ナノスケール反応場の非線形増幅効果を利用したアミノ酸の不斉電解合成
Project/Area Number |
22K19088
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 36:Inorganic materials chemistry, energy-related chemistry, and related fields
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 美穂 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (10372749)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | アミノ酸 / 不斉合成 / 電気化学プロセス / 水 / 電気化学反応 / 非線形効果 |
Outline of Research at the Start |
アミノ酸は、生命機能発現に不可欠でのみならず、工業製品の中間体としての需要が拡大している。一般的なアミノ酸の製造法である発酵法では、効率よくアミノ酸が製造されるという利点があるが、医学的に高機能を示す特殊アミノ酸の合成を合成することは不可能である。本研究では、アミノ酸を高選択的に生成できるだけでなく、コンパクトなフロー合成装置を利用することで、欲しいところで、欲しい分だけアミノ酸を合成できる新しいアミノ酸合成法を開拓する。
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Outline of Annual Research Achievements |
不斉現象(キラリティー)は、製薬、情報などの人工機能を高度化する上で重要な役割を果たす。これまでに、分子の不斉(立体)制御は、精密有機合成化学により実現されてきた。例えば、発酵法では製造できない立体制御された特殊アミノ酸の合成は新規医薬品の肝である。他方、申請者は、バイオマスから調達可能なアルファ-ケト酸から、水を水素源とする電気化学反応(電解合成)により、10種類のタンパク構成アミノ酸の電解合成に成功している。しかしながら、水溶液中の電極反応では、界面での反応分子への電子およびプロトンの複雑な供給パスの形成により、水素化反応における面選択性を制御できないため不斉アミノ酸合成は達成されていない。もし、反応分子の配向とプロトンおよび電子の移動経路を規定し、立体制御されたアミノ酸を電気化学的に合成できれば、新しい精密材料合成法として大きなインパクトを与える。 本研究では、有機酸と特異な相互作用を示す酸化物半導体電極の機能をフル活用することで、電気化学的不斉アミノ酸合成に挑戦する。具体的には、酸化物半導体電極上に、不斉誘導部位が導入されたナノスケールの三相(電極・反応分子・電解質)界面空間である“ナノキラル孔”を構築する。有機不斉合成では、キラリティーをもつ分子の生成とともにエナンチオ過剰率が増大する非線形現象が起こることが知られている。限定された空間をもつナノキラル孔が、分子と水素(プロトン+電子、ヒドリド)の異方的配向増強場として働き、立体選択性を非線形に増幅することが本研究の狙いである
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、キラルな分子を担持してゼロ次のキラル孔を有する電極の製作を開始する。具体的にはRhヒドリド錯体[Rh(L)2(H)(S)]2+(L = (-)-[4,5]-ピネンビピリジン、S =溶媒)を触媒として用いる検討を開始する。この錯体は、アラニン合成反応を経て錯体 [Rh(L)2(S)2]3+となった後、電極での再還元により錯体[Rh(L)2]+ を経て元のヒドリド錯体に戻ると期待される。はじめに、前駆体となる[Rh(L)2Cl2]BF4を合成した。得られた試料の重水素化クロロホルム中での1H NMRスペクトルを測定した。試料のスペクトルにおいては、配位子のシグナルはみられなかった。また、配位子Lのプロトン数の2倍に相当する36プロトン分のシグナルが観測されたことから、錯体[Rh(L)2Cl2]BF4の形成が示唆された。しかしながら、スペクトルは複雑であり、錯体[Rh(L)2Cl2]BF4のいくつかの異性体および不純物が含まれることが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した[Rh(L)2Cl2]BF4にはいくつかの異性体が混ざった状態であることがわかった。今後、異性体の分離法を検討して他にいつの配位形態をもつ錯体の作製を検討する。また、錯体精製と同時に、錯体の触媒活性について検討を行う。[Rh(L)2Cl2]BF4を溶解した均一溶液に電極板を挿入する分散溶液システムによって錯体の酸化還元挙動を観測できない場合は、電極上に錯体を固定する固定型システムを使って評価を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)