Project/Area Number |
22K18812
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 21:Electrical and electronic engineering and related fields
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀出 朋哉 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70638858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大輪 拓也 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40649232)
田中 将嗣 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90597650)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 超伝導 / パーコレーション |
Outline of Research at the Start |
ネットワークの広がりはパーコレーション問題として知られている。本研究ではパーコレーションを扱う新しい計算プラットホームとしてパーコレーション物理コンピュータを生み出すことを目指す。超伝導体に電流を流した時の電圧発生パーコレーションに着目する。局所的に超伝導現象を変調した際の電圧挙動を観察することにより、入力パターン変化によるパーコレーションパス変化を実証する。さらに一般的問題とデバイスのインターフェースとなる数理モデルを構築し、デバイス原理の指針を示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、さまざまな電流パスパターンを有する超伝導体に電流を流し、その電圧発生挙動を評価した。これにより超伝導電流のパーコレーションの現象理解を進め、制御可能性を実証することを目的とした。 パルスレーザー蒸着によりYBa2Cu3O7(YBCO)膜を作製し、フォトリソグラフィーとウェットエッチングにより初期パターンの作製を行った。初期パターンについて電流―電圧特性を評価した後、電流パスを切断し電流―電圧特性の変化を観察した。ここでは超伝導体の常伝導状態での抵抗と超伝導状態での臨界電流密度を議論した。 抵抗は電流パスの分布には大きく依存せず、切断した電流パスの密度とともに増加した。これは電流が流れる平均面積が小さくなっていくことからリーズナブルである。一方臨界電流は電流パスの分布に大きく依存した。これは臨界電流がパーコレーションによって決まることを示している。回り込んで迂回できるような電流パス分布になっているとき臨海電流の減少が小さいのに対し、迂回パスを切断すると臨界電流が大きく減少することがわかった。電流パス分布に応じた超伝導電流のパーコレーションの変化を観察することに成功した。このように超伝導電流のパーコレーションを意図的に変化させられることを実証し、その物理的理解を進めた。 またこの現象を解釈するための数理モデルについて議論した。線形な電流―電圧特性に対して電流パス分布の抵抗への影響を記述する数理モデルを構築した。またこの数理モデルを超伝導電流のパーコレーションに利用するには、超伝導における非線形な電流―電圧特性を考慮にいれることが課題であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では不均一な電流パス分布に対する電流―電圧特性について明らかにすることができた。電流パスの分布や密度によって電流―電圧特性が系統的に変化した。これは、超伝導電流のパーコレーションは意図的に変化さられるものであることを実証した非常に重要な結果である。 また数理モデルによる現象解釈の基本となるモデルも構築できつつあり、デバイスから出力が得られた際にどのように使っていくかということについても議論を進められた。非線形性を本数理モデルの中に入れるという課題も明確化できた。このようにデバイス出力の解釈と数理利用の基盤となる数理モデルについても方向性が明らかになってきている。 このように基本となる物理現象実証、数理モデル構築、デバイスと数理モデルの連携において、研究計画通りの進展が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
臨界電流を外部パラメータによって変化させる手法を開発する必要がある。臨界電流を変えるには磁場または臨界温度を変化させる必要がある。磁場を変化させることにより臨界電流が変化することは知られているが、磁場に対する臨界電流の応答を大きくする必要がある。これについてはピンニング構造の制御、ドーピング、意図的な粒界の導入を検討する。ひずみによって臨界温度が変化する系があり、この系において臨界温度のひずみ依存性を調査する必要もある。 今回証明した基礎原理をデバイスの中で実現するために、デバイスの入出力方法を開発していく必要がある。超伝導電流や磁場・ひずみの局所的分布を、有限要素法を用いて計算する。また入出力電極を形成するために、レーザー等を用いたエッチング技術の開発やマスクを用いた部分成膜技術の開発も必要である。 超伝導における非線形な電流―電圧特性を考慮した数理モデルを構築する必要がある。ランダムウォークの高次モーメントを考えることにより、今回の現象と数理モデルの対応関係を明らかにする。
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