Project/Area Number |
22K19851
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 63:Environmental analyses and evaluation and related fields
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
奥田 知明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30348809)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | エアロゾル / フィルター / 化学分析 / 生物分析 / 有害性評価 / 水溶性繊維 / 細胞曝露 |
Outline of Research at the Start |
大気粒子の有害性発現メカニズムの解明のためには、粒子を細胞や動物に直接曝露し、その影響と粒子特性との関連を調べる必要がある。本研究では、従来のフィルターでは実現することのできなかった、高い強度・耐候性と粒子捕集効率を維持しながら、ある条件では水に溶けて曝露実験にも使える、新規フィルターの開発と実用化を行う。フィルターというありふれた研究資材のブレークスルーが、実は分野間連携のカギとなることを示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、水溶性フィルターの作製条件物性について検討した。以下に一例を示す。ポリビニルアルコール(Sigma-Aldrich社製、重量平均分子量89,000~98,000、けん化度99.0~99.8 mol%)1.1 gを水:エタノール=9:1の溶媒10 mLに加え、87℃30分間撹拌した溶液を作製した。外径46 mm、内径40 mmのポリプロピレンシート枠を設置し、上記溶液をシリンジに1.5 mL入れ、溶液押出速度0.5 mL/h、ノズル径20ゲージ、ノズル先端からアルミ板コレクターまでの距離15 cm、印加電圧15.0 kV、紡糸時間3時間でエレクトロスピニング法を実施した。得られた水溶性フィルターは膜厚49.4±13.1 μm、繊維径162±49 nm、目付19.4±8.4 g/m2であった。このフィルターの粒子捕集効率を、有効面積 12.88 cm2(直径40.5 mm)、流量 0.5 L/min(通気線速度0.65 cm/s)の条件で光散乱式粒子計数機(RION, KC-01E)を用いて測定したところ、0.3~0.5 μm の粒子において99.1±1.8% となり、その際の圧力損失は 152±47 Pa であった。
作製したフィルターと、市販のPTFEフィルターを用いて、実環境大気中PM2.5を並行して採取した。得られた粒子中の元素組成をエネルギー分散型蛍光X線装置で測定したところ、両者に明確な違いは見られなかった。水溶性フィルターより得られた粒子懸濁液をヒト肺胞基底上皮腺癌細胞 (A549 細胞) に曝露してWST-1 Assayを実施したところ、濃度依存的に細胞生存率が低下した。
さらに、作製した水溶性フィルターを複数の外部機関研究者に配布し、多様な微生物分析ニーズへ応用した。その成果を国内学会発表として複数件報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、水溶性フィルター紡糸条件を確立し、作製した水溶性フィルターの各種物性パラメータの取得、および実環境中での従来法および水溶性フィルターによる大気粒子採取と化学・生物分析を順調に進められた。また、作製したフィルターを複数の外部機関研究者に配布し、多様な微生物分析ニーズへ応用していただくことで、大気粒子の有害性評価研究の化学・生物分野連携を進める上での課題等のディスカッションを多数実施することができた。以上を勘案し、現在までの到達度を、おおむね順調に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、大気粒子の有害性発現メカニズムを解明するための基盤技術として、従来化学分析に用いられてきたフィルターの特徴である高強度・高耐候性と高い粒子捕集効率を維持しながら、ある条件では水に溶けて細胞・動物曝露といった生物学・毒性学的実験にも使用することができる、分野間連携を促進するための新規なフィルターの開発と実用化を行うことを目的として研究を進める。 今年度までに、水溶性フィルターの各種物性パラメータの取得を進め、これと並行して実環境中での従来法および水溶性フィルターによる大気粒子採取と化学・生物分析を継続してきた。また、作製したフィルターを複数の外部機関研究者に配布し、多様な微生物分析ニーズへ応用していただくことで、大気粒子の有害性評価研究の化学・生物分野連携を進める上での課題等のディスカッションを多数実施することができた。今後はこれらの議論の中で指摘された課題の解決に取り組み、化学分析と生物分析の両方に有用な水溶性フィルターの完成を目指す。 成果発表については、国内発表4件(大気環境学会、大気バイオエアロゾルシンポジウム)、国際学会1件(Asian Aerosol Conference)、英文学術誌1件(Aerosol and Air Quality Research)を目標とする。
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