金ナノ粒子の表面デザインを駆使したプロテインコロナの光制御法の開発
Project/Area Number |
22K19929
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 90:Biomedical engineering and related fields
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三友 秀之 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (50564952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信一郎 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10262601)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 金ナノ粒子 / 表面修飾 / プロテインコロナ |
Outline of Research at the Start |
光機能性を有する金ナノ粒子を用いたナノ粒子医療においては、粒子が血中を安定に滞留し、対象とする疾患部位に特異的に作用するターゲット能が重要である。しかし、血中に投与されると粒子の表面に様々なタンパク質が吸着してプロテインコロナを形成し、マクロファージに認識されて排除されたり、目的細胞へのターゲット能が失われたりする。本研究では、金ナノ粒子の表面デザインの検討により、このような課題を解決する“プロテインコロナを制御する手法”の開発に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高い光機能性と生体適合性を有する金ナノ粒子を用いたナノ粒子医療の開発に取り組んでいる。ナノ粒子医療においては、粒子が血中を安定に滞留し、対象とする疾患部位に特異的に作用するターゲット能が重要である。しかし、一般的に、ナノ粒子が血中に投与されると粒子の表面に様々なタンパク質が吸着してプロテインコロナを形成し、マクロファージに認識されて排除されたり、目的細胞へのターゲット能が失われたりする。このような課題に対し、これまで吸着性を低減するための表面デザインが検討されてきた。本研究では、一歩進んだ“プロテインコロナを制御する手法”の開発を目指し、粒子の表面デザインについて検討している。具体的には、タンパク質が吸着することで粒子の凝集体形成を抑制しつつ、免疫システムから異物として認識されないようにしながらも、マクロファージが認識するようなタンパク質は吸着せず、さらには、特定の部位に到着した際には光刺激によってターゲット能を発揮できるナノ粒子の創製を目指している。 これまでに、研究代表者が開発してきた温度応答性を付与する表面被覆分子による機能化を拡張し、よりオリゴエチレングリコール分子鎖が長い分子と混合することで、生体環境中に存在する生体分子群(タンパク質等)の粒子表面への過剰な吸着を抑制でき、血清をいれた細胞培養液中において体温付近での鋭敏な温度応答性を示すナノ粒子の表面デザインを見いだした。令和5年度は、この生体分子群の吸着性の制御を目指し、タンパク質に焦点を当て、タンパク質の吸着に関する検討を行った。その結果、血清に含まれている主成分であるBSAが粒子表面に相互作用することで分散安定化に寄与していることが確認された。一方で、血清(FBS)を加えたときとは異なる挙動も観察され、BSA以外にも粒子へ相互作用に関係する成分が存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに、研究代表者が開発してきた温度応答性を付与する表面被覆分子による機能化を拡張し、よりオリゴエチレングリコール分子鎖が長い分子と混合することで、粒子表面への生体環境中に存在する生体分子群(タンパク質等)の過剰な吸着を抑制でき、血清をいれた細胞培養液中において体温付近での鋭敏な温度応答性を示すナノ粒子の表面デザインを見いだした。当該年度においては、この生体分子群の吸着性の制御を目指し、吸着に関与している主成分としてタンパク質に焦点を当て、タンパク質の吸着に関する検討を行った。実験に用いた牛胎児血清(FBS)中に含まれる成分のうち最も多い成分は牛血清アルブミン(BSA)であるため、まずはBSAについて検討した。その結果、BSAを導入することで、培養液(DMEM培地)などの高塩濃度環境中におけるナノ粒子の凝集が抑制される効果が確認され、BSAが粒子表面に相互作用することで安定化に寄与していることが確認された。一方で、血清(FBS)を加えたときとは異なる挙動も観察され、BSA以外にも粒子と相互作用して分散安定化に関係する成分が存在することが示唆された。また、FBS成分の存在によって培地環境で安定化(分散)している粒子の温度応答性の可逆的な集合化現象において、冷却時の分散状態に戻る過程に非常にゆっくりとしたヒステレシス現象が存在することも確認され、ナノ粒子間と粒子-タンパク質間の競合的な相互作用の存在が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、タンパク質の吸脱着におけるタンパク質の相互作用の強度や選択性についてのより具体的な評価を進めるとともに、実際の応用を志向した血中での挙動の解明や光刺激による表面物性の制御性についての検討を進めていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(16 results)