免疫担当細胞に着目したがん悪液質病態の発症機序解明と新規治療戦略の構築
Project/Area Number |
22K19462
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 50:Oncology and related fields
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
原田 浩徳 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10314775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 結花 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立駒込病院(臨床研究室), 臨床試験科, 部長 (50379848)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | がん悪液質 / 代謝異常症候群 / IL36G / 慢性骨髄単球性白血病 / 悪液質関連単球 / 炎症性単球 / 好中球様単球 / がん / 悪液質 / 悪液質モデルマウス / 疾患特異性単球 / 筋萎縮 |
Outline of Research at the Start |
悪液質はがん患者の多くに認められる複合的な代謝症候群であり、著しい筋組織の減少を特徴とする。申請者らは腫瘍モデルマウスを解析し、特殊な炎症性単球サブセットが悪液質病態で誘導されており、健常マウス単球にない細胞表面CD38を発現し、筋萎縮誘導サイトカインIl36gを恒常的に産生していることを発見した。本研究では、このがん悪液質病態関連単球サブセット制御の分子基盤を明らかにし、これを標的とした治療の有効性を検証して、がん悪液質に対する新規治療法開発を目指す。本研究の成果により、治療方法の確立されていないがん悪液質患者のQOL改善や延命につながる効果が期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
悪液質は、通常の栄養管理では改善せず、進行性の機能障害に至り、脂肪量減少の有無を問わずに持続的な筋組織の減少を特徴とする代謝異常症候群である。進行がん患者の50-80%で認められ、約20%のがん死亡への関与が示唆されている。全身性の炎症や代謝異常との関連性が指摘されているが、病態発症の分子メカニズムは未だ不明である。がん悪液質の発症機序を解明して新規治療戦略の構築につなげることが、がん領域共通の喫緊の課題である。我々は進行性の悪液質病態を発症する血液がんマウス(CMMLマウス)と複数の固形腫瘍マウスの解析により、特殊な炎症性単球サブセットが悪液質病態の進行に伴って出現すること見出した。この悪液質関連単球(CiMs)は、健常マウス単球では発現していないCD38を細胞表面に発現し、筋萎縮を引き起こすサイトカインIl1f9(Il36g)を恒常的に産生していることがわかった。本研究では、新規に見出したがん悪液質病態で誘導される単球サブセット制御の分子基盤を明らかにし、これを標的とした治療の有効性を検証して、がん悪液質に対する新規治療法開発を目指すものである。 本年度、Il36受容体ノックアウトマウスをレシピエントとして、マウス悪性黒色腫細胞株(B16)およびマウス乳がん細胞株(4T1)を野生型マウスに経静脈的に移植した転移性固形腫瘍モデルマウスとCMMLマウスを作製した。IL36Gシグナル阻害によって悪液質病態進行が抑制された。すなわち、担癌マウスやCMMLマウスにおいて誘導されたCiMsがIL36Gの産生を介して悪液質を促すことが明らかとなった。また、悪液質モデルマウスから単球(CD115+Ly6C+)を回収して網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、CiMsは好中球様単球に属することが判明した。この結果は、悪液質発症におけるCiMsの誘導機序の解明につながるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、複数のがん悪液質モデルマウスの解析により、悪液質の病態発症に伴ってCD38および他の複数の特徴的表面抗原を発現したCiMsが誘導されること、CiMsおよびその培養上清が骨格筋萎縮を誘導すること、CiMsからIL36Gが産生されること、IL36Gが骨格筋萎縮を誘導することを見出した。本年度、Il36受容体ノックアウトマウスをレシピエントとした転移性固形腫瘍モデルマウスとCMMLマウスにおいて、悪液質の進行が抑制されたことからIL36を介した機序が確認された。また、マウス骨髄の造血幹・前駆細胞においてCRISPR/CAS9でIL36Gをノックアウトし骨髄移植したCMMLモデルマウスは、悪液質の発症が抑制された。すなわち、担癌マウスやCMMLマウスにおいて誘導されたCiMsがIL36Gの産生を介して悪液質を促すことが明らかとなった。さらに、IL36Gを産生する炎症性単球CiMsのRNAシークエンスによる網羅的遺伝子発現解析結果から、好中球関連遺伝子を発現している好中球様単球に属することが明らかになった。そこで、CiMs誘導に関わる分子機序(リガンド、受容体、シグナル経路、転写因子など)を明らかにするために、CiMsに生じている遺伝子発現変化をバイオインフォマティクス手法によって解析することを計画した。上記モデルマウスの悪液質発症前後の単球(CD115+Ly6C+)を回収してRNAを抽出し、single-cell RNAシークエンスの準備を行った。がん組織が、悪液質を引き起こす好中球様単球であるCiMsを誘導するメカニズム、および骨髄細胞におけるCiMsへの分化機序の解明が、がん悪液質の病態解明につながると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、悪液質モデルマウスとして、マウス悪性黒色腫細胞株およびマウス乳がん細胞株を野生型マウスに経静脈的に移植した転移性固形腫瘍モデルマウス、およびCMMLマウスを用いて、CiMsの制御機構とCiMsの誘導に関わる因子の探索を行う。CiMsが好中球様単球に属することから、悪液質発症前後の単球(CD115+Ly6C+)のsingle-cell RNAシークエンスを行い、バイオインフォマティクス手法に加えて、これまでの炎症性疾患・病態における好中球様単球の知見をもとに詳細を詰めていく。