Project/Area Number |
22K18872
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 25:Social systems engineering, safety engineering, disaster prevention engineering, and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 健介 九州大学, 理学研究院, 准教授 (10192668)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | 津波 / インフラサウンド / 微気圧計 / 乱流 / トンガ火山噴火 / ラム波 / 天体衝突 / 逆問題 / 市民サイエンス / 防災 |
Outline of Research at the Start |
津波に伴って発生する気圧変動は、津波の波高や継続時間についての定量的な情報を含んでいる。一方、近年の技術的進歩により、津波に伴う気圧変動を一般市民自らが測定できる可能性が開けている。本研究では、(1) 実際に安価かつ高性能な気圧計を多数作成し、(2) その性能を検証し、(3)作成した気圧計を九州大学伊都キャンパス周辺で九州大学の学生等に配布して気圧測定を行わせる実証実験を行う。これにより、市民サイエンスによる津波警戒システムの実現に向けた技術的社会的課題を整理する。自らの測定により防災に寄与する経験により、市民のサンプルとしての学生にどのような意識の変化が生じるかにも注目する。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度作成したMEMS容量式気圧センサDPS310を用いた小型高感度気圧計を九州大学伊都キャンパス内の複数の建物に設置して並行観測を行った。その結果、横幅40スパン10階建程度の大きな建物内の気圧変動がノイズも含めて基本的に同一であるのに対して、複数の回廊で接続されていても異なる建物ではノイズ成分の変動が全く異なることがわかった。また、風に伴うO(10秒)の時間スケールの変動の振幅は、建物のサイズに強く依存する。これらのことから、複数の大きな建物内に複数の気圧計を設置して結果を総合的に解析することにより、自然変動と人工的ノイズを低減して、O(10秒)程度以上の長時間スケール気圧変動についての良質のデータを得られる可能性が見出された。また小型高感度気圧計100台を数メートルの範囲に集中配置して行った観測を時空間スペクトル解析し、検出される擾乱移動速度と風速が比較的良く対応することを見出した。 数十km程度の領域の気圧多点観測を解析して津波起源のラム波を自動検出する方法について考察を継続し、その実現可能性の見通しが立つと同時に理論的背景の理解が進んだ。また数百km程度の広い領域での気圧観測から、津波波源における津波高を推定する考察を始めた。 能登半島地震に伴うとみられる気圧変動を捉えたが、これは当初想定していたラム波ではなく、大気上層で屈折した音波と考えられる。これより、必ずしも巨大でない地震からも有意な気圧波が放射されること、および、ラム波以外の波動も重要であることがわかり、津波早期警戒の目的で重要な示唆を提供している。 九州大学の「少人数セミナー」として学生自身が気圧観測を行う活動を試行した。文理幅広い受講者に好評だったが、参加者数は少なかった。 前年度に扱った火山、天体衝突起源の波動の理論的考察を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
建物内外での自然、人工起源のノイズの扱いの理解は概ね計画通りに進行した。 結果の解析に用いる理論的枠組みの検討は、計画で想定していたよりも高度に進行している。 一方、津波、火山、天体衝突を含めた総合的なラム波励起の論文化は、一部に理論的課題が残っていることが見出されて、今年度も投稿できておらず、計画に遅れが出ている。 また、最終年度に行う予定している、学生の協力による分散的観測の実施にむけて、試行の結果、協力者をどのように確保するかが新たな課題として見出された。 以上、予定より進んでいる部分、遅れている部分を総合して、「概ね計画通り」と判定する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度学生の協力を得て行う気圧計測は、気圧データ自体を収集する自然科学的な目的とともに、測定に協力する学生の側に防災につながる意識の変化が生じるかを吟味する社会心理学的な目的も念頭においている。このうち後者の目的達成には研究代表者の災害の現場と防災の啓蒙における経験が不足するため、これを補い研究全体の成果を最大化するために、杉本めぐみ博士(大阪大学准教授)を研究分担者に追加する予定である。
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