Reversible detection of amino group and protein labeling methodology
Project/Area Number |
22K19125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 38:Agricultural chemistry and related fields
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
今野 博行 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50325247)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 可逆的アミノ基検出技術 / ラジカル酸化反応 / 蛋白質ラベリング技術 / 分子認識 / 二次構造制御 |
Outline of Research at the Start |
N-ヒドロキシフタルイミド (NHPI)誘導体を設計・合成することによって、様々な機能を引き出し物質生産の効率化の向上に寄与する。すなわちペプチド合成の弱点である試薬過剰使用や大量廃棄物の削減を目指した分子設計、微細構造を認識する誘導体設計ならびに合成である。これらはNHPIの可逆的アミノ基検出技術に立脚した計画である。一方でNHPI誘導体のユニークな反応性に着目し、創薬研究の効率化に向けた試みとして蛋白質の簡便標識化、二次構造制御などに展開する。これらの試みは有機化学とカーボンニュートラルの両立を目指したもので前例がほとんどなく世界初の研究展開である。社会実装の足がかりにしたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
N-ヒドロキシルフタルイミド (NHPI) は以前から脱水縮合反応の活性化や酸化反応触媒、さらにラジカル的結合形成反応に用いられている。我々の研究グループはNHPIを様々な誘導体に導くことで新しい機能性を発現させることを期待し検討を行なってきた。その結果、保護基導入試薬の開発やペプチド固相合成の反応追跡試薬、さらに触媒的空気酸化反応への活用に成功してきた。NHPIの化学構造チューニングは様々な機能を引き出すことができることから、前年度に引き続き今年度も光学活性NHPI誘導体の基質合成とNHPI誘導体の官能基化、さらにその反応性を検討した。 その結果、4種のNHPI誘導体の合成に成功し、さらにビナフチルを持つ光学活性NHPI誘導体を得ることに成功した。得られた誘導体をアミノ基の認識反応に適用したところ、キラリティーの認識には至らなかった。しかしながら、合成した誘導体は、アミノ基の級数を認識できることを見出した。すなわち、1級アミンのみに結合し、赤色を呈する事がわかり、2ならびに3級アミンを加えても呈色が起きなかった。我々の研究室では過去にそのような成果を得た事がなく、新しい発見であった。一方で、合成したビナフチルを持つ光学活性NHPI誘導体は酸化反応や酵素阻害活性は全く示さなかった。 次に、すでに入手済みのNHPI誘導体を用いて、酸化反応の検討をさらに推し進めたところ、バイヤービリガータイプの酸化反応の最適条件の確立に成功した。特にマイクロウェーブを照射しながら行う反応には際立った特徴が見られ、今後様々な酸化反応への適用を検討していきたいと考えている。さらに、これまで空気酸化で行なっていた酸化反応を酸素雰囲気下で実施することで、反応が進行しない、あるいは極端に遅いものについて検討を行なった。その結果、多くの反応で改善が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まずNHPI誘導体の官能基化について検討した。前年とは方法論を変え、N-ヒドロキシ基を保護することにした。前年度は無水物やジカルボン酸などの前駆体を用いて変換反応を試みていたが、操作性が悪く低収率であった。そこで保護基を用いた。その結果、操作性が各段に向上し、収率が安定した。それにより光学活性ビナフチル構造を導入することに成功した。最後のベンジル基の脱保護はBBr3により高収率で行う事ができた。 また、合わせてビナフチル構造内に反応点を持つ誘導体の合成も行なった。まずナフチルアルデヒド誘導体とフェニルリチウム誘導体のカップリング反応を行い、次にフマル酸ジエチルとのディールス・アルダー反応、続く脱水反応を連続的に進行させビナフチル骨格の形成に成功した。本反応は条件のわずかな違いにより、ディールス・アルダー反応中間体が連続的に分子間ディールス・アルダー反応を起こし二量化することがわかった。大変ユニークな新規物質であったが、その反応制御の対応に苦慮しており、さらに条件検討に必要である。 上記で述べたNHPIヒドロキシ基をベンジルで保護することで安定的に合成できる事がわかったので、他の合成にも適用した。すなわちNHPI誘導体の多様性創出を目的とした誘導体合成を検討した。その結果、トリメリック酸やテトラブロモフタルイミドなどを基盤構造として誘導体合成法の基礎を築く事ができた。今後の展開に期待している。このようにして得たNHPI誘導体は、光学活性アミノ基の認識には至らなかったが、級数の認識に適用できた。このような事例は過去に報告がないためさらに調査を進めていく。 一方でNHPI誘導体の酸化反応の検討では、空気酸化から酸素ガスを用いる事で、反応性の加速や新たな酸化反応への展開を行なった。酸素では反応性が格段に向上した。特にバイヤービリガー反応では顕著であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間で得られた成果と研究計画に基づき、さらに研究課題を推進する。 まずNHPI誘導体合成では、設計した目的とする誘導体の合成を実施する。特にビナフチルやビフェニル構造を有する光学活性誘導体の合成法確立に注力する。NHPIは様々な反応に適用可能であるため、光学活性体の合成は今後の不斉合成反応のリガンドとして大きなポテンシャルを持つ可能性がある。また、NHPI誘導体の多様性創出を目的とした誘導体合成にも積極的に取り組む。我々の研究室は酵素阻害剤創製研究を行なっているが、NHPI誘導体がその阻害効果を持つ事がわかってきており、新型コロナウイルス感染症治療薬のリード化合物になり得る可能性がある。今回採択を受けたおかげで、課題外のテーマへの波及効果も現れてきており、楽しみが倍増している。阻害剤創製も合わせて実施する。様々なカップリング反応を駆使しながら様々な誘導体合成を目指す。 酸化反応では、チオールの酸化、オレフィンの酸化反応などにもその適用範囲を広げていく予定である。可能であれば不斉酸化反応にも挑戦したいと考えている。ラベル化実験の進捗が悪いので、ペプチド、蛋白質に数多く適応していきたい。以上のように研究計画に沿って行う検討と新しい知見によりさらなる検討が必要なものなど、様々課題はあるが、目標達成に向けて引き続き研究を継続していく。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)