その結果を基に、CiMsを標的とした標的薬剤を探索する。また、炎症性単球であるCiMsはCD38分子を高発現しているが、PAMPs、SASPや炎症によってマクロファージのCD38発現が亢進し、NADが減少することが知られている。そこで、悪液質モデルマウスにおいて、CiMsを標的とした抗マウスCD38抗体療法の検討に加えて、CD38阻害剤による悪液質病態への影響も検証する。 悪液質関連単球(CiMs)およびそこから産生される液性因子については、これまでに複数の悪液質モデルマウスで確認しているが、対応するヒト細胞および液性因子の探索についても、がん悪液質発症患者を対象として解析に着手している。既に、一部の担癌患者の末梢血サンプルから単球および血清を回収し、フローサイトメトリーによる単球表面抗原解析、RNA-Seqによる遺伝子発現解析、マルチプレックスイムノアッセイによるサイトカイン・ケモカイン測定を実施しているが、さらに解析症例数を増やしヒトがん悪液質病態の解明を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(32 results)
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[Journal Article] A specific G9a inhibitor unveils BGLT3 lncRNA as a universal mediator of chemically induced fetal globin gene expression2023
Author(s)
Takase S, Hiroyama T, Shirai F, Maemoto Y, Nakata A, Arata M, Matsuoka S, Sonoda T, Niwa H, Sato S, Umehara T, Shirouzu M, Nishigaya Y, Sumiya T, Hashimoto N, Namie R, Usui M, Ohishi T, Ohba SI, Kawada M, Hayashi Y, Harada H, Yamaguchi T, Shinkai Y, Nakamura Y, Yoshida M, Ito A
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 14
Issue: 1
Pages: 23-23
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] The early neutrophil-committed progenitors aberrantly differentiate into immunoregulatory monocytes during emergency myelopoiesis2023
Author(s)
Ikeda N, Kubota H, Suzuki R, Morita M, Yoshimura A, Osada Y, Kishida K, Kitamura D, Iwata A, Yotsumoto S, Kurotaki D, Nishimura K, Nishiyama A, Tamura T, Kamatani T, Tsunoda T, Murakawa M, Asahina Y, Hayashi Y, Harada H, Harada Y, Yokota A, Hirai H, Seki T, Kuwahara M, Yamashita M, Shichino S, Tanaka M, Asano K.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 42
Issue: 3
Pages: 112165-112165
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Prospective comparison of 5- and 7-day administration of azacitidine for myelodysplastic syndromes: a JALSG MDS212 trial2022
Author(s)
Miyazaki Y, Kiguchi T, Sato S, Usuki K, Ishiyama K, Ito Y, Suzuki T, Taguchi J, Chiba S, Dobashi N, Tomita A, Harada H, Handa H, Horiike S, Maeda T, Matsuda M, Ichikawa M, Hata T, Honda S, Iyama S, Suzushima H, Moriuchi Y, Kurokawa T, Yokota K, Ohtake S, Yamauchi T, Matsumura I, Kiyoi H, Naoe T.
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Journal Title
International Journal of Hematology
Volume: 116
Issue: 2
Pages: 228-238
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Labile CD22 and CD19 expression in a case of Philadelphia chromosome-like acute lymphoblastic leukemia.2022
Author(s)
Mukae J, Sadato D, Toya T, Watanabe S, Hirama C, Konuma R, Shimizu H, Najima Y, Kobayashi T, Kato M, Ohki K, Oboki K, Harada H, Ohashi K, Deguchi T, Harada Y, Doki N
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Journal Title
Leuk Lymphoma
Volume: 63
Issue: 13
Pages: 3261-3264
DOI
Related Report
Peer Reviewed
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