DNA分析から得られる哺乳類の古代DNAとの比較解析をおこなう. また国内から記録のある絶滅大型動物種のミトコンドリア配列に特異的に結合するDNAアプタマーを合成し,磁気ビーズに付加させて使用することで,試料中から大型動物のミトコンドリアDNA断片を効率的に回収する方法も試みる.特異的に回収したミトコンドリアDNA断片に対して,イルミナ社の次世代シークエンサーで塩基配列の取得をおこなう.得られた塩基配列のデータから高速に哺乳類DNA配列を抽出し,系統推定及び遺伝子の推定を行う.また遺伝的多様性の変遷情報から過去の集団サイズの推定をおこなうとともに,これまで化石の古代DNA研究では見落とされてきた時代ごとに生息した生物種を網羅的に解析する.また,成果をまとめ国際誌に発表する.
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