患者由来がんモデルに基づくミトコンドリア代謝変容による治療抵抗性機構の解明と応用
Project/Area Number |
22K19572
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 55:Surgery of the organs maintaining homeostasis and related fields
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
池田 和博 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30343461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 聡 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40251251)
佐伯 俊昭 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50201512)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | がん / 代謝 / 患者由来モデル / ミトコンドリア |
Outline of Research at the Start |
がん細胞は大量のエネルギー・核酸等の産生や周囲の微小環境に適応するため、正常細胞とは異なる特徴的な代謝変化(再プログラミング)を有することが明らかになっている。本研究では、がん幹細胞様細胞の選択的な培養を可能とする手法を用いて、ミトコンドリア代謝変容の理解と、それに基づく新しい治療法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
がんの再発・転移・治療抵抗性などの増悪化に関わるメカニズムとして、抗がん剤や放射線への抵抗性を有するがん幹細胞様細胞(CSC)が注目されているが、ミトコンドリア代謝に関して未解明の点が多い。がん細胞は大量のエネルギー・核酸等の産生や周囲の微小環境に適応するため、正常細胞とは異なる特徴的な代謝変化(再プログラミング)を有することが明らかになっている。本研究では、がん幹細胞様細胞の選択的な培養を可能とする手法を用いて、ミトコンドリア代謝変容の理解と、それに基づく新しい治療法の開発を目指す。がん幹細胞様細胞(CSC, cancer stem-like cell)は、自己複製能と多分化能を併せ持つ細胞であり、抗がん剤や放射線への抵抗性が高いことから治療の際に残存し、治療抵抗性の獲得や転移・再発の原因となることが想定されている。従って、がん幹細胞様細胞の治療抵抗性を解明することにより、治療効果を飛躍的に高める治療法の開発が可能になると考えられる。しかしながら、がん幹細胞様細胞は数が少ない上、培養が困難であり、特に生化学的な解析が進んでいない。がん細胞では、正常細胞とは異なる特徴的な代謝変化(再プログラミング)を起こしており、最近ではミトコンドリア機能の重要性が提唱されているが、不明な点が多い。本研究において、乳がん、子宮体がんなどのPDCに関して、ミトコンドリア呼吸鎖超複合体の解析、ミトコンドリア関連代謝遺伝子などの発現変化の解析を進めている。これらの解析を進めることにより、がん幹細胞様細胞におけるミトコンドリア代謝変容の理解と、それに基づく新しい治療法の開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理基準を満たした複数種のがんの臨床検体より三次元スフェロイド培養を行い、patient-derived cancer cell (PDC)の樹立を目標に培養を行っている。また、複数種のがん培養細胞株を用いてCOX7RPの発現機能解析を進め、ミトコンドリア呼吸鎖超複合体を制御する上流のシグナル経路について解析を進めている。これらのことより、研究はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
我々はミトコンドリア呼吸鎖超複合体の形成促進因子COX7RPを世界に先駆けて発見し、がんにおけるミトコンドリア呼吸鎖超複合体の重要性を提唱した。一方で、がん治療の標的となるがん幹細胞様細胞において、解糖系とミトコンドリア代謝の使い分けやそれらの相互作用・動態変化が注目されているが、議論が分かれている現状である。その原因として、がん幹細胞様細胞は腫瘍検体にわずかしか存在せず、さらに培養系で増殖させることが困難なことが上げられる。がん組織を用いた三次元スフェロイド培養はがん幹細胞様細胞を選択的に濃縮し、長期培養可能な系として開発された革新的な手法であり、我々は独自に女性がんをはじめとする複数種のがんで培養に至適な条件を見出している。そこで、乳がん、子宮体がんなどの臨床検体よりpatient-derived cancer cell (PDC)の樹立を進める。樹立したPDCの幹細胞マーカーとエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2受容体の発現を確かめ、幹細胞性の特徴とホルモン応答性を確認する。また、これらのPDCの特性に基づいて治療薬を添加して培養することにより治療薬抵抗性の解析を行う。本研究においてさらに症例数を増やし、組織型や治療抵抗性の異なる多様性に富んだ乳がん、子宮体がんなどのPDCを揃え、ミトコンドリア呼吸鎖超複合体の比較解析に用いる計画である。上記の乳がん、子宮体がんPDCからミトコンドリアを調整し、ブルーネイティブ電気泳動によって超複合体を定量する。また、ミトコンドリア関連代謝産物を解析し、遺伝子発現変化、エピゲノム変化などの評価を行う。これらの解析によって明らかにされる代謝産物や、候補遺伝子に対するsiRNA/阻害剤を入手し、腫瘍抑制効果を検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(18 results)