ゴルジ体とTGNのアイデンティティを構築するメカニズムの解明
Project/Area Number |
22K19327
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 44:Biology at cellular to organismal levels, and related fields
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
植村 知博 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (90415092)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
|
Keywords | 膜交通 / シロイヌナズナ / ゴルジ体 |
Outline of Research at the Start |
トランスゴルジ網(TGN)は、ゴルジ体以降の目的地に運ばれる積荷タンパク質の選別をおこなう重要なオルガネラである。我々は、植物細胞を用いた超解像ライブイメージング観察により、「TGNはゴルジ体とは異なるアイデンティティを有したオルガネラである」ことを見出している。しかしながら、ゴルジ体とTGNのアイデンティティがどのように構築されているのかというシンプルな問いにはまだ誰も答えられていない。そこで本研究課題では、ゴルジ体とTGNにそれぞれ特異的に局在する分子機構を明らかにすることで、ゴルジ体とTGNの境界がどのように構築されるのかという謎に迫る。
|
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の細胞内に存在する単膜系オルガネラ間の輸送は、膜交通と呼ばれる輸送システムによって厳密に制御されている。トランスゴルジ網(TGN)は、ゴルジ体以降の目的地に運ばれる積荷タンパク質の選別をおこなう重要なオルガネラである。我々は、植物細胞を用いた超解像ライブイメージング観察により、「TGNはゴルジ体とは異なるアイデンティティを有したオルガネラである」ことを見出している。in silicoの解析から同定したSyntaxin6 N-terminalドメインとTMDをもつがSNAREドメインをもたない非常にユニークな因子をSyntaxin 6-like protein in vascular plant (SYLK)と名付けた。SYLKはゴルジ体に局在し、SYP61はTGNに局在する。本研究課題では、両因子を比較解析することで、ゴルジ体とTGNの境界がどのように構築されるのかという謎に迫ることを目的とする。 ⅰ.細胞内局在を制御する因子の単離:SYLK3とSYP6のそれぞれのドメインを交換し、GFPを融合させた6種類のキメラタンパク質を発現する形質転換植物を作出した。SYP61プロモーターでそれらの発現を制御することでどの組織でも発現が確認できた。 ⅱ.ゴルジ体とTGNの境界に局在するタンパク質の探索:TurboIDを用いて、ゴルジ体とTGNの境界に局在する因子を網羅的に取得するためのコンストラクト作成のための準備をおこなった。 ⅲ.SYLK変異体の作出:シロイヌナズナにはSYLK1-3までの3遺伝子存在する。T-DNAが挿入されたシロイヌナズナはSYLK1のみであったため、SYLK2およびSYLK3のノックアウト変異体をゲノム編集により作出した。SYLK1-3までの単独変異体では、目立った表現型は観察されなかった。そこで、交配により二重変異体および三重変異体を作出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に形質転換植物を作出し、ゲノム編集によりノック変異体も確立することができた。研究に必要な材料がほぼ揃えることができたため、予定通り順調に研究が進んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ⅰ.細胞内局在を制御する因子の単離:作出したキメラを発現する形質転換植物を用いて、免疫沈降実験をおこない、質量分析解析によりキメラ因子に相互作用因子を同定する。SYLK、SYP61、6種類のキメラタンパク質の相互作用因子を比較解析することで、SYLKの機能未知ドメインにのみ相互作用する因子を「ゴルジ体局在因子」、SYP61のSNAREドメインに相互作用する因子を「TGN局在因子」とする。「ゴルジ体局在因子」と「TGN局在因子」の変異体を単離し、それらの変異体でGLSNとSYP6の細胞内局在を解析し、ゴルジ体局在やTGN局在に影響について観察する。 ⅱ.ゴルジ体とTGNの境界に局在するタンパク質の探索:TurboIDを用いて、ゴルジ体とTGNの境界に局在する因子を網羅的に取得する。得られた因子の変異体及び細胞内局在を詳細に解析することで、ゴルジ体とTGNの境界がどのように構築されているかを明らかにする。 ⅲSYLK変異体の作出:確立した三重変異体を詳細に観察し、SYLKの機能を明らかにすることで、ゴルジ体局在する生理的意義を明らかにする。 ⅳ.超解像イメージングによるゴルジ体とTGNの境界の観察:SYLKのゴルジ体・TGNに異常がある変異体を用いて、新規に単離した因子の局在を超解像ライブイメージングおよび光-電子相関顕微鏡法(CLEM)を用いて観察し、ゴルジ体とTGNの関係について明らかにする。
|
Report
(1 results)
Research Products
(8 results)