クロスモーダル効果による風感覚提示基盤の構築と風知覚機序の解明
Project/Area Number |
22K19805
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 61:Human informatics and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
割澤 伸一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20262321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伴 祐樹 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任講師 (20789391)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | クロスモーダル効果 / バーチャルリアリティ / 風覚ディスプレイ / 触覚ディスプレイ / 温覚ディスプレイ / リラックス / 風感覚提示 / 風知覚機序 |
Outline of Research at the Start |
視聴触感覚間の相互作用を活用して、風感覚に関わる知覚を変化させることで、多様な風感覚を提示する方法を提案し、これをハードウエア・ソフトウエアとして実装します。これを最大限に活用し、さらに温度提示が可能なウェアラブルデバイスを加えることによって、風向、風量、風温を統合した風感覚のメカニズムを解明する。風知覚のメカニズムに立脚した風感覚の提示手法をハードウエア・ソフトウエア基盤として構築し、社会に実装することによって、バーチャルリアリティ(VR) システムにおける臨場感向上、日常生活環境における空調設定温度以上の温熱・冷却効果や快適な個別空調環境提供に大きな貢献が期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
少数風源と視聴覚刺激を組み合わせる多様な風感覚提示のためのハードウエア・ソフトウエアの基盤構築が完了した。聴覚刺激、視覚刺激が、風向に加えて快適性や安定性など風の質に関わる感覚の評価を実施した。温度提示が可能なペルチェ素子を搭載したウエアラブルデバイスを構築し風温覚知覚を変化させる基盤を構築した。聴覚刺激における立体音像を制作するにあたり、音像定位の精度を高めるためにダミーヘッドにより人間の耳殻や頭部の大きさや形状を模擬した状態で音響を記録できる環境を構築した。視聴触覚刺激が相互に影響を及ぼし物理的に提示している触覚刺激、ここでは風感覚とは異なる擬似的な触力覚を知覚させるクロスモーダル効果を仮説として設定し、少数風源あるいは物理的な風を用いない条件において、視覚・聴覚刺激の組み合わせにより多様な風感覚を提示できることを明らかにした。 具体的には、自然風が吹く屋外空間、人工風が吹く屋内空間、対照条件として無地の空間を用意し、物理的な風として前記構築した大きなファンによる風を用い、これの有無で比較した。その結果、屋外空間の映像・音は風が快適で開放的だという印象を強めること、物理的な風は気分の活性度に影響しないものの気分の安定度を高める効果があることが明らかになった。 物理的な風を用いない条件では、振動刺激と熱刺激を提示するデバイスとして、ペルチェコ素子とボイスコイル型振動子を組み込んだ前腕部装着ベルト型デバイスを作製した。実験ではこのデバイスによる振動・熱刺激と視聴覚刺激を組み合わせて、風感覚への寄与を実験的に検討した。視聴覚刺激はHMDとヘッドフォンにより提示した。実験の結果、風情報に基づく振動・熱刺激が風触感の提示に有効であることを確認できた。また、振動・熱刺激と視聴覚刺激とを組み合わせることによって、風感覚と風体験のリアリティを向上させることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
少数風源と視聴覚刺激を組み合わせる多様な風感覚提示のためのハードウエア・ソフトウエアの基盤構築が完了した。聴覚刺激、視覚刺激が、風向に加えて快適性や安定性など風の質に関わる感覚の評価を実施した。温度提示が可能なペルチェ素子を搭載したウエアラブルデバイスを構築し風温覚知覚を変化させる基盤を構築した。 聴覚刺激における立体音像を制作するにあたり、音像定位の精度を高めるためにダミーヘッドにより人間の耳殻や頭部の大きさや形状を模擬した状態で音響を記録できる環境を構築した。 少数風源としては、人の正面と背面に小さなファンを設置する物理的な風提示環境、人の正面に3x3の合計9個の大きなファンを設置する物理的な風提示環境の2つを構築した。後者は、風速だけでなく風種をパラメータとして用意し、これらの合成方法を実験的に検討することによって、風速知覚操作を狙うために構築した。音源の収集に当たっては、ファンからの風音等統制された環境で録音したものから着手し、視覚刺激・聴覚刺激として人の記憶で想起される質的な情報を持つ映像・風音を用いて風向・風速知覚を操作し、風印象評価を実施した。 物理的な風を用いない状況を創出する触覚刺激提示デバイスの構築に必要なデータを収集するために、温冷風装置により腕部に照射しながら皮膚振動計測と皮膚温度変化を計測する実験環境を構築した。この計測結果を参考にして、物理的な風を用いない風感覚提示を振動刺激と熱刺激で提示することとし、ペルチェコ素子とボイスコイル型振動子を組み込んだ前腕部装着ベルト型デバイスを作製した。 以上のハードウエア基盤・ソフトウエア基盤を構築することによって、研究実績に記載した新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
風知覚機序の解明に取り組む。風源と視覚・聴覚刺激の系統的な組み合わせ実験の実施と、風向、風量、風温に関わる主観評価、さらにVR環境における臨場感、生活環境、オフィス環境における快適性や生産性に関わる生理指標計測による定量評価を通して、人の風知覚機序を解明する。風覚変化については、実際に全周からの風を提示する評価用システムを構築し、物理的刺激との比較を行って調整法等で主観的等価点を求めることで定量的に評価する。 すでに得ている風向知覚に対して、風量や風温を加えた風知覚と視覚刺激・聴覚刺激 との関係を,各刺激提示位置や刺激強度の組み合わせ毎に記述するとともに、感覚器官を経由した脳における情報統合としてこれらの知覚を解釈し、脳科学・認知科学の研究者との議論を積極的に取り込み、風知覚機序としてまとめる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)