Photon up-conversion promoted by molecular vibration
Project/Area Number |
22K19008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 32:Physical chemistry, functional solid state chemistry, and related fields
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小堀 康博 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 教授 (00282038)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 三重項-三重項消滅 / 時間分解電子スピン共鳴 / スピン変換 / 蛍光量子収量 / 強相関多重励起子 / スピン双極子相互作用 / 交換相互作用 / アップコンバージョン / 光アップコンバージョン / 多重励起子 / 振電相互作用 |
Outline of Research at the Start |
太陽光発電や光触媒ならびに、有機発光素子の開発では近年、クリーンな有機材料を用いた超高効率光エネルギー変換系へのデバイス応用に急速な期待が高まっている。本計画では三重項-三重項消滅(TTA)による光アップコンバージョン(UC)の超高効率化を連結系一分子レベルでの分子振動によって達成させる。このための基礎研究として主に時間分解電子スピン共鳴法を用い、三重項励起子の出会いにより生成する分子内多重励起子(T1T1)のスピン変換過程による一重項励起子生成機構の詳細を明らかにする。熱活性化された特定の分子内振動による超高効率な多重励起子の五重項から一重項への変換機構を世界で初めて実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
太陽光発電や光触媒ならびに、有機発光素子の開発では近年、クリーンな有機材料を用いた超高効率光エネルギー変換系へのデバイス応用に急速な期待が高まっている。本計画では三重項-三重項消滅(TTA)による光アップコンバージョン(短波長変換:UC)の超高効率化を、連結系一分子レベルの分子振動が誘起する五重項-一重項スピンフリップによって合理的に達成させる。このための基礎研究として主に時間分解電子スピン共鳴(TREPR)法を用い、三重項励起子の出会いにより生成する分子内多重励起子のスピン変換過程による一重項励起子生成機構の詳細を明らかにする。熱活性化された特定の分子振動モードによる超高効率な五重項多重励起子から一重項への変換機構をTREPR法によるマイクロ波の吸収(A)や放出(E)信号の観測と、それら信号に対する量子論を用いた電子スピン分極モデルによる解析により世界で初めて実証する。連結分子によるアップコンバータ材料について、三重項増感剤と混合し、高粘性溶液やスピンコート薄膜作製を行った。時間分解蛍光測定法によって観測し蛍光量子収量およびその励起光強度依存性を測定した。超高効率化の機構解明のために、TREPR測定を用いている。強相関多重励起子5(TT)や解離状態(T1 + T1)によるマイクロ波の吸収(A)、放出(E)を示す電子スピン分極をTREPRスペクトルとして取得し、スピンハミルトニアンとして励起子スピン双極子相互作用、励起子-励起子間スピン双極子相互作用、交換相互作用(J)によるスピン相関を考慮した多重励起子スピン関数の対角化を行った。電子スピン分極移動に、分子運動による配向運動効果を導入することによって実験結果を説明しスピン統計を超えるアップコンバージョンの高効率化を合理的に説明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該研究の成果は、分子内励起子分裂で生成した多重励起子の解離機構解明や、多重励起子逆過程による電子スピ分極の反転効果の説明に応用することが可能であることが判明している。多量体連結分子やMOF材料では、SF過程で生成した励起子ペアによる五重項状態や解離によるスピン相関三重項対に対する分子配向効果を解明した(Angew. Chem. Int. Ed. 2023, 62, e202217704.他)だけでなく、スピン量子コヒーレンスを生じる調和的低振動ゆらぎ効果をパルス電子スピン共鳴法により実証した(投稿中)。薄膜電極界面への分子配向性を利用し、高結晶性を示す有機半導体薄膜中にSF材料を配向させ、光で生成した多重量子ビットに対するスピン量子コヒーレンス制御をパルスEPR法により進めている。さらに、多重量子ビットのスピン相関で生じる量子もつれを用いた量子演算と、多重励起子による三重項・三重項消滅発光による量子読み出しを利用した量子発光センサー開発を進めている。さらに、非フラーレンアクセプター混合膜による界面電荷再結合で生成させた三重項励起子拡散による高効率TTA発光の機構解明も進め、連結三量体分子の分子内三重項励起子運動による高効率TTA発光の機構解明も進めている。励起子分裂で生成する多重励起子の立体構造を可視化する電子スピン分極映像化を世界で初めて成功させ、分子振動と連動する分子内励起子解離機構の詳細を明らかにした。これらの成果から当研究は、計画以上の進展がみられていることは明白である。
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Strategy for Future Research Activity |
TTA-UCの現状では、三重項励起子の出会いで統計的に生じる九つのスピン状態(一重項、三重項、五重項)から、わずか一つ(11%)の一重項のみしか短波長領域に変換されないスピン選択則の問題が指摘されており、エネルギー変換効率(現状40%)のボトルネックになっている。当研究では、これまで不可能とされていた五重項多重励起子の大部分を、特定の振動モードの熱活性化によるスピン交換相互作用の変調によって合理的に短波長変換させ、8割を超える超高効率変換アップコンバータを世界で初めて実証する。これにより分子科学における「振電相互作用」と「スピン」の協同効果の実証で学術体系を変革・転換させる。これは新規な「光エネルギー変換」技術を分子論的に開拓する。このため、蛍光量子収量とその値に対する磁場効果を定量し、さらなる高効率化を進めて行く予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(31 results)