魚類の心理特性に注目した新たな増養殖技術基盤の開発
Project/Area Number |
22K19207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 40:Forestry and forest products science, applied aquatic science, and related fields
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Research Institution | Niigata University (2023) Kyoto University (2022) |
Principal Investigator |
高橋 宏司 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70723211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 憲吏 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (50793915)
持田 浩治 長崎総合科学大学, 総合情報学部, 准教授 (60583474)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | 情動 / 養殖 / 摂餌活性 / 赤色 / 摂餌音 / 水産心理 |
Outline of Research at the Start |
水産現場の多くでは、魚の行動を理解・制御することが求められる。しかし、過去の行動学的な研究では、測定が困難な認知や心理については触れられずに発展してきた。本研究は、“サカナ”の心理特性である「情動」に注目し、飼育魚の成長効率の向上を目指す。まず、摂食情動を、摂餌音を利用して誘発させ、摂餌音によって誘発された摂食情動を赤色光刺激によって促進させる。そして、これらの複合刺激によって、成長効率が向上するかどうかを、大型水槽での飼育実験によって明らかにする。魚類の認知・心理学的なアプローチでの増養殖技術の開発は、従来のものとは大きく異なり、水産学分野において新たな学術的展開をもたらすことが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、“サカナ”が持っている心理特性である「情動」に注目し、摂食行動の基盤にある摂食情動を摂餌音および赤色光刺激によって促進させることで、飼育魚の成長効率の向上を目指すことを目的とする。二年目になる2023年度では、小規模の実験スケールでの効果の検証として、昨年度に続いてゼブラフィッシュでの実験を実施した。摂餌音の実験では、前年度の録音装置を改変し、摂餌音だけを抽出することに成功した。加えて、抽出した摂餌音の放音実験を実施したが、音に対する顕著な集魚反応は見られなかった。また、実際の摂餌の音を不透明な仕切り越しに実験魚に聞かせる実験を試みたが、対照区との顕著な違いは見られなかった。録音したゼブラフィッシュ摂餌音の解析から、本種の摂餌音は極めて微小であるため、再生時の音圧操作や対象魚の変更が必要である可能性が示唆された。赤光刺激については、赤色光、紫外線光、非照射時の摂餌回数を記録し、色光が摂餌活性に及ぼす効果を検証した。赤光照射時のゼブラフィッシュの摂餌回数は、給餌直後はの摂餌頻度は非照射条件よりも少なくなったが、長時間に渡って摂餌頻度が継続し、60秒間の総摂餌回数では有意に非照射および紫外線照射条件よりも多くなっていた。このことから、赤色光は初期の警戒を誘発するが、継続的にある場合は結果的に摂餌活性を高めることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に実施した予備実験の情報を基に、一部の研究においては期待する成果を得ることができた。一方で、代表者の所属機関の変更などから、実験中断の期間があったことから、これらの効果を統合的に進める研究には至れていない。今後は、ここまでで得られた装置や情報を発展させ、当初計画の成長促進効果まで検証を進める予定である。また、摂餌音および赤色光の効果を生理的に検証するための装置を入手できたことから、次年度では内的機構の研究を実施することも可能となったので、これについても検討を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
摂餌音の効果について、2023年度の成果からゼブラフィッシュでの実験では、再生実験が十分に実施できていないため、今後はこれについて重点的に進めていく。特に、摂餌音の音量に配慮する必要性が示唆されたことから、今後は再生時の音量を考慮して、より詳細な行動観察および摂餌効果について検証を進めていく。同時に、ゼブラフィッシュでの実験が困難である可能性もあることから、より大きなサイズの魚類(代表者の所属機関変更に伴い、海産魚での実験が困難になったのでキンギョやコイなどの淡水性魚類を想定している)を用いた実験も並行して実施する。赤色光の効果については、大まかな成果が得られてきたため、研究成果の公表を進めていく。併せて、長期飼育実験による成長促進効果や摂餌音で用いる別種の魚でも効果の検証を進めていく。また、赤色光は警戒特性も促進する効果がみられたため、摂餌と警戒の情動促進機構のトレードオフについても検討する。両方の研究において、刺激提示時みられる血中ホルモン(摂食ホルモンなど)の動態についても検証し、内的な生理機構についても明らかにしていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)