molecular mechanism of immunological memory and application to vaccination
Project/Area Number |
22K19568
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 55:Surgery of the organs maintaining homeostasis and related fields
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
関亦 正幸 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (80250190)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | 免疫記憶 / ワクチン / CRISPR/Cas9 / ゲノム編集 / リステリア菌 / 免疫幹細胞 / ヘルパーT細胞 / メモリーT細胞 / ゲノム編集技術 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、免疫記憶において中心的役割を果たしている長寿命なCD4陽性幹細胞様ヘルパー記憶T(Tscm:T stem cell memory)細胞の成立・維持に関わる分子機構を解明し、新しいワクチン開発に応用することを目的とする。そのため、リステリア菌感染モデルでのアプローチでTscm細胞の特定を進めると共に、Tscm細胞の機能を増強または減弱できる機構を解明し、ワクチン開発への応用を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
免疫記憶とは、一度感染した病原体の抗原情報を免疫系が長期に渡って記憶することで、同じ病原体再感染への防止を可能にする生体防御システムである。このシステムを活用した医療応用としてワクチン接種がある。病原体の抗原を予めワクチン接種して免疫記憶を成立させておけば、病原体の感染防止が将来に渡って期待できる。ところが、新型コロナウィルス感染のように、ワクチンを接種しても免疫記憶が長期間持続しないことが見られることから、安全かつ持続性のあるワクチン技術の開発が期待されている。しかし、これまでの国内外の研究にも関わらず、ワクチン開発の基礎となる免疫記憶の成立・維持の分子機構の解明は進んでいない。解析を困難にしている原因として、免疫記憶で中心的役割を果たす長寿命なメモリー細胞が生体内では微量しか存在していないこと、さらに、同定のための適切な細胞表面マーカーが存在しないことが考えられている。本研究では、免疫記憶に関わる細胞集団の中でも、特に長寿命CD4陽性幹細胞様ヘルパー記憶T(Tscm: T stem cell memory)細胞に着目し、その成立・維持に関わる分子機構を解明することで、その成果を新しいワクチン開発に応用することを目的としている。免疫記憶に関わる細胞集団には、抗体を長期間産生する記憶B細胞や、感染細胞を殺傷する記憶キラーT細胞などの免疫実動部隊が知られている。免疫記憶集団の中で特にTscm細胞に着目する理由は、Tscm細胞がこれらの免疫実働部隊の働きを調節する司令塔として中心的役割を担うと考えられているからである。すなわち、世界的にも解明が進んでいないTscm細胞の同定および機能解明が、免疫記憶制御の鍵を握っていると考えているからである。本研究では最終的に、免疫記憶におけるTscm細胞の持つ能力を増強または抑制する方法を確立することで、これまで改善が困難であったワクチン技術の問題点の克服を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Tscm細胞の実体解明と休眠維持・再活性化の分子機構を明らかにするため、まず、マウスモデルの構築を行なった。Tscm細胞は生体内で微量であることから、実体解明が進んでいない。そこで、必要細胞数を確保するため、組換えリステリア菌(Lm)によるマウス感染モデルを活用することにした。LmにはOVA(ニワトリ卵白アルブミン)抗原を発現した組換え菌(Lm-OVA)を使用し、宿主にはOVA特異的T細胞受容体(OVA-TCR)を発現することから、Lm-OVA感染により十分な数のTscm細胞の誘導が期待できる。Lm-OVA菌については現在入手の準備を進めている。そこで、本年度は宿主のマウスの構築を進めた。熊本大学および理化学研究所から、OVA特異的T細胞受容体(OT-II)を発現するC57BL/6バックグラウンドのトランスジェニックマウス、CRISPR/Cas9のゲノム編集用sgRNAライブラリー(20万種類)導入によりランダムに2万個の遺伝子を欠損できるCas9発現トランスジェニックマウス、宿主マウスとドナーマウス細胞を細胞表面抗原(Ly5.1)で識別できるコンジェニックマウス、および、T細胞B細胞を欠損したマウス(Rag2欠損)をそれぞれ入手して、これらの4系統を交配したマウス(OT-II/Cas9/Ly5.1/Rag2(-/-))を作製した。まず、作製したマウスを用いてOVA抗原特異的な肺炎を誘導できるか検証した。これらのマウスからCD4陽性ヘルパーT細胞を単離しナイーブマウス(C57BL/6)の尾静脈に注入後、ネブライーザー噴霧器でOVA抗原を肺気道から吸引感作させたところ、目標通り肺組織全体に渡って強いリンパ球の浸潤が見られた。さらに、OVA抗原感作後30日後でもOVA特異的メモリーT細胞群の存在を確認することができた。以上のことから、Tscm細胞の実体解明と休眠維持・再活性化の分子機構に必要なOVA抗原特異的な肺炎誘導マウスモデルを構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
活性化したエフェクターT細胞が、長寿命Tscm細胞に分化する分子機構は全く知られていない。この過程で働く分子を、CRISPR/Cas9のゲノム編集用sgRNAライブラリー(20万種類)を搭載したレトロウイルスを活用して同定する。Lm-OVA感染直後のマウスからT細胞をセルソーターで単離し、上記レトロウイルスライブラリーで約2万個の遺伝子をランダムに欠損させる。次に、これらの欠損T細胞群を野生型マウスに移植し、Lm-OVA感染60日後にTscm細胞に分化できる集団とできない集団とにセルソーターでそれぞれ単離する。両集団の全ゲノムDNA配列を次世代シークエンサーで解析し、両者のDNA配列の違いをMAGeCK(Model-based Analysis of Genome-wide CRISPR/Cas9 Knockout)プログラムにて比較解析する。この解析で、どの遺伝子が欠損した場合に、Tscm細胞への分化誘導が阻害されるのか網羅的に調べ、候補となるTscm細胞分化誘導分子を決定する。さらに、Tscm細胞誘導の候補分子の発現を増強または減弱できるような低分子化合物を、創薬化合物ライブラリー(東京大学創薬機構から入手)からスクリーニングする。そのため、候補分子の遺伝子プロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子を連結したレポーターベクターを導入したT細胞株を樹立する。この細胞株に創薬化合物ライブラリーを添加し、レポーター活性を指標に候補化合物を選択する。次に、得られる候補化合物を、ワクチン投与の際にアジュバント(免疫補助剤)として添加することで、Tscm細胞の成立および維持効果を検証する。さらに、このワクチン相乗効果を、Lm-OVAマウス感染に対する予防効果で検証し、安全性と有効性を確認して最終的にヒト新規ワクチン開発への応用を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)