Founding population designing method for maintaining social functions using mathematical models
Project/Area Number |
22K19670
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 58:Society medicine, nursing, and related fields
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西浦 博 京都大学, 医学研究科, 教授 (70432987)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | 人口学 / 数理モデル / 人口減少 / 高齢化 / 産業構造 |
Outline of Research at the Start |
本研究は超高齢社会が「機能として維持可能であるのか」という問いに対して真正面から「数」と「バランス」の問題としてその本質を理論化し、客観的な分析を施したうえで回答を寄せる新しい人口学的研究である。本研究では,産業・職業ごとの従属人口指数を計算し、それぞれの産業に関して未来の需要と供給のバランスを予測する体系を構築する。また、需給バランスに着想を得て、社会機能維持のためのティッピングポイントを数理的に特定し、機能不全に至る地方自治体の特定を客観化する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
少子化にともなう高齢化現象は先進諸国で共通してみられるが、日本のそれは極端かつ集中的である。人口減少は著しく持続的と予期され、持続可能な社会を維持するためには能動的な社会構造の変革が求められる。超高齢人口減少社会においては主に2つの問題を認める。1つは、絶対的な生産年齢人口の不足による数の問題である。警察・自衛・消防・救急等の社会インフラ機能の維持のために,「数」が問題となる集団を維持するには一定の社会デザインを要する。2つ目は、産業構造上で需要と供給のバランスが大きく変化することである。高齢人口割合が顕著に高くなり、相対的に年少人口を対象とするサービスより高齢者を対象とするサービスの維持が困難になりやすい。需要爆発を抑制する施策とともに,供給サイドにおいても社会ニーズに対応し、各種職業の需給バランスの是正をすすめることが必須である。 具体性を持った社会政策を策定するためには人口・産業構造を含む予測が極めて有用である。数理モデルを用いることにより社会経済機能を維持する方法を模索することが可能となる。しかし、日本における数理モデルを用いた人口予測は国による形式人口学的なものを除けば一部の政治経済学領域のシミュレーション程度に留まる傾向があり、オープンな政策議論の礎となるような研究成果が十分に創出されているとは言い難い。本研究の目的は、検討対象を「社会機能の維持」、「高等教育の構造変革」と「保健医療サービスの維持発展」の3点に絞り、コミュニティの独立維持可能性と需要供給バランスに関して、数理モデルに基づく評価を実施し、その予測を実施するための体系づくりをすることである。2年度目には具体的な自衛隊の人口モデルの定量化に着手し、また、死亡の人口学モデルの研究の進捗を図った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では(1).産業別の需要供給バランスの予測、と、(2).社会機能維持のためのティッピングポイントの導出、を中心的な検討課題に据えてきた。前者は高齢化に伴う人口学的分析に対応し、後者は少子化に関連する年齢構造の変化に対応している。(1)では新型コロナウイルス感染症に伴う死亡構造の変化に関する研究に積極的に取り組んでおり、(2)では具体的検討対象として自衛隊の高齢化に係る数理モデルの構築を行ってきた。いずれも順調に研究が進んでいる。 (1)では、人口推計と将来推計人口を利用した人口構造の把握を行い、また、労働力調査と各省庁の職業別人口データを利用して産業・職業別人口を分析する。各産業のサービス対象の年齢群を特定し、その人口を分子とする産業別専門家一人あたりの従属人口を推定する。労働者1人あたりのサービス対象人口を産業別従属人口指数と定義する。次に、日本が人口減少を迎える前の2002年から2006年の産業別従属人口指数を計算し、それを今後も維持すると仮定して未来の需要と供給を計算する。需要とは2002~6年相当の当該産業のサービス構造を維持するための必要労働者数である。他方、供給とは、未来の生産年齢人口の減少が直接的に労働人口の減少に影響するとした場合に、未来に確保可能な労働者数である。その上で、未来の需要と供給のバランスを予測する。 (2)では、自衛隊のような治安面と上記1で検討する産業別のサービス面のそれぞれに関してコミュニティを維持するための条件を検討する。需給バランスを考慮した社会サービスの維持度合いに関する数理的システムを常微分方程式で記述し、安定解とその条件を導出する。すると、治安とサービスのそれぞれで「これ以上悪化すると社会機能が維持できない」と解釈されるティッピングポイントを数理的に明示可能となる。社会機能維持を一番に重視した数理的デザインを可能にする。
|
Strategy for Future Research Activity |
具体性を持った社会政策を策定するためには人口・産業構造を含む予測が極めて有用である。数理モデルを用いることにより社会経済機能を維持する方法を模索することが可能となる。しかし、日本における数理モデルを用いた人口予測は国による形式人口学的なものを除けば一部の政治経済学領域のシミュレーション程度に留まる傾向があり、オープンな政策議論の礎となるような研究成果が十分に創出されているとは言い難い。本研究の目的は、検討対象を「社会機能の維持」、「高等教育の構造変革」と「保健医療サービスの維持発展」の3点に絞り、コミュニティの独立維持可能性と需要供給バランスに関して、数理モデルに基づく評価を実施し、その予測を実施するための体系づくりをすることである。今後、検討対象のウェイトを前2者、特に新型コロナウイルス感染症に伴う死亡構造の変化と、自衛隊員の維持政策に係る数理モデル研究に絞りつつ、研究成果の創出を図る。
|
Report
(2 results)
Research Products
(5 results)