高浸透圧傷害克服による魚類と両生類の卵子の凍結保存
Project/Area Number |
22K19250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 42:Veterinary medical science, animal science, and related fields
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
枝重 圭祐 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 教授 (30175228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越本 知大 宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 教授 (70295210)
松川 和嗣 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (00532160)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 卵子 / 凍結保存 / 高浸透圧傷害 / プロテアーゼ |
Outline of Research at the Start |
魚類の卵子/胚ではいまだに実用的な凍結保存法はない。胚や成熟卵子は細胞膜透過性が極めて低く、凍結保存に不可欠な細胞の脱水・濃縮と耐凍剤浸透が十分できないため、凍結保存は難しい。一方、未成熟卵子では細胞膜透過性はかなり高いが、高浸透圧傷害を極めて受けやすい。申請者らは、魚類卵子の高浸透圧傷害には細胞質型カルボキシペプチダーゼが関与していることを見出した。そこで、ゼブラフィッシュを用いて、未成熟卵子の高浸透圧傷害の分子メカニズムを明らかにし、その傷害を軽減することによって世界で初めて魚類卵子の凍結保存に成功することをめざす。さらに、アフリカツメガエルの未成熟卵子の凍結保存も試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
魚類の卵子/胚ではいまだに実用的な凍結保存法はない。胚や成熟卵子は細胞膜透過性が極めて低く、凍結保存に不可欠な細胞の脱水・濃縮と耐凍剤浸透が十分できないため、凍結保存は難しい。一方、未成熟卵子では細胞膜透過性はかなり高いが、高浸透圧傷害を極めて受けやすい。この高浸透圧傷害には細胞質型カルボキシペプチダーゼが関与している。そこで、ゼブラフィッシュを用いて、未成熟卵子の高浸透圧傷害の分子メカニズムについてしらべた。まず、ゼブラフィッシュの未成熟卵子における高浸透圧傷害に関与する細胞質型カルボキシペプチダーゼのサブタイプの特定をこころみた。ゼブラフィッシュ卵子では細胞質型カルボキシペプチダーゼのうち、ccp1、ccp5およびccp6の3つのサブタイプが発現しているが、これらのdouble-stranded (ds)RNAを未成熟卵子に注入して発現を抑制し、高浸透圧傷害が軽減されるかどうかしらべた。その結果、いずれのサブタイプの発現を抑制した場合でも有意に傷害が軽減されたが、特にCCP5の発現を抑制した場合に著しく軽減された。したがって、様々なサブタイプの細胞質型カルボキシペプチダーゼが高浸透圧傷害に関与していることがわかった。また、本酵素はプロ酵素として細胞内に存在し、フーリン等のプロ酵素転換酵素による部分分解によって活性化することが知られている。そこで、フーリンのdsRNAを注入してフーリンの発現を抑制したところ、高浸透圧傷害が有意に軽減された。したがって、ゼブラフィッシュ未成熟卵子は、高浸透圧環境に置かれると、フーリンが活性化して細胞質型カルボキシペプチダーゼの前駆体を部分分解して活性化し、それによって傷害が引き起こされると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼブラフィッシュの未成熟卵子における高浸透圧傷害は、プロ酵素転換酵素であるフーリンが活性化してさまざまな細胞質型カルボキシペプチダーゼのサブタイプの前駆体を部分分解して活性化することによって引き起こされることを見出した。また、CCP5の発現を強く抑制することにより傷害をほぼ回避できることもわかった。今後、ゼブラフィッシュやアフリカツメガエルの未成熟卵子の凍結保存を行う上で重要な知見が得られたと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼブラフィッシュ未成熟卵子にラットのaquaporin-3 とウインターフラウンダーの不凍タンパク質のcRNAを注入して3時間培養することによりこれらのタンパク質を発現させた後、細胞膜透過性、高浸透圧耐性、低温感受性などの低温生物学的特性をしらべる。そして、CCP5阻害剤処理やCCP5の発現抑制による高浸透圧傷害軽減を行い、メタノールとプロピレングリコールをベースとした保存液でガラス化凍結保存する。融解後に生死染色と細胞の微細構造から生存性をしらべる。生存卵子は成熟培養を行い、形態から成熟能をしらべる。成熟卵子は卵胞膜を除去した後に人工授精を行い、受精能と発生能をしらべる。同様の実験をアフリカツメガエルの未成熟卵子でもこころみる。すなわち、aquaporin-3 と不凍タンパク質のcRNAを未成熟卵子に注入して24時間培養して発現させ、メタノールとプロピレングリコールをベースとした保存液でガラス化凍結保存する。融解後に生存していた卵子はプロゲステロン処理して成熟能を判定する。成熟した場合は、人工授精して受精能と発生能をしらべる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)