in-situビオチン化プロテオミクスによるタンパク質状態の定量化技術の開発
Project/Area Number |
22K19288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 43:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松本 雅記 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60380531)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | プロテオミクス / タンパク質構造 / 質量分析 / 蛋白質構造状態 |
Outline of Research at the Start |
ほとんどのタンパク質は細胞が置かれた状況に応じて局在や構造状態が変化し、活性などの機能が影響される。しかしながら、その全体像を迅速かつ定量的に見る手段は存在しないため、未だ想像の域を出ない状況にある。本研究では膜透過性ビオチン化試薬を用いたin situビオチン化プロテオミクス(ISBP)を確立し、細胞内でのタンパク質存在状態を迅速かつ定量的にモニターする技術を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では細胞内のタンパク質状態の網羅的計測技術の開発を目的とする。ほとんどのタンパク質は細胞内で他のタンパク質と相互作用したり、リン酸化などによってその構造状態を変化させたりしていると考えられる。例えば哺乳類細胞の有糸分裂期の細胞は、細胞核膜は消失や微小菅などの細胞骨格の再構成など極めて劇的な形態変化が認められるが、このような状況下では、細胞全体にわたってタンパク質の状態変化が生じていると思われる。しかしながら、その実態を迅速かつ網羅的に見る手段は存在しない。そこで、膜透過性ビオチン化試薬を用いたin situ ビオチン化プロテオミクスを確立し、既存の相互作用プロテオミクスの手法を適用した結果と比較することで、各ビオチン化部位の変化の構造的な意義付けを行い、迅速に細胞内タンパク質状態をモニターする技術を確立を試みた。今年度は、網羅性とスループットを両立した定量プロテオミクス基盤を整備した。具体的には、data-independent acquisition (DIA)と呼ばれる手法やイオンモビリティーによる気相分離、さらにはチップ型トラップカラムを用いたハイスループットLCの組み合わせによる計測系を構築した。 NHS-ビオチン試薬は膜透過性であり、細胞内に取り込まれたタンパク質上のLys残基と共有結合を形成する。この反応性がタンパク質の状態(構造や他のタンパク質との相互作用状態)に依存すると仮定している。得られた標識細胞からタンパク質を抽出し、酵素消化後にビオチン化ペプチドを高純度に精製する系を確立した(in situ biotylation proteomics: ISBP)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は計画通りに高スループットかつ網羅性の高い質量分析技術を確立し、これを用いて多数のビオチン化ペプチドを同定・定量することが可能であった。これは、すでに十分な予備検討を行っていたため、研究開始後すぐに実験系のセットアップを完了でき、かつデータ解析のインフラも十分に整備していたことによる。一方、R4年度末から計画していたタンパク質の複合体分離実験が所有している超遠心機の故障により実施できなくなった。これに関しては、他の研究機関の設備を借りての実施を行うなど試みたが、試行回数が少なく十分な検証ができていない。また、タンパク質の同定に用いる装置が複数回にわたり重度の故障を起こしたため、当初予定していた測定を全て完了することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、非変性条件下でのタンパク質分画法を実施し、複合体形成状態とタンパク質ビオチン化の関係性の解明を進める予定である。現在、研究室所有の超遠心機が故障のため廃棄処分となり、R5年度に計画していた当該実験が自研究室で実施できないが、機関内他部局や他の研究機関の設備を利用して当該実験を進める方策も立てており、これによって計画していた実験を進める予定である。また、biotin化だけでなく、他の化学修飾法も取り入れてより包括的なタンパク質構造変化の網羅的解析技術の確立も展開する予定である。また、本研究で使用している質量分析計の不具合も頻発しているため、他目的で用いている類似装置を一時的に活用するなどの方策を講じる予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)