Project/Area Number |
22K19548
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 54:Internal medicine of the bio-information integration and related fields
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
滝澤 仁 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特別招聘教授 (10630866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森嶋 達也 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任講師 (40421375)
増田 豪 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (70383940)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 赤血球造血 |
Outline of Research at the Start |
酸素の供給を担う赤血球は一日で1x10^11個も産生され、全体細胞数の84%を占める。その過程で酸素運搬に必須の鉄を含むヘモグロビンなどのタンパク質を非常に盛んに合成するため、赤血球造血にはタンパク質合成および品質管理(プロテオスタシス)が必要不可欠である。本研究では、タンパク質の翻訳に必須であるtRNAを機能修飾する遺伝子に着目してミトコンドリアtRNAにおこるこの小さな変化が細胞分化に影響するグローバルなプロテオスタシスの変化へと増幅されるメカニズムを解明する。本研究はtRNA研究だけでなく血液研究、再生医療分野にも波及する高い独創性・学術的価値を持つ。
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Outline of Annual Research Achievements |
酸素の供給を担う赤血球は一日で1x1011個も産生され、全体細胞数の実に84%を占める(Sender et al. PLoS Biol 2016)。その分化過程において、不要な核や酸素消費を行うミトコンドリアを細胞外に放出しながら酸素運搬に必須の鉄を含むヘモグロビンなどのタンパク質を非常に盛んに合成するため、赤血球造血にはタンパク質合成および品質管理(プロテオスタシス)が必要不可欠である。ミトコンドリアtRNAのタウリン修飾酵素の一つであるMTO1を造血特異的に欠損(KO)したマウスを作製したところ、重篤な貧血のため胎生致死となり、胎児肝臓の赤血球分化解析から多染性赤芽球の分化段階での成熟障害を見出した。成体造血または骨髄ニッチ特異的なMTO1KOは造血不全を示さないこと、MTO1KO由来赤芽球の試験管内分化誘導でも表現型が再現されることから、ミトコンドリアtRNAのタウリン修飾は胎児造血に特異的かつ細胞自律性の赤血球分化に必須であると考えられた。そこで、試験管内培養によってミトコンドリアのタンパク翻訳不全から細胞分化異常に至るシグナル経路を精査した。その結果、ミトコンドリア内の鉄量が低下に伴い細胞質内の鉄量が増加し、ヘム生合成や異常ヘモグロビン産生が亢進していた。その結果として小胞体ストレスが誘導され、細胞死に至っていることが判明した。鉄のキレートや小胞体ストレスシグナルの阻害は、MTO1KOの表現型を綺麗にレスキューした。これらの結果は、ミトコンドリアのタンパク質翻訳がミトコンドリアの呼吸鎖や代謝だけを制御しているだけでなく、鉄の細胞内局在にも重要な役割を担っていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で計画していた実験が概ね終わり、期待通りの結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ミトコンドリア内の鉄量制御機構に焦点を当てて、研究を進める。具体的には、ミトコンドリアの呼吸鎖複合体のうち、鉄ー硫黄クラスターを含有する複合体Iの複合体形成を生化学的に検討する。また、複合体Iの構成タンパク質のいくつかは遺伝子欠損マウスが報告されているため、それらのマウスについて赤血球造血解析を進める。
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