Project/Area Number |
22K19912
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 90:Biomedical engineering and related fields
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
生嶋 健司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20334302)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 医工学 / 超音波 / 音響誘起電磁法 / 圧電効果 / コラーゲン / 骨粗鬆症 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、音響誘起電磁法(ASEM法)を用いて、骨コラーゲンの結晶性(配向性)を非侵襲に評価する“骨質”センシングを実現することである。ASEM法は、対象物の圧電性を通して、超音波によって誘起される電気分極を検出し、超音波走査によりその分極の空間分布を画像化する手法である。本研究では、骨粗鬆症に着目し、骨コラーゲンの健全性と圧電性との相関を明らかにし、骨質のin-vivo評価に挑戦する。ASEM法は、非破壊・非脱灰での骨コラーゲン評価、さらには非侵襲ヒト診断につながる可能性を有しており、本研究手法の確立は、骨粗鬆症の学術研究・診断応用の両面において大きな変革をもたらすことが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、音響誘起電磁法(ASEM法)を用いて、骨コラーゲンの結晶性(配向性)を非侵襲に評価する“骨質”センシングを実現することである。ASEM法は、対象物の圧電性を通して、超音波(音圧)によって誘起される電気分極(圧電分極)を検出し、超音波走査によりその分極の空間分布を画像化する手法である。骨の圧電性は一軸配向したコラーゲン線維に由来しているため、圧電性を利用することにより、非破壊・非脱灰に骨コラーゲン線維を評価できる。本研究では、骨粗鬆症に着目し、骨コラーゲンの健全性(線維構造と力学特性)と圧電性との相関を明らかにし、骨質のin-vivo評価に挑戦する。ASEM法は、非破壊・非脱灰での骨コラーゲン評価、さらには非侵襲ヒト診断につながる可能性を有しており、本研究手法の確立は、骨粗鬆症の学術研究・診断応用の両面において大きな変革をもたらすことが期待される。 2022年度において、ラット骨粗鬆症モデル(膝関節不動化モデルおよび糖尿病モデル)を用いて、健全骨と疾患骨におけるASEM信号強度(圧電分極)を比較したところ、特に骨幹端部において有意差をもってASEM信号が減少することが見出された。また、骨の圧電分極の異方性を検出する手法を開発し、線維構造に起因する異方性を示すことが明らかにされた。このことは、ASEM信号の大きさや向きから骨コラーゲンの配向性を評価できることを示唆する。一方、動物in-vivo実験やヒト測定を可能とするアレイプローブを用いた測定系の開発に取り組み、ヒト体内における圧電分極の画像化に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、骨粗鬆症に着目し、骨コラーゲンの健全性(線維構造と力学特性)と圧電性との相関を明らかにし、骨質のin-vivo評価に挑戦する。健全な皮質骨では骨軸に沿ってコラーゲンが整列しているが、骨粗鬆症では無秩序化することが報告されている。そこで本研究では大腿骨皮質骨に着目し、次の二つの課題を実施した。 〔1〕in-vitro評価: 膝関節不動化および糖尿病の二つの異なるラット骨粗鬆症疾患モデルを11個体を作成し、健全骨と疾患骨を比較したところ、疾患骨では統計的有意差をもって信号が減少していることが見出された。また、骨サンプルを脱灰し、光学顕微鏡による組織評価、X線回折によるコラーゲン結晶構造解析を行い、コラーゲン結晶性の低下が示唆された。今回、大腿骨皮質骨の広い領域での信号平均値で評価したが、局所的に分極の大きさが分布していた。したがって、より大きなウシ大腿骨等を用いて、局所的な分極の大きさや異方性を調査し、骨の診断評価方法を検討していく必要がある。 〔2〕in-vivo計測システムの開発と検証:(a) ASEM法にパルス圧縮技術を導入し、超音波集束スポット1点当たりの測定時間を大幅に短縮した、(b) アレイプローブによるASEM画像取得に成功し、ヒトの橈骨、腱の圧電分極を観測することが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の実績を踏まえ、以下の研究を推進する。 〔1〕骨コラーゲンの健全性について、ASEM信号強度(圧電分極の大きさ)のみならず、信号の異方性(圧電分極の向き・異方性)についても調査する。骨コラーゲンの配向性評価は脱灰プロセスが必要となるため、腱・筋などの軟組織において、配向性とASEM信号特性(圧電特性)との相関を調べる。特に、ウシ大腿骨測定あるいはヒト測定により、より広範囲に大腿骨における分極の大きさと異方性を空間マップしていく。 〔2〕ヒト体内の分極異方性を定量評価する受信アンテナの設計が必要である。また、ユーザービリティを高めるため、適切な音響遅延材(ゲル)を高分子化学の専門家と協力して開発する。上記ヒト測定用システムの改善を実施し、橈骨や脛骨における圧電分布や負荷における圧電変化などの事前調査を行い、健常人の標準データ収集の指針を決める。
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Report
(1 results)
Research Products
(14 results)