Project/Area Number |
22K18864
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 25:Social systems engineering, safety engineering, disaster prevention engineering, and related fields
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 美千彦 東北大学, 理学研究科, 教授 (70260528)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 恵子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (10803926)
佐藤 雅彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (50723277)
無盡 真弓 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (60822004)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
|
Keywords | 新燃岳 / 火山灰 / 帯磁率 / 磁鉄鉱 / MPMS / 火山噴火 / 即時観測 / 火山防災 |
Outline of Research at the Start |
火山噴出物に含まれる磁性鉱物の種類や粒子サイズ等によって決定される帯磁率は、煩雑な前処理なしに測定できるだけでなく、従来の物理観測では判別できなかった噴出物の起源やマグマ組成、火道上昇速度などの情報を記録している。そこで噴火活動の物質科学的な即時観測という全く新しい分野を開拓するため、まず水蒸気噴火開始時の火山灰をフィールドにおいて普及型の帯磁率計で数分以内に分析し、本格的なマグマ噴火への移行を判定する手法を確立する。また火山ガラス中に含まれるナノ結晶の磁気特性を明らかにすることで、火道浅部でのマグマ挙動を推定する方法を開発する。以上を火山防災のコミュニティに広く公表し、社会実装を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らの予察的測定によって、水蒸気噴火からマグマ噴火への遷移過程で帯磁率の系統的な変化が見られた、霧島火山新燃岳2017年~18年噴火の火山灰は、研究分担者が独立に採取し、記載岩石学的な特徴が、やはり系統的に推移することが分かっている(Matsumoto and Geshi 2020)。そこで、産総研に保管されている同サンプルについて帯磁率測定を行い、東北大サ ンプルの傾向が再現できるかどうかを確認した。その結果、硫黄臭が強く、硫化水素ガス成分の付着によって、採取後の磁鉄鉱の変質が進んだと思われる1サンプルを除き、本質(juvenile)マグマが増える時期に、やはり帯磁率も急激に上昇することが明らかとなった。その結果、帯磁率が低い火山灰の岩石記載Typeが絞り込まれた。 また、本研究の過程で、新燃岳の灰噴火・ブルカノ式噴火噴出物に遊離結晶として含まれる磁鉄鉱の殆どが、熱水変質や酸化、離溶組織を持つことが予想外に見出された。この結果は、遊離結晶の多くが変質帯起源である可能性を示唆するので、類似の噴火を起こす桜島の灰噴火、ブルカノ式噴火、ストロンボリ式噴火、大正軽石、姶良カルデラ大隅降下軽石に研究対象を広げたところ、同様の傾向があることが確認できた。ケイ酸塩鉱物に比べ、熱水変質や酸化、徐冷過程の影響を受けやすい磁鉄鉱が、本質マグマ以外の起源物質の存在を顕著に表している可能性があり、今後さらに研究を続けることとした。 さらに、最新型のMPMS装置を用いた共同研究者の測定によって、火山岩試料中に含まれる磁性鉱物の種類・固溶体組成・結晶サイズ分布を可視化し結晶化過程を区別する手法が考案された。本結果については2024年のJpGUにおいて発表の予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新燃岳2017~2018年噴火の水蒸気噴火からマグマ噴火への遷移過程における帯磁率の上昇は、その原因が特定されつつある。また、新しいMPMS分析により、ウルトラナノライトをはじめとする、他の方法では同定しづらい磁性鉱物の相や固溶体組成、結晶サイズ分布等を明瞭に可視化する手法が確立された。さらに、火山灰中の磁鉄鉱を追求することで、遊離結晶の起源と役割についても予想外の研究に結び付く糸口が得られた。これらにより、概ね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、新燃岳2017~2018年噴火の帯磁率の変化と、構成火山灰粒子の変化との対応関係が明らかとなった。細粒の火山灰粒子は、MPMSをもってしてもなお、帯磁率測定を正確に行うだけの必要量を正確にハンドピックすることが困難なため、逆に、帯磁率が低いと予想される岩石記載Typeに含まれるFe-Ti酸化物鉱物に着目し、そのラマン分光測定による相同定を行い、強磁性鉱物が変質しているかどうか、確認する。また、火山灰の岩石記載Typeに対応した母岩と思われる岩石(十分な分量が確保できる)の帯磁率を測定し、新燃岳2017~2018年噴火火山灰の帯磁率をforwardに再現できるかどうかを検証する。これらの作業によって、一通りのデータセットを得たのち、投稿論文の作成に着手する。 今回、遊離鉱物の磁鉄鉱に着目することで、その殆どが、マグマから分離したものではなく、変質帯に起源を持つことがわかったので、マグマ噴火と考えられるブルカノ式噴火や灰噴火に対し、変質帯が積極的な役割を果たしている可能性を検討する。MPMS分析により、火山岩試料中に含まれる磁性鉱物の種類・固溶体組成・結晶サイズ分布を可視化し結晶化過程を区別する手法については、一連の測定データがほぼ得られているので投稿論文を作成する。
|