Project/Area Number |
22K19839
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 63:Environmental analyses and evaluation and related fields
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (00344614)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 宇宙線生成核種 / ベリリウム10 / 太陽活動 / 宇宙線イベント / アイスコア / 季節変動 / 成層圏対流圏物質交換 / グリーンランドアイスコア |
Outline of Research at the Start |
本研究では、グリーランドSE-Dome IIアイスコアを対象に格段の高解像度でベリリウム10分析を行うことで、過去100年間の宇宙線・大気環境を連続的に探る。研究代表者は、ベリリウム10を用いて、過去の宇宙線変動を解明してきた。その過程で、ベリリウム10に記録されている生成(宇宙線)と輸送(主に成層圏対流圏交換に関わる大気環境)の情報を精確に分離する重要性と可能性を見出した。本研究では、観測時代を対象に超高解像度のベリリウム10データを得ることで解釈の基盤を構築し、それを非観測時代へと斉一的に応用する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、グリーンランドSE-Dome IIアイスコアより、1960年から1999年の試料を切り分けた。切り分けは、コアの保管状況と年代モデルを丁寧に確認しながら、約1ヶ月の解像度が実現できるようになされた。切り分け後の試料は、弘前大学の実験室にて前処理が施され、東京大学総合研究博物館の5MVタンデム加速器を用いた宇宙線生成核種ベリリウム10の加速器質量分析に、順次供されている。 昨年度までに得られた、2000年から2020年の超高解像度ベリリウム10記録に関して、本年度は解析と研究が進んだ。この期間のベリリウム10濃度は、5月から7月を濃度増大のピークとした明瞭な季節変動を繰り返した。また濃度の三年移動平均値は、太陽活動の11年周期(シュワーベ周期)に支配された宇宙線強度変動の観測値と高い正の相関を示した。さらに、日本の大気ベリリウム10濃度の連続観測データと比較すると、宇宙強度線変動の観測値との食い違いが大きい年は両者で一致しており、これと成層圏のイベントとの相関性も認められた。こうした成果は、グリーンランドアイスコアの研究集会をはじめとして、国内外の学会やシンポジウムにて発表された。また、全ての解釈の基本となるSE-Dome IIアイスコアの詳細年代モデルを、国際誌にて公表した。 以上の成果に加えて、昨年度から本年度かけて、1940年代と1950年代のベリリウム10分析が完了した。このことにより、この時代に頻発した太陽面爆発起源の宇宙線イベント(巨大GLE)との関係を考察できるようになった。さらに、試料前処理時に保管された塩素分画より、核時代以前(1940年代)の塩素36を測定する準備が整えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究は概ね順調に進行しているが、本年度に分析を予定していた区間のベリリウム10分析が、加速器質量分析計の不調とマシンタイムの逼迫により完了できなかった。その結果、ベリリウム10変動の考察にも遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の遂行に大きな問題は生じていないことから、当初の計画通り課題を推進する予定である。
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