Project/Area Number |
22K20031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0102:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 達 千葉工業大学, 社会システム科学部, 助教 (50964053)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | カリブ海文学 / クレオライゼーション / 偶然性 / 存在論 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、カリブ海地域において、奴隷制や年季奉公を通して強制的に他者と「遭遇」するという否定的偶然に、カリブ海特有の存在論の可能性を見出し、文学表象を通してそれを考察することで、カリブ海的存在の雑種性・複数性の根源を明らかにする。 カリブ海思想家たちの理論はポストモダンの観点から分析がされてきたが、偶然性に関する記述は見落とされてきた。本研究では、彼らの思想的作品から、偶然性に関する理論的枠組みの可能性を探る。 そしてカリブ海文学作品にその理論的枠組みを応用し、どのように他者との「遭遇」という否定的偶然が表象され、いかにカリブ海特有の雑種的・複数的ダイナミクスへつながるのかを考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度にカリブ海地域における「遭遇」の人文学的表象を考察するのための資料収集を重点的に行うことができたことで、2023年度は本研究のメインターゲットとなるローレンス・スコットの"Night Calypso"の精読に集中することができた。"Night Calypso"は1930年代のトリニダードの政治状況を背景としている。昨年集めた資料から得ることができたカオス理論などの理論的枠組みを利用し、その物語において描かれる多文化の衝突という形でのクレオライゼーションの表象を考察した。 この精読による成果は、2023年10月にジャマイカの西インド諸島大学のモナキャンパスで開催されたWest Indian Literature Conferenceで発表された。会場にはカリブ海地域の大学のみならず、欧米の大学で活躍している研究者たちが集まっており、そこでのディスカッションも今後の収穫となった。とりわけC.L.R.ジェイムズの政治理論を採用した本研究の議論は、個人での発表後複数の研究者との議論の対象となり、有益な指摘を得ることができた。特に、スコットと共時代のカリブ海作家たちの政治的な姿勢の差異についてや、彼が影響を受けたと公言しているウィルソン・ハリスなどの作家たちとの比較的研究についてなど、本研究のさらなる可能性を見出すことができた。今後資料をさらに整理し、本発表を論文としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
西インド諸島大学モナキャンパスにおいて開催されたWest Indian Literature Conferenceで本研究を発表することができたのは大きな成果である。しかしさらに資料を精査する時間が十分に取れておらず、論文執筆になかなか時間を割くことができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、2023年度に発表した原稿をもとに、論文を執筆し公表することを目指している。そして10月にトリニダードで開催されるWest Indian Literature Conferenceに参加し、本研究のさらなる成果を発表することを目指している。
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