Project/Area Number |
22K19961
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Waseda University (2023) Kyoto University (2022) |
Principal Investigator |
高江 可奈子 早稲田大学, 社会科学総合学術院(先端社会科学研究所), 助手 (10849970)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 動物倫理 / 生命倫理 / 道徳的地位 / 道徳の無効化 / 科学技術倫理 / 人間中心主義 / 種差別 / 道徳的特権性 / 技術倫理 |
Outline of Research at the Start |
近代を通して構築された私たちの道徳体系は、「人間の道徳的特権性」を前提とする人間中心的な特徴を持つ。しかし現代は、急速な科学技術の発展に伴い、近代では想定されなかった様々な倫理的問題に直面しており、既存の道徳体系を再検討する必要が生じている。この課題に精力的に取り組んできた生命倫理学と動物倫理学のニ領域は、「人間の道徳的特権性」の是非に焦点を当てた議論を展開しているが、それぞれの領域に細分化されており、局所的な考察にとどまっている。そこで本研究では、両者の議論を領域横断的に体系化することで、現代における人間中心的な道徳体系の問題を包括的に検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生命倫理学と動物倫理学によって局所的に論じられてきた人間を中心とする道徳体系の問題を、両領域を横断的に捉えることで包括的に検討するものである。特に、科学技術の進展が倫理的議論に与える影響という観点から、生命倫理学と動物倫理学の議論を統合する研究を進めてきた。
2023年8月に京都大学で主催した研究会において、科学技術による生命操作によって「道徳の無効化」という事態が引き起こされることを論じ、それが動物倫理学と生命倫理学双方にどのような影響を与えるのかを検討した。そして、この研究会で得られた成果をもとに、動物倫理学における「道徳の無効化」の議論を作成し、ジュリアン・サバレスキュ氏との共著論文としてAmerican Journal of Bioethicsに投稿している(この論文の構想を練るにあたり、2023年11月にオーストラリア出張でサバレスキュ氏との面談が大きく影響している)。また、生命倫理学の議論については、2024年3月に北海道大学にて招聘発表を行い、その発表内容の原稿を現在執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物倫理学の議論については、海外ジャーナルへの論文投稿を達成したことから、順調に進んでいると言える。特に、この論文で論じた「道徳の無効化」をめぐる議論が、動物の生命操作だけでなく、人間の生命操作に対しても重要な含意を有することを示すことができた。この点は、さらに掘り下げ、別の論文として研究を進めていきたい。 一方、生命倫理学の議論については、やや難航している。着想は固まりつつあるものの、論文の形にするにはもう少し時間がかかるように思われる。 したがって、両者の議論を包括的に捉え、体系的な議論を構築していく段階にはまだ到達していないと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年の7月と8月はスイスに滞在し、本研究を集中的に進める予定である。その滞在期間中、ドイツのミュンヘン大学にも研究訪問し、生命倫理学の議論の構想について現地の研究者たちと意見交換を交わす予定である。 スイス帰国後は、動物倫理学と生命倫理学でそれぞれ論じてきた議論を包括的に検討し、体系的な議論に向けた構想を練る。また、10月から12月の間に、ジュリアン・サバレスキュ氏のいるシンガポール国立大学へ訪問する計画も立てている。
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