Project/Area Number |
22K19239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 42:Veterinary medical science, animal science, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 直行 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60346062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (90242164)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 低酸素応答 / 転写後調節 / RNAスプライシング / レポーター / 細胞分化 / Rbbp6 / TS細胞 / 低酸素 / 胎盤発生 / ポリA鎖付加 / 蛍光タンパク質 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、低酸素応答を転写後調節の変化により細胞内で可視化するレポーターを作製、駆使することで、胎盤発生学、低酸素生物学、RNA生物学という3つの研究領域を融合させた新たな研究領域「低酸素RNA発生生物学」を生み出すことを目的としている。そのため、申請者たちが新たに見出した、低酸素条件下で選択的スプライシング調節を受ける遺伝子Rbbp6遺伝子領域を用いて、転写因子の違いに依らない、低酸素応答をモニターできる二重蛍光スプライシングレポーターの構築を目指す。そしてそれを用いて、哺乳類の胎盤発生過程において、どの細胞がどの時期に低酸素応答を行っているのかを転写後調節の観点から明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
低酸素応答は外界からのストレスへの応答機構の一つで、細胞が低酸素条件下に曝されると細胞の代謝・呼吸を調節して、恒常性の維持に働く。また発生段階のシグナルとしても重要であり、ヒトやマウスの初期の胎盤形成は、子宮内の低酸素環境下で進行する。低酸素応答では、様々な転写因子による転写調節がよく知られている一方、転写後調節過程である選択的スプライシングにどのような影響を与えるかについては、ほとんどわかっていなかった。そこで、マウスN2A細胞を用いて、低酸素条件下で選択的スプライシングが変化する遺伝子を網羅的に解析した。そして、最も大きな変化を示す遺伝子として、Retinoblastoma binding protein 6 (Rbbp6)を同定した。常酸素下では、すべてのエクソンを含んだiso1が優位に発現するが、低酸素下ではエクソン3下流のイントロン内でpoly(A)鎖付加が起きた短いiso3の産生が増える。そこで神経細胞やがん、および胎盤細胞など様々な細胞や組織でバイオマーカーとして使用できると考え、低酸素応答を示す転写後調節モニターレポーターの構築を試みた。まず、Rbbp6の選択的スプライシングを受けるエクソン2からエクソン4までのゲノム領域をクローニングし、このレポーターをマウスNeuro2A細胞、NIH3T3細胞、TS細胞に導入し、iso1型とiso3型の両方が産生されることを確認した。iso3の発現には、イントロン内でpoly(A)鎖が付加される必要があるが、そのために必要な配列はまだ同定されていない。そこで、iso1, 3の発現に必要なイントロン内配列を探索する目的で、上記のレポーターに様々な欠失を導入したものを準備した。また、Rbbp6 iso1, iso3の細胞内局在や機能を調べる目的で、それぞれのcDNAを用いて発現ベクターを構築し、培養細胞での発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低酸素応答をモニターできるスプライシングレポーター構築のためのゲノム領域や、Rbbp6 iso1, 3のcDNAのクローニングおよび細胞での発現ベクターへの導入を行い、そのスプライシングパターンや発言の確認を行うことができた。また、最終的なレポーター作製のためのiso1, 3産生に必要な領域同定のための一連の欠失レポーターも作製を完了しており、今後培養細胞に導入して解析を進めることが可能である。これらの予定していた工程を行うことができたため、おおむね順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
iso1, 3に必要な領域を避けて、エクソン3の下流のイントロン3内に、RFPのcDNAを挿入する。また、エクソン4の下流にGFPを連結する。このレポーターでは、イントロン3がスプライシングによって除去されれば、エクソン2,3,4が繋がり(iso1型)、下流のGFPが融合したタンパク質が発現する。一方、イントロン3内でpoly(A)鎖付加が起きる場合、その下流側の領域は切断されてしまうため、エクソン2,3のみが繋がり、RFP融合タンパク質が発現する(図3A)。常酸素状態ではGFPが、低酸素状態ではRFPが主に発現するため、顕微鏡下の観察のみで低酸素応答をしている細胞を識別することができる。このようなレポーターを作製し、マウスNeuro2A細胞、NIH3T3細胞、TS細胞に導入後、安定に発現する細胞株を樹立する。TS細胞については、その後常酸素下、低酸素下で分化誘導し、分化マーカーを指標として分化状態を比較する。
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