Project/Area Number |
22K19963
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
亀田 晃輔 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (60962991)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | クロード・モネ / フランス第三共和政 / 美術史 / ロジェ・マルクス / ギュスターヴ・ジェフロワ |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、印象派の画家クロード・モネ(1840-1926)が、第三共和政期のフランスにおいて公的評価をいかに得たのかを明らかにすることである。公的評価から無縁であったと理解されている前衛画家のモネであるが、実は、《睡蓮》が国家寄贈という形でオランジュリー美術館に設置されるなど、晩年は国家公認の画家となる。前衛画家から国家公認の画家へという過程を、美術行政における言説を分析することを通じて明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、印象派の画家クロード・モネ(1840-1926)が、第三共和政期のフランスにおいて公的評価をいかに得たのかを明らかにすることである。したがって、初年度においては以下の研究を行った。 ①第三共和政期において公的に認められた美術作品の性格や公認のプロセスを、美術史学のみならず政治史を中心とした歴史学の知見を活かしながら浮かび上がらせる。②それと並行してモネの作品が国家買い上げとなった事例を分析して、公的評価の形成を明らかにする。 ①に関して、先行研究の整理や資料収集に努めた。美術と政治にまたがる研究だけでなく、政治史の領域も収集対象としたため、多くの先行研究を調査する必要が出てきた。②に関して、モネの公的評価を調査するなかで、《ルーアン大聖堂》が1907年に国家買い上げとなり、その関連資料がフランス国立公文書館にあることをつきとめた。この事柄は、先行研究のなかではほとんど注目されていない。そこでフランス国立公文書館に赴き、国家買い上げに関する資料の閲覧、写真撮影を行ってきた。一方で、当時国家買い上げとなった作品はリュクサンブール美術館に収蔵されたのであるが、そこの収蔵期間が終了した作品はルーヴル美術館に入るか、地方の美術館に送られるかの二つに一つという運命をたどる。フランスでの現地調査では、その地方に送られた作品を実見すべく、リール、ナンシー、レンヌ、ナント、トゥールの諸都市の美術館に足を運んだ。これにより、当時の国家買い上げされた作品がどのような傾向にあるかを調べることができた。 現地調査実施後は、収集した資料を基に分析をしている。次年度では、《ルーアン大聖堂》の国家買い上げが、モネの画歴のなかでどのような意義を持ち、どのように実現したのかを研究発表と論文のかたちで公表していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、フランスでの現地調査によって《ルーアン大聖堂》の国家買い上げ関連資料を収集することができ、新たな知見とともに具体的な研究のトピックを得ることができた。ただし研究計画で述べた1900年にパリ万博関連の一次資料に関しては、膨大な量であったため整理と収集が進まず、次年度に持ち越す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、《ルーアン大聖堂》の国家買い上げに関する分析を行う。前衛画家のモネの作品が国家買い上げに至るまでのプロセスを、前年度に収集した資料に基づきつつ、ロジェ・マルクスやギュスターヴ・ジェフロワといったモネに与する美術行政官との関係や、モネと国家が接した1900年のパリ万博を考慮に入れて明らかにする。 計画通り、次年度もフランスへ現地調査を行い、資料収集に努めながら、次年度内に研究成果の公表ができるように準備を進める。現時点で学会での研究発表の機会が一つ決まっている。
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