個体寿命に影響を与えず生殖寿命の長さを決定するメカニズムの解明
Project/Area Number |
22K19305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 44:Biology at cellular to organismal levels, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福山 征光 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (20422389)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 生殖寿命 / 線虫 / 順遺伝学的スクリーン |
Outline of Research at the Start |
ヒトの女性はライフステージ早期より急速に生殖能力を喪失し始めるという、動物の中でも非常にユニークな性質をもつ。この個体寿命に対する生殖寿命の短さが、高齢での出産リスクの生物学的な要因となっている。本研究の申請者は、ヒト同様に短い生殖寿命を示す線虫をもちいて、生殖寿命の延長を示す変異体の作出に成功している。この変異体を遺伝子や分子レベルで詳細に解析することで、生殖機能の老化進行が遅延するメカニズムを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
スクリーニングで単離した2系統の変異体のうち、1系統の責任遺伝子を同定することができた。この遺伝子はギャップ結合を構成するイネキシンタンパク質をコードする。また、Crispr/Cas9システムによってmVenusタグをこの遺伝子座に挿入し、発現解析をおこなった。その結果、この遺伝子は一部の消化管の細胞に発現することを見出した。 これまでに、TGF-β経路とインスリン経路が生殖寿命の延長に寄与することが報告されている。TGF-β経路の構成因子であるsma-2遺伝子の変異体とイネキシン変異体の二重変異体を作成し、それぞれの単独変異体と比較したところ、二重変異体は有意に生殖寿命が長くなったことをみいだした。また、イネキシン変異体の成虫、sma-2変異体と同様には野生型成虫より短い体長を示すが、イネキシンとsma-2の二重変異体は、それぞれの単独変異体さらに短い体長を示した。以上の観察結果から、このイネキシン遺伝子はTGF-β経路とは異なる遺伝学的経路で機能することが示唆された。 次に、インスリン経路の構成因子であるdaf-2遺伝子の変異体とイネキシン変異体の二重変異体を作成し、それぞれの単独変異体と比較したところ、二重変異体の生殖寿命はイネキシン変異体のものより短く、daf-2変異体のものより長くなった。次にイネキシン変異体がdaf-2変異体のように制限温度下でdauer休眠に侵入するか検討した。25.5度の条件下では100%のdaf-2変異体がdauer休眠に侵入した一方、イネキシン変異体はdauer休眠に侵入しなかった。また、daf-2変異体でのイネキシン遺伝子の発現も野生型と比較して顕著変化が認められなかった。よって、イネキシン遺伝子はインスリン経路とも異なる遺伝学的経路で機能する可能性があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的通り、変異体の責任遺伝子を同定し、既知の変異体との遺伝学的相互作用解析や発現解析も進めることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
イネキシン遺伝子がどの消化管細胞で機能するか、細胞特異的救助実験を試みる。また、イネキシン遺伝子が機能する遺伝学的経路を明らかにするため、RNAシーケンス解析をおこない、野生型との比較し発現変動遺伝子群を同定する。それらの遺伝子群から生殖寿命に関連があると推測されるようなストレス関連遺伝子や代謝関連遺伝子に着目し、イネキシン遺伝子との相互作用を解析する。 また、スクリーニングで単離したもう一方の変異体に関しても遺伝子同定を進める予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)