Project/Area Number |
22K18924
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 27:Chemical engineering and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和泉 自泰 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (70622166)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | オルガネラメタボロミクス / メタボローム解析 / 細胞内小器官 / ノンターゲットメタボロミクス / 代謝物局在 / プロテオーム解析 |
Outline of Research at the Start |
真核細胞における細胞内シグナル伝達は,タンパク質や代謝物などの様々な分子が細胞内の細胞小器官 (オルガネラ) 間を移動しながら複雑かつ精巧に相互作用されることにより制御されている.そのため,細胞機能を真に理解するためには,シグナル分子の同定およびそれらの分子群の時期特異的な局在場所を明らかにすることが重要である.本研究では,これまで独自に開発してきた 「1細胞ピッキング技術」,および 「メタボローム (代謝物総体) 解析法」 を発展させ,細胞内の代謝物局在情報を時期特異的に取得可能な 「オルガネラメタボローム計測技術」 の開発に挑戦する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞内の代謝物局在情報を時期特異的に取得可能な「オルガネラメタボローム計測技術」を開発する。本年度は、昨年に引き続き「I. オルガネラメタボローム計測技術の開発」を中心に開発を行った。「① 1細胞ピッキング技術の開発」では、制御ソフトウェアおよびアクチュエータ (5軸) の高性能化・高速化に取り組み、顕微鏡下で狙った細胞を連続的に回収できるように改変した。「② 細胞小器官の単離・精製技術の開発」では、電気的・化学的・物理的な手法をいくつか検討し、細胞の破砕方法を詳細に検討した。続いて、核とミトコンドリアを迅速に単離・濃縮可能なマイクロ流路チップの作製にも引き続き取り組んだ。流路のデザイン(流路幅、長さなど)を変更したマイクロ流路チップを2度試作することで、顕微鏡下で核およびミトコンドリアがある程度の精度で単離できていることを確認した。「③ 新規の高感度・超網羅的メタボロ―ム測定技術の開発」では、世界最高の親水性代謝物の網羅性を有するメタボローム分析法「親水性相互作用/陰イオン交換クロマトグラフィータンデム質量分析法 (uified-HILIC/AEX/MS)」の潜在特性を拡張し、親水性から疎水性の超網羅的な代謝物分析系へと発展させた。具体的には、包括的脂質分析を達成するために、脂質の部分的な極性構造を利用し、従来のunified-HILIC/AEXの初期移動相の有機溶媒比率を高めることで,分析前半のHILICモードにおける分離・溶出が可能となった。これにより、unified-HILIC/AEX/MSは、ワンショットで低極性から高極性までの幅広い脂質・代謝物の分析を達成した。低極性から高極性までの代謝物を一斉に抽出可能な溶媒を選定し、さらに、同一試料からのメタボロームおよびプロテオーム測定が可能なプロトコルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題①「1細胞ピッキング技術の開発」においては、従来の我々の1細胞ピッキング技術の高性能化(速度および精度)を達成することで、顕微鏡下で注目すべき細胞種を迅速に回収できる装置へと発展させた。課題②「細胞小器官の単離・精製技術の開発」においては、昨年度を含めて合計4回のマイクロ流路チップの試作を行うことで、核およびミトコンドリアがマイクロチップ流路内である程度分離・単離されていることを確認した。課題③の「新規の高感度・超網羅的メタボロ―ム測定技術の開発」では、昨年度開発した親水性代謝物の網羅的観測手法であるunified-HILIC/AEX/MSを発展させ、脂質から親水性代謝物,すなわち真の意味でのメタボロームを1度で計測できる画期的な分離・分析法を確立した。さらに、包括的な脂質・極性代謝物分析に資する試料調製法についても最適化が完了し、「オルガネラメタボローム計測技術」の基盤技術が整った。 以上の結果から、現時点では、「おおむね順調に進展している」といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
「I. オルガネラメタボローム計測技術の開発」については、今年度作製したマイクロ流路チップを用いて核・ミトコンドリア画分を迅速に回収し、今年度開発に成功したunified-HILIC/AEX/MS分析法および抽出法を用いてメタボロームおよびプロテオーム計測を実施し、当該技術の再現性を確認する。 「II. 活性調節因子として働く新規代謝物の同定」については、ヘテロながん生細胞集団から細胞周期をリアルタイムに観測できるFucci 3.2 (fluorescent ubiqutination-based cell cycle indicator) を発現させたHeLa細胞を用いて、細胞周期 (G1・Early S・Mid S・Late S・G2/M期) の異なる細胞集団 (100~1000細胞) の迅速かつ高精度の細胞サンプリングを行う。細胞単離・破砕後,課題②で開発したマイクロ流路チップを用いて直ちにオルガネラを分画し、前処理を行う。最終的に試料を全量Nano-HILIC/AEX/MSシステムへ導入することで、100~1000細胞の微量試料からの高感度かつ超網羅的なオルガネラメタボローム分析を達成する。
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