A Spin-Crossover High-Spin Phase Can Be a Magnetically Ordered Phase?
Project/Area Number |
22K19006
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 32:Physical chemistry, functional solid state chemistry, and related fields
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
石田 尚行 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (00232306)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 信一 宇都宮大学, 大学教育推進機構, 特任准教授 (40334578)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
|
Keywords | スピンクロスオーバー / 鉄(II)錯体 / 有機ラジカル / d-π相互作用 / 機械学習 / 磁性材料 / スピン転移 / 磁気転移 / ラジカル / MOF |
Outline of Research at the Start |
分子磁性研究者にとって室温で動作する磁石の開発は悲願である。純有機/分子磁石は磁気転移温度が極低温であることが難点であったから、実用温度とするには、パラダイムシフトが必要であった。本課題では構造転移を用いて解決を図る。磁気転移はいわゆる二次転移であって、分子や結晶の幾何は維持される。一方、スピンクロスオーバー(SCO)は一次転移である(結合長等が変化)。この構造変換が磁気転移を誘起するシナリオにより、高温(例えば室温)で動作する分子性磁性材料を得ることが目的である。本申請は、低温側で無秩序相、高温側で秩序相になるという常識に反する命題の実践であり、高い挑戦性がある。
|
Outline of Annual Research Achievements |
磁気転移はいわゆる二次転移であって、分子や結晶の幾何は維持される。一方、スピンクロスオーバー(SCO)は一次転移である(結合長等が変化する)。この構造変換が磁気転移を誘起するシナリオにより、高温(例えば室温)で動作する分子性磁性材料を得ることが本研究の目的である。SCOを室温で発現させるためには、新規の骨格を開発することより、既存の骨格を利用することとした。既存の骨格に対して種々の置換基を合成化学的に導入する。そしてその置換基の電子的効果や立体効果に基づいて SCO発現温度を予言し、実際に開発した。この置換基効果について、機械学習の手法を導入した。 本課題推進の2年目になって研究分担者に参加した本学の小林義男教授とは、前年度から先立って共同研究を推進している。彼の得意分野であるメスバウアー分光法によって、我々の合成した鉄(II)錯体のもつSCO転移温度を独立に検証し、転移のモル分率も明瞭に示すことができた。 また、本研究においては SCO配位子にラジカル置換基を導入してその交換相互作用を実測するという目標がある。現在、研究室学生の半数を SCO課題に投入している。研究推進の2年目には合成開発のスピードは倍加すると考えられる。具体的には、申請書に書かれたようにニトロキシドラジカルとπ共役した形状の鉄(II)錯体を種々合成し、そのd-π交換相互作用を同定し、その強さをなるべく大きなものへ展開する。ポリマー構造の導入も当初の計画にあり、配位サイトを複数もつ、あるいはラジカル置換基を複数もつ物質群の開発も必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SCOを室温で発現させるためには、新規の骨格を開発することより、既存の骨格を利用することとした。既存の骨格に対して種々の置換基を合成化学的に導入する。そしてその置換基の電子的効果や立体効果に基づいて SCO発現温度を予言したり実際に開発することになる。この置換基効果について、機械学習の手法を導入した。実測データがまだ十分な蓄積していない段階ではあるが、教科書データ、テストデータと分けた分析により、機械学習手法は一定の利用価値があることが認められつつある。すなわち、置換基効果の調査は一定の進捗を見たといえる。 本課題推進の2年目になって研究分担者に参加した本学の小林義男教授とは、前年度から先立って共同研究を推進している。彼の得意分野であるメスバウアー分光法によって、我々の合成した鉄(II)錯体のもつSCO転移温度を独立に検証してきた。また、転移のモル分率が2核錯体のとき一方だけがSCOを示し、他方が高スピン状態のままということも明瞭に示すことができた。以上の成果は、国際会議ICCC2022にて発表した。 一方、本研究においては SCO配位子にラジカル置換基を導入してその交換相互作用を実測するという目標もある。その目標に対しては現在中間体の合成にとどまっているため、進捗はやや遅れ気味と判断される。所定のラジカル化を至急に推進せねばならない。 なお、将来の光スイッチング挙動などの調査のために光物性測定の技術の習得が必要である。ユーロピウム(III)について高分子状の骨格を得て、その発光寿命が既存類似のユーロピウム(III)に比べて長くなっていることを CrystEngCom誌にて報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
機械学習の手法は昨今のブームである。そして十分な精度の統計を得るためには一般的には独立した説明パラメーターの数の10倍程度のデータが必要とされている。現在、みずからのデータだけでは十分なデータ数にはならないため、文献値の導入などを進める必要がある。この状況に際して、既知の骨格を選んで研究を開始したことは幸いであった。すなわち、既知の骨格は立体効果、溶媒効果など SCOに影響を与える様々な因子についてほぼ共通要因として相殺するので、置換基の電子的効果を顕在化させやすい。このようなメリットを活かしてさらに機械学習手法を邁進させたい。 また、本研究においては SCO配位子にラジカル置換基を導入してその交換相互作用を実測するという目標がある。現在、研究室学生はほぼ全てがスピン科学の研究課題で修士論文や卒業論文研究を進めているが、彼らのエフォートの半分を SCO課題に投入している。合成の初学者にラジカルの化学を教え、その合成、精製手法を伝授することは時間を費やすものであるが、研究推進の2年目には合成開発のスピードは倍加すると考えられる。具体的には、申請書に書かれたようにニトロキシドラジカルとπ共役した形状の鉄(II)錯体を種々合成し、そのd-π交換相互作用を同定し、その強さをなるべく大きなものへ展開する。ポリマー構造の導入も当初の計画にあり、配位サイトを複数もつ、あるいはラジカル置換基を複数もつ物質群の開発も必要である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(11 results)