Project/Area Number |
22K18985
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 30:Applied physics and engineering and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇治原 徹 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (60312641)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 熱スイッチ / インターカレーション / 酸化物 / 熱制御 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、非晶質をベースにイオンの挿入・脱離で熱伝導率が大きく変化する新たな機能性材料分野の開拓を目指す。学術的にはいまだ未知な部分が多い非結晶物質の物性を熱特性の観点から新たな解釈に挑むものであり、工学的には電子機器・デバイスで大きな課題である熱制御に新たな方法論を提示する。また、熱伝導可変物質を活用し熱スイッチを試作する。熱伝導可変物質とイオン供給層を積層させ、イオンが移動する程度に電圧を短時間印加する。それで高熱伝導状態(on)と断熱状態(off)を切り替える。また、ペルチエ、蓄熱材と熱スイッチを組み合わせることで、熱制御のための基本的な熱デバイス動作を実現できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、熱伝導可変物質を活用し熱スイッチを試作する。最終的には熱伝導可変物質とイオン供給層を積層させ、イオンが移動する程度に電圧を短時間印加することで、高熱伝導状態(on)と断熱状態(off)を切り替える。また、ペルチエ、蓄熱材と熱スイッチを組み合わせることで、熱制御のための基本的な熱デバイス動作を実現する。当該年度においては、その基本物質、基本構造として、ホスト非晶質酸化物へのイオン挿入・脱離による熱伝導率変化を確認し、非晶質における熱伝導率変化のメカニズム解明と機能設計のための指導原理の確立を行うことを目的とした。 ホスト物質してWO3を選び、そこにH、Liを挿入イオンとし、イオン挿入・脱離実験とそれによる熱伝導率変化の測定を行った。酸化物はスパッタリングで成膜、イオン挿入・脱離は電解液中もしくは固体電解質から電気化学的に行った。薄膜は、本研究では主に非晶質を対象とするが、メカニズム解明のため結晶のものも用意した。成膜温度、もしくは成膜後の熱処理で結晶性を制御した。また、熱伝導率変化のメカニズムを解明する。本研究では非晶質の熱伝導率変化は、クラスター構造とクラスター間の結合状態が重要であると予測し、これらをラマンスペクトル測定により解明を試みた。その結果、わずかではあるが構造変化にともなうピーク変化が観察された。これは、結晶構造の変化、もしくはアモルファスの結晶化に伴うものであった。また、熱スイッチ固体素子の基本構造のプロトタイプ作製と機能の実証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、当初予定していたように、ホスト物質してWO3を選び、成膜条件をや成膜後のアニール条件を制御することで、結晶性とアモルファスの制御も行い、さらにH、Liを挿入イオンとし、イオン挿入・脱離実験とそれによる熱伝導率変化の測定も行った。このように実験は計画通りに進捗している。また、これらのメカニズム解析においては、ラマン散乱測定を中心に、結晶性とアモルファスの構造の違い、さらにはイオン挿入・脱離による構造変化などを調べ、定性的ではあるが、局所構造の変化を観察することもできた。詳細はまだ明らかになってはいないが、来年度につながる成果である。また、熱スイッチ固体素子の基本構造のプロトタイプ作製までは行ったが、その機能実証までは至っていない。しかしながら、これに関しては、当初から来年度の計画終了時までに確認することとしているので、進捗としてはおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主に次の二点について行う。(1)ラマンスペクトルより結合状態と明らかにし、さらにフォノンシミュレーションによりメカニズムを解明する。本年度、ラマンスペクトルから結晶とアモルファス、イオンの挿入脱離による変化をとらえることができることが分かった。今後はこれらのピークの意味するところを解明していく。(2)積層構造を作製し、予定通りの熱スイッチデバイスの試作を行う。本年度は、まず構造を作るための成膜条件を追い込んでいった。最終的には多層構造にする必要があるが、まずは1周期について条件を明らかにしてきた。今後はこれらを繰り返すことで、多層構造形成の最適条件を見出す。さらには熱スイッチとしての基本的な動作を確認する予定である。
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