不快情動に対する自律神経応答を惹起する神経回路メカニズム
Project/Area Number |
22K19477
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 51:Brain sciences and related fields
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松本 正幸 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50577864)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小金澤 禎史 筑波大学, 医学医療系, 助教 (80431691)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
|
Keywords | 自律神経 / 情動 / 外側手綱核 |
Outline of Research at the Start |
快・不快の情動は心拍や呼吸、血圧などの自律神経系の働きに大きく影響し、情動の変調が顕著な精神疾患では自律神経制御に異常が見られることが多い。これらの知見は、情動生成に関わる神経メカニズムが自律神経制御機構に介入することを示唆する。研究代表者はこれまで、外側手綱核と呼ばれる神経核が不快情動の生成に深く関与することを世界に先駆けて明らかにしてきた。外側手綱核は自律神経制御を担う脳領域と連絡することから、情動生成と自律神経制御をつなぐ理想的な位置にある。本研究では、外側手綱核がどのようなメカニズムを介して不快情動によって惹起される自律神経応答の調節に関わっているのかを神経回路レベル明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
快・不快の情動は心拍や呼吸、血圧などの自律神経系の働きに大きく影響し、情動の変調が顕著な精神疾患では自律神経制御に異常が見られることが多い。これらの知見は、情動生成に関わる神経メカニズムが自律神経制御機構に介入することを示唆する。研究代表者はこれまで、外側手綱核と呼ばれる神経核が不快情動の生成に深く関与することを世界に先駆けて明らかにしてきた。外側手綱核は自律神経制御を担う脳領域と連絡することから、情動生成と自律神経制御をつなぐ理想的な位置にある。本研究では、外側手綱核がどのようなメカニズムを介して不快情動によって惹起される自律神経性の血液循環調節および呼吸運動調節に関わっているのかを神経回路レベルで検討する。 研究代表者はこれまでの研究において、外側手綱核がモノアミン系を介して自律神経性の血液循環調節に関与していることを明らかにしてきた。一方で、外側手綱核が、血液循環と同様に不快情動の影響を受けることが知られている呼吸運動を調節するかどうかは明らかとなっていない。そこで、麻酔ラットを用いて、外側手綱核を電気刺激により興奮させ、これによる呼吸運動への影響を検討した。その結果、外側手綱核の電気刺激は、刺激頻度および刺激強度依存的に、呼吸頻度と分時換気量を増加させることによって、呼吸運動を亢進させることが明らかとなった。さらに、この外側手綱核刺激による呼吸頻度および分時換気量の増加は、ドーパミン受容体遮断薬の静脈内投与により、有意に抑制された。したがって、外側手綱核はモノアミンニューロン群の活動調節を介して、自律神経性の血液循環のみならず、呼吸運動も制御しているものと考えられる。このことは、不快情動に対して応答する外側手綱核がモノアミン系を介して、心臓血管中枢・呼吸中枢のニューロン活動に影響を与えることにより、自律神経性の血液循環・呼吸運動調節に関与している可能性を示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、不快情動の生成に深く関与する外側手綱核が、情動性の自律神経制御に果たす役割とその制御メカニズムを神経回路レベルで明らかにすることを目的とする。すでに外側手綱核の活動操作が不快情動の影響を受けることが知られている呼吸運動を調節することを明らかにし、また、この調節にドーパミン神経系が重要な役割を果たしていることを明らかにした。これまで外側手綱核と呼吸運動との関係は報告されておらず、本研究の成果は極めて独創的であると言える。以上から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の中で、外側手綱核による呼吸運動の制御にドーパミン神経系が関与することを明らかにしたが、ドーパミン神経系の起始核は複数存在し、神経回路の全体像は不明なままである。今後、ドーパミン神経の起始核である黒質緻密部や腹側被蓋野をターゲットにした介入操作を行い、呼吸運動を制御する外側手綱核―ドーパミン神経回路の全体像を明らかにする。また、外側手綱核との関係が深いセロトニン神経系にも注目する。セロトニン受容体遮断薬の投与やセロトニン神経の起始核をターゲットにした介入操作を行い、外側手綱核―セロトニン神経回路が呼吸運動制御に果たす役割を明らかにする。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)