親和性アレルゲンのハイブリッド刺激による生体内アレルギー応答の『多様性』制御機構
Project/Area Number |
22K19373
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 47:Pharmaceutical sciences and related fields
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 亮 金沢大学, 薬学系, 教授 (00344458)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
|
Keywords | アレルギー / マスト細胞 / IgE受容体 / アレルゲン / 親和性 |
Outline of Research at the Start |
アレルギー疾患は、世界的患者数の増加や症状の慢性化など重大な医療問題として注目されている。アレルギー疾患の発症には、マスト細胞が重要な役割を担っており、アレルゲンがIgEを介して、マスト細胞膜上のIgE受容体を活性化すると、各種炎症性メディエータが分泌され、アレルギー疾患が惹起される。ヒト生体内に存在するIgE抗体は、アレルゲンと様々な親和性を有するポリクローナルな状態で存在しており、アレルギー疾患の「多様性」の一因と考えられている。本研究では、生体環境でのアレルギー応答を明らかにするため、親和性の異なる混合したハイブリッドアレルゲンによるアレルギー応答の「多様性」制御機構を解明する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー疾患は、世界的患者数の増加や症状の複雑化・慢性化など重大な問題として注目されている。アレルギー疾患の発症には、マスト細胞が重要な役割を担っており、アレルゲンがIgEを介して、マスト細胞膜上のIgE受容体を架橋・活性化されると、各種炎症性メディエータ(ヒスタミン等)が分泌され、アレルギー疾患が惹起される。 ヒト生体内に存在するIgE抗体は、アレルゲンと様々な親和性を有するポリクローナルな状態で存在している。これらはIgE抗体の多様な活性化状態を誘導し、アレルギー疾患の複雑化・慢性化の一因であると考えられる。本研究では、生体環境でのアレルギー応答を明らかにするため、親和性の異なる混合したアレルゲンによるアレルギー応答の「多様性」制御機構の解明を目指す。 そのため、高親和性、低親和性、及びハイブリッドアレルゲンを用いて、以下の項目について追究した。①蛍光標識の異なる高親和性及び低親和性の作成とIgE受容体への結合解析。②高親和性及び低親和性アレルゲンの刺激応答に伴うIgE受容体のシグナル伝達機構の解析とIgE受容体の細胞内への取り込み(インターナリゼーション)過程の機能解析。③各種炎症性メディエータ分泌バイオセンサー(pHluorin-VAMP3,VAMP7,VAMP8/TNFa-mCherry,CCL2-mCherr等)の作製とイメージング解析。④免疫応答非誘導型の急性・局所性アナフィラキシー疾患(Passive Cutaneous Anaphylaxis)モデルの作製とアレルギー応答解析。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、アレルゲンと様々な親和性を有するポリクローナルIgE抗体によって誘導される複雑で多様なヒト生体環境でのアレルギー疾患の『多様性』制御機構を明らかにするため、独自に確立した高親和性、低親和性、及びハイブリッドアレルゲンを用いて追究した。 高親和性及び低親和性アレルゲン、ハイブリッドアレルゲンによる生体環境でのマスト細胞応答を明らかにするために、高親和性及び低親和性アレルゲンに対して、異なる蛍光標識アレルゲンを作製した。そして、蛍光標識した高親和性及び低親和性アレルゲンを用いて、IgE受容体への結合能について解析した結果、低濃度域では親和性によってIgE受容体への結合性に違いが観られたが、高濃度では高・低親和性によって違いは観られなかった。また、高親和性及び低親和性アレルゲンによるシグナル伝達機構の解析の過程で、親和性の異なるアレルゲンはIgE受容体の細胞内への取り込み(インターナリゼーション)過程において、インターナリゼーションの速度に違いを生じさせていることが明らかになった。また、親和性の異なるアレルゲンによる開口放出機構を単一分泌顆粒レベルで明らかにするため、各種炎症性メディエータ分泌バイオセンサー(pHluorin-VAMP3,VAMP7,VAMP8/TNFa-mCherry,CCL2-mCherry等)プラスミドを作製し、マスト細胞での単一分泌顆粒レベルの開口放出イメージング解析に成功した。さらに、アレルゲン刺激応答に伴う疾患制御機構の解析として、免疫応答非誘導型の急性・局所性アナフィラキシー疾患(Passive Cutaneous Anaphylaxis)モデルの作製に着手し、その確立に成功した。本疾患モデルを用いて、今後ハイブリッドアレルゲンを用いたアレルギー応答を追究する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、アレルゲンと様々な親和性を有するポリクローナルIgE抗体によって誘導される複雑で多様なヒト生体内ポリクローナルIgE抗体環境下でのアレルギー疾患の『多様性』制御機構について、作製した蛍光標識アレルゲンや炎症性メディエータ分泌バイオセンサーを用いて追究する。 ポリクローナルIgE抗体環境下でのIgE受容体の活性化及びアレルギー反応調節機構の解析するため、高親和性及び低親和性アレルゲン、ハイブリッドアレルゲンの刺激応答に伴うマスト細胞の活性化調節機構を追究する。①本研究で作製した異なる蛍光標識の高親和性及び低親和性アレルゲンのハイブリッド刺激応答に伴う、親和性依存的IgE受容体クラスター形成及び受容体インターナリゼーション機構の解明する。②作製した各種炎症性メディエータ分泌バイオセンサー(pHluorin-VAMP3,VAMP7,VAMP8/TNFa-mCherry,CCL2-mCherry等)を用いて、ハイブリッドアレルゲンの刺激応答に伴う単1分泌顆粒レベルでの開口放出機構の解析とヒスタミン、サイトカイン(炎症性:TNFα等、抗炎症性: IL-10等)、及びケモカイン(CCL2等)の転写調節機構及び分泌反応の定量解析を実施する。③キャリア蛋白質に異なる価数の高・低親和性ハプテンを有するハイブリッドアレルゲンの作製とマスト細胞応答について解析し、結合親和性とマスト細胞応答の相関関係を明らかにする。④更に、マウスマスト細胞での知見を基盤に、ヒトマスト細胞(LUVA等)でのアレルゲン親和性が及ぼす活性化制御機構の解析を実施する。⑤局所性アナフィラキシー疾患(Passive Cutaneous Anaphylaxis)モデルを用いて、ハイブリッドアレルゲンの刺激応答に伴う各種アレルギー炎症応答(血管透過性等)を明らかにする。
|
Report
(1 results)
Research Products
(11 results)