Project/Area Number |
22K19849
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 63:Environmental analyses and evaluation and related fields
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
竹川 暢之 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (00324369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 健次郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (50540407)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | COVID-19 / エアロゾル / 飛沫 / 飛沫核 / 水分蒸発 |
Outline of Research at the Start |
新型コロナウイルス感染症はウイルス保有者の呼吸器飛沫を介して広がる。相対湿度変化に伴う飛沫の水分蒸発過程は、飛沫の空気中の伝播効率に強い影響を与える。本研究では、インクジェット粒子発生器を用いた実験システムを構築し、無機塩・蛋白質を主成分とする飛沫模擬粒子を用いて飛沫の水分蒸発速度の支配要因を解明することを目的とする。得られる成果は、飛沫の拡散シミュレーションの再現性向上に資することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の伝播において、相対湿度変化に伴う呼吸器飛沫の水分蒸発過程が重要である。本研究では、インクジェット粒子発生器 (IAG) とフローチューブを用いた飛沫模擬粒子の実験を行い、飛沫の水分蒸発速度の支配要因を解明することを目的とした。 呼吸器飛沫は、無機イオン、糖蛋白質、界面活性剤 (両親媒性物質) などを含む。これらを模擬するために、NaCl、ブタ胃由来ムチン、ジパルミトイルホスファチジルコリン (DPPC) を用いた。IAGを用いた実験に先立ち、ネブライザで多分散粒子を発生させ、フローチューブの湿度および長さを変化させて飛沫模擬粒子の粒径分布を測定した。NaClのみの場合は湿度に応じて系統的な粒径分布変化が観測され、その湿度依存性はNaClの吸湿成長因子により概ね説明することが可能であった。一方、NaClに加えてムチンとDPPCを含む場合は湿度依存性が非常に弱くなり、糖蛋白質と界面活性剤が水分蒸発に大きな影響を与えることが示唆された。 さらに、IAGを用いてNaCl単独およびNaClとムチンを含む溶液から単分散粒子を発生させ、フローチューブ内の湿度を変化させて飛沫模擬粒子の粒径分布を測定した。当初計画では気中滞在時間による変化を観測するために直挿式レーザー散乱粒子カウンタを用いる予定であったが、フローチューブ内部の光反射の低減などに課題があることが分かった。このため、フローチューブ下端に空気力学式粒径分布計測装置 (APS) を設置し、フローチューブ内のガス流量を変化させることで気中滞在時間を変化させた。多分散粒子実験と同様に、NaClでは吸湿成長因子でほぼ説明できる一方、ムチンが添加された粒子では水分蒸発速度が遅くなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IAGを用いた実験においては、飛沫模擬粒子を安定的に発生させるための溶液濃度の最適化に時間を要した。また、直挿式レーザー散乱粒子カウンタによる粒子径の定量に課題があったため、検出方法を変更した。このように、実験進捗の遅れや実験方法の変更があったものの、当初計画した実験項目は概ね実施することができた。一方、実験で得られたデータの理論的解釈に時間を要した。それに伴い、学会発表および論文執筆が遅れている。このため、全体としてはやや遅れていると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では今年度が最終年度であったが、データ解析および論文執筆の遅れを考慮して研究期間を延長した。実験で得られた成分別・相対湿度別の蒸発速度を、ガス-粒子間の物質移動方程式を用いて解析する。ムチンおよびDPPCの効果については、平衡蒸気圧の曲率効果や溶質効果の項などをパラメータとして再現を試みる。これらの結果を踏まえて、ウイルス学・感染症学分野も含めた学際的な研究領域への発展の可能性について議論する。
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