Project/Area Number |
22K19467
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 50:Oncology and related fields
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
北嶋 俊輔 公益財団法人がん研究会, がん研究所 細胞生物部, 研究員 (90566465)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | cGAS / リン酸化 / オートファジー |
Outline of Research at the Start |
cGASは、微小核内の二本鎖DNAに直接結合し、1型インターフェロン分泌を誘導するセカンドメッセンジャーである2’3’cGAMPを産生するとともに、マイクロヌクレオファジーと呼ばれる選択的オートファージーの受容体として微小核分解にも寄与することが報告された。本研究では、これまでに研究代表者が見出した微小核誘導時に出現する機能不明なcGASのリン酸化が、cGASによる微小核の認識および分解に寄与するという仮説のもと、リン酸化部位の特定と責任キナーゼの同定、さらにはGASの新規リン酸化が微小核の動態および抗腫瘍免疫に与える影響を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
紡錘体チェックポイントキナーゼMonopolar Spindle 1(MPS1)の阻害によって細胞質内に微小核が形成されることが知られている。これまでに研究代表者は、MPS1阻害剤処理により誘導される微小核が細胞質内の異所性DNAとしてcGASに認識されることで抗ウイルス応答/抗腫瘍免疫経路を誘導すること、また微小核誘導時に、これまで報告されたリン酸化状態とは異なる機能不明なcGASのリン酸化が出現することを明らかにした。そこで、本研究の過程で見出した機能不明なリン酸化が、cGASによる微小核の認識および分解に寄与するという仮説のもと、リン酸化部位の特定と機能解明を目指す。微小核誘導時に出現するcGASのリン酸化部位をリン酸化プロテオームで同定するためには、一定レベル以上の収量のcGASタンパク質を免疫沈降法により回収することが必須である。そこで本年度は、Phostag技術を用いて、様々な実験条件下でのリン酸化cGASの誘導効率を解析し、標的となるcGASのリン酸化が最も効率よく検出できるMPS1阻害剤の処理条件の設定、使用するがん細胞株の選定、タンパク回収条件の設定、免疫沈降に使用するタグなどを決定した。今後、リン酸化プロテオームによりリン酸化部位を特定し、特定したリン酸化部位のアミノ酸変異型cGASを作製し、細胞に導入する予定である。これにより、標的とするcGASのリン酸化が微小核の形成やcGASの動態、さらにその下流シグナルである抗ウイルス応答/抗腫瘍免疫経路にどのような影響を与えるかを解析することが出来る。本研究を通じて、細胞質内の微小核とcGASとの相互作用の理解が深まり、抗ウイルス応答や抗腫瘍免疫の誘導機構に関する新たな知見が得られることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、標的とするcGASのリン酸化部位をリン酸化プロテオームで同定するため、使用するがん細胞株の選定および効率的な免疫沈降(IP)の実施のためのタグ付きcGASを導入した細胞株の作製、また微小核誘導時に出現するcGASのリン酸化が最も効率よく検出できるMPS1阻害剤の処理条件などを最適化した。 1、リン酸化cGASタンパク質をIPにより濃縮するために、Flagタグ付きcGASを導入してFlag抗体によりIPする方法および内在性cGASをcGAS抗体によりIPする方法を検討した。前者の場合、十分量のcGASを回収することできるが、多くの細胞株では外因性のFlag-cGASを非常に強く発現する一方で、全体のFlag-cGASに対するリン酸化Flag-cGASの比率が極めて低いことが明らかになった。一方で、後者の場合は、内因性cGASの発現量の低さ、IP用抗体としてのcGAS抗体の不安定性が問題となった。そこで、NCI-H1944などcGAS依存的な細胞死を起こしやすく外因性のcGASを高発現しないことをこれまでに報告していた細胞株に対してEGFP-Flagタグ付きcGASを導入し、一定レベル発現する細胞のみをEGFPを標識としてFACSによりソートした後にH1944 EGFP-Flag-cGAS low株として安定化させ、IP用に大量の細胞数を調整することでこれらの問題を解決した。 2、MPS1阻害剤としてCFI-402257、BAY-1217389などの薬剤を異なる濃度で作用させてcGASのリン酸化レベルをPhostagゲルで解析した。その結果、100nM BAY-1217389で48時間処理し、薬剤を除去したのちに72時間通常培地で培養した条件において、微小核の形成および標的とするcGASのリン酸化が著しく上昇することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
1、リン酸化プロテオームによるcGASリン酸化部位の特定。本年度に作製した細胞株および設定した条件検討を用いて、微小核を誘導した際の細胞溶解液からcGASを免疫沈降により濃縮し、リン酸化プロテオームにより標的となるcGASリン酸化部位の特定を目指す。 2、In vitroモデルを用いたcGASリン酸化の機能評価。これまでに研究代表者は、cGASのN末端をEGFPで標識し、かつ生細胞イメージングプローブであるSiR-DNAによりDNAを標識することで、微小核の出現と消失、cGASの微小核への集積をライブイメージで観察する系を確立した。そこで、まずは上記1の研究で特定したリン酸化部位のアミノ酸変異型cGASを発現する遺伝子発現ベクターを作成し、がん細胞に導入する。その後、上記のライブイメージングの系を用いて、野生型cGASと比較して、アミノ酸変異型cGASが微小核の形成やcGASの動態にどのような影響を与えるかを解析する。また並行して、cGAS下流因子であるCXCL10の分泌やTBK1、STAT1の活性を測定することで、新規リン酸化が微小核形成時のcGASの活性化に与える影響を解析する。 3、In vivoモデルを用いたcGASリン酸化の機能評価。これまでに研究代表者は、MPS1阻害剤投与によりCD8陽性T細胞依存的に腫瘍縮小が誘導されるマウス肺がんモデルを確立している。本モデルを用いて、上記1、2の研究で得られた成果をもとに、cGASのリン酸化が抗腫瘍免疫に与える影響を解析する。微小核形成に伴うcGASリン酸化が微小核への結合と分解に寄与すると仮定した場合、アミノ酸変異型cGASを導入した場合には、微小核の細胞質内蓄積が亢進し、MPS1阻害剤依存的な抗腫瘍効果の相乗的活性化が期待される。
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